以下、やたら遅まきながらの「2.15共謀罪ナイトin
ロフトプラスワン」ご報告です。まあしかし疲れたけど、でも面白かった――。
なんとか定刻(19時00分)通りにスタートし、まずは司会者として壇上で独りマイクに向かってしゃべり始めた頃には気力の6割を使い果たしていた……。
何しろ、そこに漕ぎつけるまでが大変なのであった。トークライブ開催が正式に決まったのは約1ヶ月ぐらい前の1月中旬だったのだが、それ以降は「これ本当に出来んのか?」と思う局面が次々に到来。
主催団体である我々「共謀罪に反対する表現者たちの会」は「
共謀罪ブログ」のほかにメンバー専用メーリングリスト(ML)を持っている。で、ライブ開催が決まった直後から、このML上でとにかくヤタラメッタラ議論が紛糾したのだ。
内輪のことなので詳しくは差し控えるが、「そもそもこのライブを行う意義は何か?」「誰をパネリストに呼ぶか?」といったところはもとより、「トーク以外の出し物として何をやるか」、はては「ライブチャージを取るのは是か非か」というところまで含めて、みんながそれぞれ自分の意見を述べ合うのはいいのだけど、何しろ自立心旺盛で自己主張も強いライターたちの集まりだ(基本料金が2ドリンク付で1000円という料金設定で合意が成立するに至るまででも実質3日を要した)。
「だったら俺は参加しない!」
「大丈夫なのか? インターネット中継なんて本当に出来るのか、心配で心配で……」
「この方をゲストに呼びたいんですけど、交通費は出るのでしょうか?」
みたいな話を「まあまあ」となだめたり「えーと、それはですね」と応えたりするうち、必然的にというか、ロフトとの間で最初に話をつけた私が「じゃあ俺が司会も含めて自分で仕切るから」という感じになっていた。
もうひとつの懸案事項だった「インターネット生中継」については、当初一番懸念された技術的な問題点(ロフトにもあまりウェブ中継の実績がなく、設備的にも決してそれ用には充実した環境ではなかった)については、アワプラから西山洋一さんとはっしー、そして久米亜里砂さん(
東京視点)にも協力をいただき、ほとんど何の支障もなく、実にクオリティの高いライブ中継を行うことができた(本当に感謝至極です……)。もっとも、ここでも技術面以外に予想外の問題が土壇場で浮上。
まあ、これは既にこのブログでも最初の時点での話を書いてしまっているので(白石さんも
ここに書き込みを入れてくれたので、読まれた方にはわかると思うけど)、ロフトのステージ背景にあるイラストをめぐって議論が沸き起こったのだ。
もとより、白石さん自身も「それを隠せばいい」などとは言わなかったし(彼女もまた見識のある表現者だと私は敬意を払っている)、そもそも今回のイベントの本質とは直接関係のないその話題でインターネット中継が頓挫するということは私も避けたかった。
結局、背後には「共謀罪ナイト」ならではのイラストを飾ろうということになったのだが、当日、開場ギリギリまでかかって、すぐ近くのコマ劇前広場で西村さんたちが描いていたイラストが直前までなかなか仕上がらず、仕切り役の私は内心青ざめることに……。
開演前の会場はドタバタ状況だった。
ZAKIさんが演奏のリハーサルをやる一方、西山さんたちのインターネット中継の準備作業や、クレーン謙さんや西村さんたちが近くで描いてきたイラストの掲出の段取り、会場で来客に配る資料を揃えたいという安藤さんとの調整、鹿児島との「電話インタビュー」をやりたいという三宅さんの意向を受けて、電話つきマイクの調整をやったり――と、それぞれはまるでバラバラながら、狭い場内で同時並行的に進む作業の管制塔的な役割を私が果たさなければならなくなった。
しかも開演10分ぐらい前になって、インターネット中継を見ている人が自由に書き込めるBBSのアドレスが一字まちがっていたことが判明(汗)。あちこちのサイトに事前告知していたURLを、壇上のパソコンを操作しながら大急ぎで直していたところに、また三宅さんが「大隅半島(鹿児島県)の地図を書きたいので見せてくれない?」とか言ってきた(泣)。
そんなこんなで直前までどったんばったんを繰り返すうち、あらかじめ考えていたセリフやら段取りやらはほとんど忘れてしまったので、こうなったら後はひたすらアドリブ勝負だなと腹を括る。久々に上がったロフトの壇上の佇まいが何だか懐かしく、「ああ、またここに来たんだなあ〜」と和めたせいか、思ったよりもアガらずに済んだけど、さすがに久々だということでカンが失われていたのか、最初の休憩時間に
平野悠さん(ロフト席亭)から「もっとさ〜、マイクに向かってしっかりしゃべんなきゃダメだよお!」と、珍しく真面目な(?)アドバイスを受けた。
手元にあるパソコンの操作に気をとられていたせいか、声がマイクでしっかりと拾われていたかどうかまでは気が回らなかったのだ。「あ〜すいません」とか謝りながらも、平野さんの鬢の白髪が何故か気になった。やっぱり久々の出演だったからかな。ともあれ、その後はマイクに向かってしっかり喋るように心がけた。
客として見ているとわからないだろうが、あのロフトの壇上に座ると客席までが案外遠く感じる。テーブルが結構広く(しかも掘りごたつ式で座高が低め)、ステージに注がれる照明が強くてまぶしい(客席の後ろのほうで質問の手が上がっても見えなかったりする)ため、お客さんたちの細かいリアクションが今一つつかみにくいのだ。逆にいえばリラックスしてしゃべりやすいのだが、司会者という立場にある以上、そうそう自分のしゃべりに酔いしれるわけにもいかない。しかも今回はテーマ(共謀罪)がいかにも固いし、さらにはインターネット中継を通じていったい誰が見てるかわからないという状況だったりする。
なので冒頭からいくぶん乱暴で砕けた感じのMCにした。「共謀罪って何?」といった初歩解説をやった後で足立昌勝さんを壇上まで呼び、「いまの説明どうでした?」と訊いたら「乱暴でした」と言われたけど(笑)。
ともあれ最初の休憩を取るまでの間(第一部)の進行については正直いうと失敗した。19時から1時間ぐらいで治めるつもりだったのが、もう一人、19時台のパネラーとして
保坂展人さんが来るというので待っていたら、なかなか来る気配がない。なのでもうお一人、もう少し後でお呼びするつもりだった安田浩一さんを呼び出した途端に「保坂さん到着」のメモが手元に。
できれば三者の掛け合いでと思っていたトークが、三人がそれぞれ一から自分の守備範囲の内容を一から話す形になってしまったため、予定より一時間近くオーバーすることになった。ここは本当に私の仕切りの不味さゆえで、本当に申し訳なかったです。
その意味で、最初の休憩時間以降は割とすんなり進めることができたように思う。個人的には三宅さんの鹿児島・志布志との電話中継における「おいどまー、はらけちょっとー!」のシュプレヒコールのあたりが、イベント的にも結構盛り上がったんで嬉しかったんだけど、一方で、特にJUNさんや石橋さんは、本当ならこの場でもっときちんと議論してもらいたいというテーマがあったようだ。そこをしっかりと汲み取れなかったという反省も個人的にはある。また、
「やっぱり普通の一般市民が『共謀罪』ってものができた時に、自分の日常生活にどんな影響が及ぶのか、というところでもっと説得力のある話をしたほうがよかったんじゃないですか?」
という、休憩時間に声を掛けてくださったお客さんの意見は印象に残った。うん、そうなんだ。本当ならそこでもっと、きちんと誰の心にも響くメッセージを投げかけられればと思っているのだけど……。
取り急ぎ、ひとまずここまで。改めてまた追記を書くことになりそうだけど、その際にはよろしくです。
(「
岩本太郎ブログ」「
岩本太郎のメディアの夢の島」と同時掲載)

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