道しるべのロビーにあるライブラリーは、ときどき知らない本が増えていることがあります。
お客さんが読み終えた本を寄贈してくださったのでしょう。
今日そのライブラリーを整理していると、辻真先氏編集の旅行エッセイ集
「地球あっちこっち」
という面白そうな本がありました。
そして、「碓氷峠の30年」はすぐ読みました。
碓氷峠の歴史ではなく、著者が学生時代に信州の合宿所によく出かけた話が書かれており、特に彼女と二人で出かけた話は興味深く読みました。
碓氷峠の急勾配を昔はEF63が補機となり、「あさま」や「白山」を押し上げていました。
新幹線ができ、まるで今までの苦労が嘘のように軽々と登る様は別の路線のようです。
つくづく新幹線の旅は味気ないなあ、と思います。
まるで、巨大瞬間移動装置です。
駅に停まれば窓を開けて峠の釜めしなどの駅弁を買う楽しみも昔の話になってしまい、何と旅はつまらなくなったことか。
北海道のローカル線でも2時間待ちくらいなら平気でした。
駅前をぶらぶらしたり、駅前食堂でカツ丼を食べて店のおばさんと話をしたり、それが旅だと思っていました。
飛行機で目的地へ飛んで、ツアーが手配した貸切バスに乗り、観光地を巡って写真を撮り、お土産屋さんに寄って、ホテルに泊まるのが現代の旅になってしまいました。
それは旅ではなくて、ツアーに参加しているだけのこと。
昔は大きなリュックに時刻表を縛りつけて、あてもない旅をしたものですが、スマホがあれば時刻表さえ必要のない時代になりました。
そして高校時代には、旅に出る前に時刻表と深夜までにらめっこをして、父親によく叱られたものです。
そもそも小学校低学年の時に祖父から貰った1冊の時刻表が、私の人生を変えたと言っても過言ではありません。
信越線の金沢から上野に向かう「白山」に乗りたくなりました。
大阪から青森行きの「白鳥」は旅人の夢を運んでくれました。
もっと乗っておけばよかった、と後悔しています。
思わず本を読んだり、こんなことばかり考えているので、ライブラリーの整理が全く進まないのでした。