2008/3/12

翼状肩甲骨:scapula wing  上肢

アメリカでは青少年のスポーツ活動が極めて盛んで、育ち盛りの青少年の筋骨の怪我が結構多く見られます。成長期である彼らにとって、リハビリは大人と同じように、あるいはそれ以上に大切です。

14歳のサンドラ(仮名)は活発な女の子で、学校のソフトボールチームで三塁手として活躍しているのですが、最近肩の痛みが原因でボールが投げられなくなったという理由で理学療法を受けに来ました。肩が痛みだしたのは、三ヶ月ほど前で、ボールを投げるのを止めれば痛みは消え、投げるとまた痛みだすということです。肩の痛みは、以前は翌朝になれば直ったのに、最近は痛みが一日以上続き鎮痛薬を服用することが多くなり、医者に行ったとのことです。MRIの結果、肩関節に浮腫がみられ、肩関節上方唇に軽い損傷があるとの結果が出ました。

アメリカでの背少年のスポーツ活動、特に女子は日本と比べて法律的に優遇されています。このことが大学進学時のスカラシップにつながります。ということから、時には無理とも思える行動が見受けられ怪我につながることがあるようです。

理学療法評価
姿勢:少し猫背で、肩甲骨が側方に位置し,肩甲骨内側縁が胸郭から浮いている

肩関節可動域:正常であるが、肘が体幹を離れた瞬間から、肩甲骨内側縁の後方運動が見られるー(これを翼状肩甲骨、英語でscapula wingと言います)。写真参照

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壁プッシュアップテスト:陽性(翼状肩甲骨)

上肢筋力テスト:外回転筋、前鋸筋、菱形筋、下方層帽筋の筋力低下

インピンジメントテスト:陽性 

筋の長さ:上方層帽筋、肩甲挙筋及び、小胸筋の短縮

サンドラの肩の痛みは肩甲骨の不安定性に大きく関与し、そのため肩関節に負担がかかり、回転筋のインバランスを導く結果となった。回転筋の機能低下は上腕骨頭の上方移動を促し、そして、前鋸筋・下方層帽筋の機能低下と共にインピンジメントを誘発する可能性があります。

ボールを投げる動作の一部として、まず、ボールを構えますが、この時肩甲骨のretraction(肩甲骨を背骨側へ寄せる)が必修です。続いて、腕を振り上げる時、肩甲骨はスムーズに胸郭上をprotraction(肩甲骨側方・前方移動)します。

上記の運動を達成するのに肩甲骨の安定機能は欠かせず、その安定機能に寄与する主要筋として、前鋸筋が上げられます。この筋は、肩甲骨を胸郭に固定することで、上腕の動きを効果的に機能させます。

この筋が働かなくなると、上腕骨頭を支える関節窩は、ボールを投げることに欠かせない上方回転(upward rotation)及び肩甲骨側方前方移動(protraction)が困難になります。土台が緩い土地に立っているブランコみたいで、肩関節はスローイングのコントロールが難しくなり肩関節アラインメントも崩れ、他の筋や関節にも負担がかかります。

理学療法は第一に、短い筋を伸ばします。第二に、肩甲骨の安定性向上のための筋力強化をします。その強化方法は、前鋸筋強化:胸椎運動と共に肩甲骨の前方/後方運動コントロール、アイソメトリック肩甲骨後方保持。第三に、上肢と下肢との連携運動及び力の伝達のコントロール強化のため、下肢、特に股関節運動を伴った上腕運動を行い、最後に、上肢筋エクササイズを段階的に盛り込んでいきます。

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