取説 はじめから この章の始めから この前のシーンから
第1話 逆転新世代(10)
尋問中
「
凶器のロープは死体の首の上に残されていたッス。死体の側にはナイフが落ちていたッス」
「待った!そのロープとナイフはどういう感じでそこにあったんですか?」
「ロープは被害者の首に巻き付いた状態から手を放したように、死体の首の上に乗っかっていたッス。ナイフは死体のかたわらに転がってたッス」
「被告が所持していた訳ではないんですね?」
「そッス。落ちてたッス」
(指紋もふき取られてたんだよな……。引っ掛かるナイフだなぁ)
「小さかったッスが、引っ掛かったりせずにスパッとよく切れそうなナイフだったッス」
糸鋸は、王泥喜の心の中の呟きが聞こえたような、それでいて意味を取り違えたような、そんな発言をした。
「
他に目につくものは何もなかったッス」
「待った!目につくものはなかった……それなら、目につかないものはどうです?」
「どういう意味ッス?」
「例えば、何かが隠されていたとか……」
「近くの池の中や植え込みの中なんかは調べてみたッス。でも、特に何も見つからなかったッス」
「ううん……じゃあ、そうですね。所持品は?」
「誰のッス?」
「ええと……。じゃあ、被害者の所持品について聞かせてください」
「被害者が持っていたのは警察手帳と小銭の入った財布だけッス。その財布を見て、今更ながら被害者に親近感を覚えたッス」
(糸鋸刑事、財布には小銭しか入ってないんだろうな……)
「被告人の所持品は?」
「携帯電話と財布、あとは警察手帳……ッスね。ちょうど、勤務を終えて帰る所だったッス」
「それじゃ、……目撃者の所持品は?」
「善意の通報者と言うことであまり詳しくは調べてないッスが……。汗くさいタオルと、通報に使った携帯電話くらいッスね。ジョギング中なので、大した持ち物はなかったッス」
「弁護人。今、完全に流れだけで聞きましたね」
裁判長が横やりを入れてきた。
「え。ええ、まあ。その……現場に居合わせた人物のうち、被害者と被告人についてだけ聞いて、通報した人だけ聞かないって言うのはなんとなく不公平じゃないですか」
「そうですね。公平であることは裁判の基本です。……今聞いた話のうち、どれかを証言に付け加えさせますか?」
「そうですね……」
(何かおかしい。今までの話からして、あるべきものがそこにない!一体、誰の所持品だ?)
俺の答えを示すんだ!
・被告人の所持品
・被害者の所持品
・目撃者の所持品
・公平に依怙贔屓はしない
つづく

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