透析病院ナースのSさんが、匠のまつり初日に来てくださった
彼女は仕事の時とは違い、髪を降ろし金髪ロングヘアー、破れジーンズというスタイルだった
名乗られるまでまったく気が付かなかった
白衣、ピンク衣、ブルー衣&マスク姿しか知らないから・・・
だから、街で会っても心に引っかからず、下手するとシカトしていると思われているんじゃないかしら
昔もこんなことがあった
それはスナックのおねーちゃんとスーパーで会った時だ
ボクは日付確認に夢中で、背後の気配に振り返り、その人の顔を凝視しまた牛乳の選別に戻った
帰りの車の中で あ、ノンちゃんだったのかな?
童顔でスレンダーなノンちゃんの顔が浮かんできた
数日してそのスナックに行くと彼女は辞めていた
「なんか言ってた?」
「binnちゃんにシカトされたって・・・ガッカリしていたのよ」
「・・・」
店の照明の中の彼女を白昼見分けることなんてできなかった
匠のまつりが終わりオフクロを療養型病院から戻し、また透析送迎の日々が始まった
その週はナースのSさんがいなかった
休みなのかな、と思って婦長に聞いた見た
「Sさん、先週で辞めたのよ 臨時で来てもらってたから・・・」
「まつりに来てくれたんですよ・・・そうなんだ、臨時だったんだ」
彼女のことを詮索する言い訳のように言った
その時にスナックのノンちゃんのことが脳裏をよぎった
牛乳を持って振り返ると、逆光の中に影となり、スレンダーな彼女がボクの顔を見て頭を下げ何か言いたげだったそのシルエットが・・・
突然存在を消してしまう彼女たち
ボクはお礼の言葉を失したままだ・・・
かつての所沢時代からの行動の残滓・・・「後悔」がまた首をもたげてくる
今年は・・・そんなことが多くはなかったか?
出会いの数が増すほどに・・・

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