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第1話 逆転新世代(38)
7月16日 午前11時42分 被告人第一控え室
決定的な目撃証言を崩し、自称目撃者を真犯人として告発する。まさに、逆転劇を繰り広げた王泥喜。だが、安心ばかりもしていられない。これから検察側が用意する証人が、どのような証言をするかまだ分からないのだ。
それに、マッチョ・ストロングを告発するには、その犯行の全てを立証して見せなければならない。そのためには、もっと材料が欲しい。
そして、その材料のなる可能性のある情報が運ばれてきた。
「話は聞いたッス!あの覆面男、犯人として告発したらしいッスね!」
糸鋸は満面の笑みで待ちかまえていた。
「自分も、色々と持ってきたッス!」
糸鋸刑事は先程、被害者の自宅に置かれていたという携帯電話を調べると言った。
「被害者の自宅……、公園のすぐ側なんですよね」
「そッス!警官が殺された公園の前のアパートッス。……自分なら、絶対に住みたくないッス」
「で……携帯電話はどうだったんです?」
糸鋸はニカッと笑いながら、袋に入れられた携帯電話を差し出した。
「これッス!……見事にぶっ壊れてるッス。水の中に落としたみたいッスね。どこを押してもうんともすんとも言わないッス」
黒田は差し出された携帯をまじまじと見ながら、不思議そうな顔をした。何か違和感を感じているようだ。だが、その正体に黒田も気付けないらしい。この携帯、きっと何かあるに違いない。
「アタシも、よくケータイ電話を水に落とすッス。それで、すぐ壊れちゃって……。でも、もう安心ッス!奮発してスゴい防水のケータイ買ったッス!何回かシンクに落としたり、洗濯したり、持ったまま池に落ちたりしたけど、このとーり現役ッス!」
マコは王泥喜に自分の携帯電話を突きつけてきた。手錠のストラップがつけられ、タイホくんのデコレーションが入っている。携帯そのものよりもそっちの方が目をひいた。
「それで携帯が壊れた時、自分と連絡がつかなくなって……昨日、ようやく番号を教えてもらったッス」
糸鋸刑事も苦笑いだ。そして、話は変わる
「それと。凶器のロープッスけど……、調べた結果、妙なことが分かったッス」
「なんですか?」
「その……現場に残っていた池の周りのロープと凶器のロープ、繋いでみたら結構長さが足りなくなってたッス。その……30センチくらいは消えてるッス」
それが何を意味しているのか。意味がないはずがない。きっと、何かあるのだ。
ロープのデータを書き換えた。
つづく

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