最近、両親を殺害したり、自宅に放火したりと少年の犯罪が目に付きます。
この原因を探ってみると、充分な愛情を持って親に育てられなかった彼らの両親に、重大な責任があると私は思っています。
と言うのも、30代から40代の彼らの両親は、子供の叱り方や育て方を知らないのです。
子供が悪いことをしていると、それを叱りはするのですが、何故それが悪いことなのか、どうして駄目なのかをきちんと説明しないと、子供は親に対する憎悪感が増すだけで、自分のしたいように物事が進んでいかないと、犯罪を正当化してしまうわけです。
たとえ1日かかっても良いから、泣きじゃくる子供と腹を割って、話をすることが大事なのです。
他のお客さんがいるにも関わらず、宿の中をまるでアスレチックのように走り回る子供さんもいます。
部屋の中でドスンドスンと卓球大会をしている家族もいました。
私や他のお客さんが、騒ぐ子供達に注意をすると、両親は「おじさんに注意されるから止めましょうね」と子供に話しています。
これでは常識のある人間に育つはずがありません。
今までの私の経験から、スタッフでお手伝いをお願いしただけなのに、わざわざ親が挨拶に来た例が2件ありました。
どのようなところで子供が働くのか、しっかり見ておきたかったのでしょうが、そのようなことをしていたのでは、いつまで経っても子供が独り立ちするはずがありません。
そして、口を揃えて「子供のことをよろしくお願いします」というセリフが出てきます。
そのスタッフ2人は、仕事が厳しくなると「お世話になりました」の一言もなく、黙って宿を去るお粗末さ。
夜逃げ状態でいつの間にかいなくなるので、こちらも随分楽ですが。
そのような逃げてばかりの人生で、どうしてもっと前向きに生きていかないのか、と思うのですが、彼らに責任があるわけではなく、育てた親が悪いのです。
私は大学時代に夏休みになると、親には「北海道へ行って来る、いつまでには帰る」と電話をしただけで、2ヶ月近く家に連絡をしないことがありました。
北海道では旅もしましたし、資金が底をついたらアルバイトもしました。
その時、アルバイト先のご主人があまりに心配して下さり、私の家に電話をしたことがありました。
その時の母親の言葉は今でも印象的で、「息子は経験を通して、人生の大切な勉強をしていると思うので、煮るなり焼くなりして下さい」と言ったそうで、ご主人があまりの迫力に驚いていました。
また、銀行を退職したときも母親はかなりショックだったと思うのですが、それでも「息子が選んだ道だから」とずっと応援してくれました。
子供の時から好きな物を与え、決して叱ることなく、過保護に育てた子供の行く末が尊属殺人や放火であれば、それは自業自得なのでしょう。
虎は谷底に子供を突き落とし、這い上がってきた子供だけを育てると言います。
子供が充分に育ったら、親は子供を突き放せばよいのです。
どうすればよいかを自分自身で考えさせて、本当に困っている様子であれば、アドバイスをするのが親の役割です。
最近は連鎖的に尊属殺人が起きていますので、子供を過保護に育てた方は、どうぞご注意下さい。