道しるべから吉野川を上流に走ること約60キロ、四国山地の山間の小さな町池田町の丘の上に、高校野球の時代を変えたと言われる「やまびこ打線」の池田高校があります。
徳島県の高校野球ファンなら、母校の校歌は忘れても、間違いなく池田高校の校歌を歌うことが出来ます。
昨日の夕方、徳島県に大ニュースが飛び込んできました。
秋季高校野球四国大会準決勝で、徳島県第3代表の池田高校は見事勝利をおさめ決勝戦に進出し、甲子園の切符をほぼ手に入れました。
22年という長い年月を経て、多くのファンがこの日をどれほど待ち望んでいたことか。
徳島県の高校野球勢力図は池田高校全盛期の後、県内の有力選手が他府県に進学したり、川島高校や徳島北高校などが甲子園を経験したりと群雄割拠、また近年では鳴門勢が力を付けていました。
その中で、池田高校もベスト4くらいまで勝ち進むのですが、なかなか甲子園は遠い存在でした。
甲子園が遠のいた田舎の県立校では有望な選手が集まることもなく、地元出身の22年前の活躍を知らない生徒たちが、クラブ活動の一環として野球をし、甲子園などは夢のまた夢であったのかもしれません。
しかし、監督を始めとして選手全員が遙か遠くにある甲子園という夢を追い続けた結果の「切符」であり、彼らの努力と粘りには拍手を送りたいと思います。
今年の県大会では、道しるべの地元板野高校が強豪の鳴門渦潮高校に競り勝ったり、海部高校が徳島商業に勝ったりと、いつもと違う動きを感じていました。
また県大会の準決勝では、池田高校は生光学園に敗れたため3位決定戦に回りましたが、その後勝ち進み、四国大会の準決勝ではその生光学園に9-3で勝ち、雪辱を果たしました。
また、四国大会決勝で戦う愛媛県代表の今治西高校も、高校野球ファンにとっては懐かしい名前です。
今日の決勝戦では名勝負を演じてくれることでしょう。
道しるべのお客さんからは、
「昔強かったあの池田高校」
とよく言われます。
「昔も強かったけど、春の選抜にも出るほど力を付けたんですよ」
と自慢して言うことが出来そうです。
昔、甲子園で勝った後、インタビューを受けた選手達が口を揃えて言ったことは、
「あそこで打たないと、蔦監督に怒られるので」
蔦監督は天国でもノックバットを持って、自分が育てた池田高校をきっと見守っていることでしょう。
出来ることなら、甲子園で流れる池田高校の校歌を、選手がホームペース付近で一列に並んだ状態で聞きたいと願っています。