前回
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古来、号令と信号にのみ使われていたホルンが楽器として使用されるようになった経緯、その後を話す。
それにはオーケストラというもののはじまりから述べなければならない。
オーケストラとは元来、小規模なコロッセオ類の観客と舞台の間隔、オルチェ―ストラを指し、合唱隊を表す言葉だった。それが伴奏の楽器隊も含めるようになり、だんだんと今現在のような広義の楽隊を指すようになったのである。
パッヘルベルしかりのバロック以前の時代、器楽曲といえば弦楽によるものであり、管楽器打楽器は広くは取り入れられていなかった。
しかして音色の幅を広げる目的により初めにフルート、ファゴットが組み込まれ、次いでトランペット、トロンボーン、オーボエ、クラリネット。
ホルンが初めてオーケストラに登場した(全曲通じて参加するという観点で)曲は、1705年のこと、オペラ・オクタビア/カイザーである。
オーケストラの誕生から数百年を要する。
これはホルンの周知のされにくさ、優秀な奏者の誕生のしにくさによるものと思われる。
ホルンの秀でた点はその音色にある。実用的な面で言えば遠く離れた場所まで届く(音楽学者・物理学者であるフィランツェ・カーセル博士の論文による)。
また、動物の本能にそれは強く訴える。奈良公園でホルンを吹くと鹿が集まることによる。因みに他の金管楽器ではそうはいかない。
だが豊かな倍音とその情操力がオーケストラにおいて最も優位な点であることは忘れてはならない。
しかし、それを気付くには過去の音楽は保守的であったと言える、ということである。
さて、ホルンがオーケストラに登場するにあたり、数点問題があった。
中でも管長の決定は大きな壁である。
合奏を目的として作られた楽器は、多くが現在でいうハ調に作られていた。例外はトロンボーンであり、独奏楽器、同一楽器合奏としてのポジションを保っていたそれは独自にへ音、或いは変ロ音に近い音を基準としていたがスライドにて解決出来るのでさほど問題は無かった。
ホルンのそもそもの目的は信号、号令である。そは音そのものではなく、リズムとそれぞれの高低で判断をするため、基準音、規格というものが存在しなかった。
なぜそれが今のへ調に落ち着いたか、次回はそれを話す。

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