暑いのが嫌いなので、出来る限り部屋の窓を開けるようにしている。
昼間は27、8度あるけど、夜になると結構肌寒かったりする。
横になってテレビを観ていたら、そのまま眠りこけてしまった。
捕虜収容所のような所で、長い行列に並ばされてる。
健康診断のレントゲン車のような車に、一人ずつ入っていく。
入ってるんだけど、誰一人出てくるものはいない。
隣を見ると、小学校の同級生だった浅○せい子さんがいる。
背も高く、発育がよくて、クラスで最初にブラジャーをした子だ。
成績も、運動も目立ってたので男子には人気があった。
大学を出て就職した頃、彼女が付き合ってた男と心中したことを聞いた。
両方の親から反対され、別れ話を苦にして車ごと海にダイブしたらしい。
「せい子も並んでんの?」
「運命だからね」
低くハスキーな声で、彼女は小さく言った。
彼女が先に車の中から呼ばれた。
少しすると俺を呼ぶ声が聞こえた。
白装束のせい子がストレッチャーの上に横たわり、静かに車の奥へと
運ばれていくのが見えた。
彼女を見ている間に、いつの間にか俺の右腕にゴムが巻かれている。
白衣にメガネの男が肘の辺りを消毒している。
おい、いったい、何の注射を打とうってぇんだ。
せい子の言ってた運命って、何のことだ?
男は必死に腕に注射針を刺そうとしているが、しきりに首をかしげる。
「血管がわからないんだ」
誰に言うでもなく、困り果てたように吐き捨てた。
「せっかく安楽死できるってのに、なんとかならないのか」
あん?安楽死だと? 俺が死ぬわけ?
俺が簡単に死ぬわけないじゃん!
やらなくちゃいけないこと、山ほどあるんだからさ。
そうこうしてるうちに、男が浮き出た血管に針を刺そうとしている。
針が刺さるのは無痛だったが、その部分からまるで凍り出したように
身体が冷たくなってくるのがわかる。
あー、死ぬってこういうことなのか・・・
ダメだ、寒すぎて本当に死にそうだ。死ぬのは寒くて困る。
裸同然の格好で窓からの冷気を浴び、冷えて感覚がなくなってしまった
らしい。
慌てて飛び起き、窓を閉めて毛布に包まった。
夢だったんだ・・・何もかも・・・
朝、起きると注射針が刺さってたところに、蚊に刺された痕が・・・