先日、徳島新聞の夕刊に「かつての若者の定番宿 ユースホステル中年に人気」という記事が掲載されていました。
記事の内容は、昭和55年以降若者に敬遠され続けたユースホステルが、最近全国的に中高年に人気を呼んでおり、知らない者同士がふれ合える魅力が時代を経て見直されつつある、とありました。
私はユースホステル協会に16年勤めたので、その経験から問題点などに触れてみたいと思います。
ユースホステルのピークは昭和50年前後ですが、その頃から30年という年月が過ぎ、当時20才だった若者が現在は50才となり、再び懐かしさから利用を始めた、と新聞記事から想像することが出来ます。
昭和51年以降、ユースホステルの会員数は減少を続け、最盛期で65万人いましたが、現在はわずか5万人とも言われています。
しかも大きな問題は、その国内での会員の利用宿泊先は半数が外国であり、国内のユースには泊まったことがない、と言う人も多いことです。
会員証を持っているにもかかわらず、日本にもユースがあるのですか、と言う人もいるくらいで、大学のユースホステル研究会なども次第になくなりつつあると聞きました。
現在は、大学の合宿や修学旅行などで使われるユースホステルもあるため、本来の旅人を受け入れる趣旨からはほど遠いものを感じます。
私も感じているのですが、日本全国から若者の旅人が全くいない状況になっている現在では、仕方ないことなのでしょう。
外国ではユースホステルという言葉を使わずに、ホステリングインターナショナルとか、その宿泊施設の名称だけで営業をしています。
パリのダルタニアン、ストックホルムのアフチャップマンなどのように。
営業許可証はユースホステルという名称が付いているのでしょうが、宿泊施設はイメージが大切なので、愛称は省略した方がすっきりすると思います。
日本ユースホステル協会は、施設の名称に「ユースホステル」とその地名を付けることを義務づけています。
まずこの制度を廃止すれば、最近建設され、まるでペンションのようなかなりレベルの高いユースホステルでは、大きな成果が現れると思います。
それは、ユースホステルという名称が付いているだけで、昔の男女別相部屋、ミーティング、皿洗いを想像してしまうためで、そのために利用しない家族やグループも多いと思います。
また入会金が個人パス2500円ととんでもなく高価で、レンタルビデオショップのように200円くらいに抑えるべきです。
道しるべも建設時にはユースホステルを考えたのですが、あすたむらんど徳島に近いために家族の利用やお遍路さんの宿泊を考えて、あえて旅館で営業を開始しました。
その結果、宿泊されるお客様の9割以上が個室を希望されるので、やはり相部屋のユースホステルにはしなくて良かったと思っています。
新しくオープンしているユースホステルの中には、ペンション顔負けの所もたくさんあります。
そこのオーナーは、ユースホステルのことをあまり知らない人が多く、ペンションのイメージで建設するために、良い施設が出来上がるのだと思います。
ユースホステルの組織は、地域ごとでとても仲良しなのですが、それがまた改革を阻んでいるようにも思えます。
昔ながらの教育的な指導をお客に対してしているところや、掃除を全くしておらず、客任せにしてある施設もあるみたいで、周囲が問題の施設を許すのではなく、時代の流れにそぐわないところは排除する勇気も必要です。