最近のホテルなどサービス業では、お客様をもてなす心と媚(こび)を売ることを取り違えているところがあるような気がします。
高級品のシャンプー、ふわふわのバスタオル、使い捨ての化粧品などあれもこれも取り揃え、これでもか、と言うホテルがあります。
それは一見誰の趣味にも合うことのようですが、宿泊する立場で考えてみれば、好みがあるのでうんざりすることも。
そういうホテルに限り、従業員と顔を合わせるのがチェックインとアウトの時だけと言うこともあります。
それが心のこもったサービス業なのでしょうか。
私には、媚を売る競争のような気がしてなりません。
お客様をお迎えする時の大切なポイントは、形だけのそういうことではなく、自分の心を開いて、そこにお招きするという媚のない素直な気持ち、が大切ではないでしょうか。
それが真のもてなしの心だと思います。
道しるべ建設時に、徳島県では大手の建設会社の会長さんとお会いする機会がありました。
お忙しい方でしたので、時間はわずか30分程度でしたが、今でも心に残るお話をして下さいました。
会長さんが社長の時代に、がむしゃらに儲けて会社を大きくすることだけを考えて行動をしたそうです。
すると、忙しく動くだけで、たいして良い仕事は獲得できませんでした。
しかしながら社長を勇退し、会長に就任すると、儲けることだけではなく、どうすればお客様に喜んでいただけるか、と言うことを考えて仕事をしたそうです。
すると、その途端に良い仕事を沢山獲得できるようになって、会社も徳島県ではトップクラスになりました。
まさにこのことがだいじなんだ、と私は感動したものです。
それまではどうすれば経常収支を黒字にするか、という難問と戦い、気持ちがピリピリしていました。
しかし、お客様に喜んでいただく方法を考えていると、そのことがとても楽しく、顔つきもにこやかになったと言われました。
個人の宿経営はとても難しいと思いますが、会長さんのそのお話で気持ちが随分楽になり、スタッフも雇って何とか食いつないでいることに感謝しています。
ちなみに、媚を売る会社ほどマニュアルがしっかりしていて、そのマニュアル以外の臨機応変の対応は出来ないと思います。
道しるべはそんなことはありませんが、スマイルは無料でも表面だけで、ハートは全く別物かもしれませんので、皆さんもサービス業にはご注意を。