吉田兼好著「徒然草 1 (1)
」。その著作と共に、以下の書き出しはあまりにも有名。
つれづれなるままに、日くらし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。(序段)
敢えて一言で言うならば、本書の内容は「人間論」であろう。人間というものについて、独自の視点から様々な事例を引用しつつ論を展開し、人間の心の本質を探ろうとしており、ひたすら自己を見つめ続ける鴨長明著「
方丈記」とは一線を画している。
具体的には、財宝・子供を持つことを否定し、さらには長寿をも否定、清貧と濁富を説き、真の心の友を持つことの難しさゆえに書物を通じて遠い時代の人を友とすることを訴える。また当時では常識?かもしれないが、男尊女卑の傾向が随所に見られ、生きていく上で必要なものとして衣食住以外に「医療」を上げている点などは、長寿の否定と矛盾しているようで興味深い。
細かい内容上の矛盾は見られるものの、人間の理想として仏道に生きることを勧め、人生の「無常」を自覚することの重要性を説いている。
最後に、「住まい」に関して言及している箇所を引用することによって締めたいと思う。
家居のつきづきしく、あらまほしきこそ、仮の宿りとは思へど、興あるものなれ。(第十段)
家の作りやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる。暑きころわろき住居は、堪へがたき事なり。(第五十五段)
ちなみに、多数出版されている中でも講談社学術文庫から出ている三木紀人による「徒然草」全訳注は、4分冊でボリューム満点だが原文・現代語訳・語釈・解説と内容的に充実しているのでお薦め。


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