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第3話 あるまじき逆転(387)
浦野は何故、あの偽手記の内容を確認しておきながら、妙なポエムだと思いながら、それがヒントを盛り込んだ手紙だと理解して手渡してしまったのかを語る。
「まあ、それはね……。でも、みぬきちゃんへのラブレターじゃないから自分からは渡さない、男にあまり分かりやすいヒントを出すのも癪だからポエムにヒントを混ぜる、私と成歩堂弁護士が接触して仲良くなったら癪だからみぬきちゃんに手渡す、そして弟さんにこのことを悟られないように私に変装までさせた」
見解を述べる浦野だが、これはこれで。
「なるほど先生が聞いたらツッコミのフルコースをごちそうしそうな推測ですね」
「ツッコミなら、私の考えじゃなくて日頃からそんな感じだった先生にお願いしますね」
にっこりと微笑む浦野。そんなところにツッコミに行ったら永遠のツッコミスパイラルに嵌まり込みそうだ。遠巻きに眺めるに限る。
「何で牙琉弁護士は偽の証拠品なんか作ったんでしょう」
根本的なことを聞いておくことにする。
「分かり切ったことですわね。弟さんに、絶対勝ちたかったから……それ以上の理由がありまして?」
「な、ないですかね」
それならそれで結構な大金をかけてまで、新米検事である自分の弟のデビュー戦を潰そうとした理由が気になるところだが。
「もちろん、依頼人を信じていなかったということもありますね」
その言葉に娘であるみぬきは悲しげに顔を伏せた。
「パパのことをすぐに信用してくれる人って、ほとんどいないから……。顔のせいで」
あくまでも悲しげに、ずばっと言う。王泥喜はそんなみぬきに声をかけた。
「言いたくても言い出せなかったことを代弁してくれて助かります」
「でも、言葉を交わし、拳で語らって信用を勝ち取る……そんなパパでした」
「脅しと暴力で屈服という意味に捉えていいんでしょうか。……葉見垣さんはそんな感じでしたもんね」
「みぬきはママに似てよかったです!このかわいい顔のおかげで先生もみぬきのこと、すぐに信用してくれましたもんね!」
「そうですね」
そういうことにしておいた方がお互い幸せな気がしたのでそう答えておく。
「……うう。先生ひどいです」
(げ。オレ自身ですら意識していなかった何かが顔に出たらしい……)
「そ、それで。そのままでは無駄になってしまう偽証拠を使い、なるほど先生を潰してザックさんを有罪にするためにあんなことを……?」
慌てて話を戻す王泥喜。
「それは違うわ。これだけではまだ、どっちが勝っても知ったことではないという感じね」
少なくとも、最初は自分が勝つための偽証拠だったわけだ。では、なぜ成歩堂を巻き込むに至ったのだろうか?
聞き込み項目追加
・なぜ、成歩堂をはめたのか
つづく

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