お遍路さんは、巡礼の途中で地元の人などから「お接待」を受けることがあります。それは、お茶であったりお菓子、果物、夕食、風呂、宿泊、そしてお金などです。お接待を受けたら、有り難く頂戴して「納め札」を渡してきちんとお礼を言うのが礼儀です。
先日チェックアウトを済ませたお客様の部屋に、お接待の袋をそのままゴミ箱の横に置いてありました。中には手を付けてないお菓子がいっぱい入っていました。きっと必要ないから捨てて行かれたのでしょう。お接待をする人がお菓子を買ってきて、寒空の中、どこかで配ったものでしょうが、その人の好意を完全に無視したお遍路さんの行為が残念でした。
「いただいたのですが、食べないので宿で処分してください」
と言ってくだされば、まだ救われたような気がしました。
徳島ではお接待をしても怪訝な顔をして断わられたり、お礼を言ってくれないお遍路さんが多いと聞きます。お遍路さんがまだ慣れていないせいでしょうか。
四国遍路は霊場を回るオリエンテーリングではなく、地元の人たちと話をして、その心の優しさに触れる旅なのです。