23日に母が亡くなった夜は、久しぶりに実家で二人きりで過ごしました。
これでもう病気から解放されると安心したのか、とても安らかな寝顔でした。
子供の時から過ごした家で、いろいろな思い出が甦り、朝まで母と話をしました。
充分に親孝行が出来ず、困ったときには何かと甘えてばかりいたことを、今更ながらに深く反省しました。
部屋のアルバムを開けてみると、私の子供の時からの写真や、30年前に旅先から両親宛に送った絵はがきが出てきて、親の子供を想う気持ちのどれだけを私が理解していたのだろうと、後悔しました。
24日の通夜は親戚が集まり、夜伽では沢山の方にお越しいただきました。
久しぶりに集まった親戚の方と楽しい話をしていると、母は笑っているようにも見えました。
棺に書道の筆を入れようか迷ったのですが、もう今まで充分すぎるほどの仕事をこなしてきたと思い、敢えて入れませんでした。
そのことは母も理解してくれるでしょうし、その筆を引き継ぐのは私しかいないのですから。
そして昨日の葬儀では、私が喪主を務め、無事に天国へ送ることが出来ました。
小学生や中学生の書道の生徒さんにもお越しいただき、ご焼香をしていただいたときには、母がどれだけ沢山の人に愛されていたかを感じて、思わず目頭が熱くなってしまいました。
喪主挨拶では、先日書いたじゃがいもの話と人生教訓の話をしました。
しかし、涙で言葉が詰まってしまい、最後の最後になって母には申し訳ないことをしました。
「そんなことでは、まだまだだね」と叱られそうです。
昨日は快晴で風もなく、母の煙はまっすぐに上空に昇っていきました。
これからの私の人生で、頼りない部分があれば夢に出てきて叱ってくれるでしょうし、絶えず行動を見守っていてくれると思います。
よく病気と闘ったね、頑張ったね、安らかに眠って下さい。
そして今まで本当に有り難う。
貴方の優しさと偉大な人生は、いつまでも忘れないよ。