指揮者という日本語には二つの意味が含まれている。即ちコンダクターであり、アシスタントコンダクター(トレーナーとも)である。
アシスタントコンダクターはしばしば下振り、裏振りとも称される。
このアシスタントコンダクターの役割と持つべき資質、そして念頭に置きたい心構えについて述べる。
そもそもアシスタントコンダクターとはなにか。それは『正指揮者の代振り』という言葉にその全てが集約されている。
代わりといって侮るなかれ。代わりはきちんと代用に値するべきであり、正指揮者の意図を酌み、理解し、表現伝達出来るべき人物でなければその役割は果たせない。
であるからして、その能力は正指揮者に準ずるべきであり、通常の指揮者には必要ない能力、自分にない音楽感性を深く読み取り享受する能力をも兼ね備えていなければならないのである。
この時期新年度となり、新たに学生指揮者や団トレーナーなどの役割を受け持った人は少なくない。その人々が私に問い掛けて来る疑問というものが多々存在する。その疑問は多くの場合アシスタントコンダクターの資質に繋がるものが多いので、次回は質疑応答の形をとり、その資質を明きらめたい。

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