今回は、お習字教室のことで熱い討論を沢山頂き、誠に有り難うございます。
一つ大きな勘違いをされているかもしれないのでお話ししておきますが、私は母やKさんに対して、敵対心を持つようなことは一切ありません。
むしろ37年間もお習字教室を続けてきた母のことは尊敬していますし、アシスタントでお世話になったKさんに対しては、感謝の気持ちでいっぱいです。
Kさんが新規支部開設のご挨拶に見えたときも、快く承諾して本部に報告しましたし、私から共同での広告の作成や合同展の開催などもご提案しています。
吉野川市の書道文化の発展に向けて、今後も最大限の努力は惜しまないつもりです。
さて、長年続いてきた書道教室ですが、私の母はその歴史が大きな足枷になっていると思われることが、しばしばありました。
母が行ってきた指導方法や経営方針を間近に見て、間違っていることも多々提言しましたが、古いタイプの人間でしたから、それを直そうとはしませんでした。
本部から指導を受けたことも何度かありました。
皆さん方がご存知ない事実も沢山あります。
ただし、私は7ヶ月間単独でお願いしたKさんの指導方法については全く知りませんので、そのことについては言及しません。
前任者というのは、前任の支部長、つまり私の母という意味です。
さてそのお習字教室を12月から私が引き継ぐことになり、まず考えたのが、どうすれば生徒さんがお習字をもっと好きになってくれるのか、ご父兄の方の負担にならずにお習字を続けることが出来るのか、と言う二つの大きな問題でした。
現代の子供達は学習塾やそろばん、ピアノ、絵画教室などに通っており、まず最初に切られるのが書道塾です。
そこで、指導費(月謝)を安くして、家計の負担にならずに、やる気のある生徒さんには書道を続けていただくことを考えました。
兄弟二人で通っていれば、毎月8000円の指導料が必要でした。
私は無料にすることも考えたのですが、それではあまりにもやる気がないように思われるため、半額の一人2000円に設定して、今年の1月から実施しています。
指導費を下げたのは、決してやる気がないとか、指導力がないとかではありません。
私も師範の免許を取得していますので、経験は浅いですが、そこそこの技術はありますし、やる気においては人一倍だと自負しています。
次に、子供達がお習字教室に行きたくなるような方法を考えました。
母の時代からずっと買い続けている「ロバのパン」があります。
パンを売りに来たときに生徒さんに買ってあげるのですが、子供達がロバのパンの音楽とおじさんの顔を見ると、ものすごく嬉しそうにはしゃぐのです。
子供達の素直な気持ちを大切にしようと思い、私の時代にも買い続けることにしました。
そしてそのおじさんは、いつも私に元気を下さいます。
生徒さんが少なくてパンをわずか1個買ったようなときでも、ニコニコして「有り難うございました」と明るく振る舞ってくれる、私にとってはサービス業の先生なのです。
また、子供達の書いた作品は、出来る限り誉めてあげることにしました。
その後に悪い箇所を指摘すると、子供達は納得したように理解してくれます。
これは本部の指導方法から学びました。
なぞりしか出来なかった生徒さんが、初めて自分で書いてみて、お習字の楽しさを覚えてくれたことは、私にとっては大きな成果です。
また別の生徒さんは、硬筆でとても不思議な鉛筆の持ち方をしています。
「鉛筆はこういう風に正しく持つと、もっと綺麗な字が書けるんだよ」と教えてあげると、今その生徒さんは自分なりに工夫をして正しい持ち方にしようと努力しています。
夏には七夕競書大会と席書大会があるので、7月には1泊のお習字合宿を私の宿で行う予定です。
「夕食はカレーライスだよ、みんなで食べようね」と言うと、生徒さんは皆さんとても楽しみにしてくれており、今からその日が楽しみです。
また夏休み以降には、京都や滋賀にある本部の美術館に行くことも計画しています。
子供達にとってはまだ少し難しい書道の作品ですが、その作品を見ることによって、自分もそのお習字を習っているんだ、と自覚してもらえれば大成功だと思います。
「子供達に大海をみせてやりたい」という池田高校蔦監督の心境です。
この話を本部の方にしたら、大歓迎して下さるとのことでした。
もちろん、合宿も見学旅行も参加費は無料で行います。
さて少し難しい話をしますが、伝統とは何かと考えたときに、旧態依然の方法を引き継ぐことでは決してありません。
時代は刻々と変わっているのですから、その時代にあった正しい方法で、自分なりに工夫をして、改善して行くことが伝統だと思います。
しかし決して伝統的に守られてきた習慣をすべて捨てるという意味ではなく、温故知新という意味です。
同じ方法で何年も同じ事をやっていたのでは、この少子化の時代に書道教室が生き残れるはずがないのですから。
実際に各地で書道教室閉鎖の話をよく聞きます。
今ここで新しい歴史を作り、生徒さん全員にお習字を習って良かった、と思ってもらえるように頑張る覚悟です。
私の時代には、沢山の生徒さんに支えられて、日本習字鴨島支部50周年を迎えたいと思います。
今回沢山の方から貴重なご意見を頂き、本当に感謝しています。
お習字に興味のある方が沢山いらっしゃることが分かり、嬉しく思います。
ついでに、私の他の記事にもこのように活発なコメントを沢山頂戴できれば、もっと嬉しいのですが。
また、個人的なことなのに、宿のお客さんまで巻き込んで不快な気分にさせてしまったことを、深くお詫びいたします。
今後ともお習字教室と私の宿とブログも、どうぞよろしくお願いいたします。