ビッグコミックの人気シリーズに「ゴルゴ13」があります。
今から25年前の1986年、原発問題を提起した「2万5千年の荒野」が掲載されました。
オリンピックを直前に控えたロサンゼルス近郊にある原発の村で、試運転の最中に事故が発生します。
技術上の問題を指摘する技師と、何としても完成を急ぎたい会社との対立。
原子炉圧力容器の中に溜まった高圧の蒸気のため、冷却水が入らなくなり、放射線漏れの危機に陥ります。
原子炉の「ウラン235」は核分裂して「プルトニウム239」という毒性の強い同位体になった場合、その半減期は2万5千年であり、ロスが長い間死の荒野になる可能性があります。
スナイパーであるゴルゴ13が、蒸気で何も見えない中、パイプを狙撃して高圧の蒸気を逃がし、冷却水の注入を図る、という結末です。
狙撃は成功して原発は難を逃れるのですが、原発の仕組みは現在とほとんど変わっていないことがよく分かります。
会社側は職員の怠慢による未整備が原因だと発表するのですが、時間がないために突貫工事をした事実を知っている職員が真実を発表します。
結局、「問題は機械ではなく、人間なのです」と締めくくっており、まさにその通りだと納得しました。
課長クラスを記者会見に臨ませて、社長は体調不良でさっさと姿をくらます東京電力という会社と全く同じではないですか。
計画停電や国民が節電を頑張っても、現在の電力供給量では今年の夏を乗り切ることは到底出来ないと思いますが、東京電力や政府はどのように考えているのでしょうか。
天皇皇后両陛下が被災地の避難所を訪れ、体育館の床に膝をつき、被災者の方一人一人に励ましのお声を掛けられている姿には感動しました。
東京電力の経営陣が訪れたときには、立ったままで「どうも」と言って回ったそうです。
今回の災害で、福島第一は老朽化した原発であったにせよ、東北電力の女川原発は全く問題なく安全に停止しています。
危機管理に関しては、関西電力も万全の体制を取っているそうで、会社の安全に対する方針が東京電力とは雲泥の差なのでしょう。
「2万5千年の荒野」を東京電力の経営陣に読ませたいくらいです。