昨秋の高校野球四国大会でベスト4に入った高知県の室戸高校が、甲子園で快進撃を続けています。
下馬評では、同じく高知県の四国大会優勝の高知高校が優勝候補なのに対して、室戸高校は、初出場を決めたのが精一杯という感じで捉えられていました。
それが、1回戦で優勝候補の報徳学園を2−1で破り、今日も不利と言われた宇部商業に4−1で勝利してしまいました。
室戸市民の地元高校の応援はすさまじいものがあり、その応援団もさることながら、ナインはまるで甲子園を自分の庭のように、ファインプレーの連続で勝ち進んでいます。
かつて阪神タイガースの2軍がキャンプをしていた室戸市営球場は、甲子園によく似た形でグラウンドを作ってあり、それが役に立ったそうです。
また、市長は
「今回は甲子園でいかに素晴らしいゲームをするかがポイントであり、その経験を次に生かしてくれれば」
と言っていたのですが、次は何と準々決勝です。
私が4才の昭和39年に、徳島県南部の徳島海南高校がプロゴルファーの尾崎将司投手を擁して、初出場初優勝を飾りました。
その時テレビを見ながら応援していたのをかすかに覚えているのですが、私の母親は海南町(現在は海陽町)近くの日和佐(現在は美波町)出身で、知っている選手もいたため、特に力を入れて応援していました。
後で聞いたところでは、徳島海南高校には当時ブラスバンド部や応援団がなく、あまりにも甲子園での応援が寂しかったために、和歌山県の同じ名前の海南高校ブラスバンド部が友情応援をしてくれたそうです。
見事に優勝して、友情応援に応えた形となりました。
ちなみにこの海南町は、阪急ブレーブスの黄金時代を築いた上田利治監督、ボクシングの川島選手を生んだ町でもあります。
徳島県の海南町も高知県の室戸市も太平洋には黒潮が流れる港町で、豪快な男が育つのだと思います。
海南高校の時も、そして今回の室戸高校も甲子園出場を目指して入学した選手はいないと思います。
優秀な選手は徳島商業や高知商業、土佐高校などに進学するのですから。
まさに高校野球の醍醐味は、小さな田舎町にヒーローが誕生することにあるのです。
四国の徳島、香川、愛媛の各県民も島国根性で、不思議なことに四国の学校を応援してしまうため、四国島民はみんな今回の室戸高校を応援しているはずです。
準々決勝は、強豪の熊本工業ですが、全くプレッシャーのないノビノビ野球で、勝ち進んでくれることを期待しています。