先日、吉野川市の実家でお習字教室をしていると
「ごめんください」
と来客がありました。
川真田市長の死去に伴う市長選で、立候補の方が立っていました。
「申し訳ないのですが、私はこちらに選挙権がないもので」
とお断りしたのですが、実は立候補した原井氏本人が一軒一軒を挨拶に回られているのでした。
彼は40歳と若く、目が輝いていました。
そして私に握手をし、少しだけ話をしてくださいました。
吉野川市は川真田市長が長く、しかも高齢だったのでやる気を感じられませんでした。
駅前はことごとくシャッター通りで、活気どころか猫の子一匹いないのです。
銀行が去り、モスバーガーが去り、今や閑古鳥が鳴いています。
吉野川市は図書館さえない無文化の街で、子供の時から欲しい本は小さな書店で自腹で買わなくてはなりません。
それを何とかして欲しいと関係ない私が語ったところで仕方ないのですが、真剣な眼差しで聞いてくださったので、少し驚きました。
そして、
「若い市長がこの街には必要なので、是非とも頑張ってください」
とエールを送りました。
「よろしくお願いします」
と、彼の頭の低い姿の奥には、とてつもない熱意と迫力を感じたので「もしかして彼は勝つかもしれない」と直感で思ったのでした。
対抗馬は前徳島県議会議長の樫本氏で、強敵です。
彼は勝ったと思ったのか、挨拶もなければ郵便受けにチラシも入っていませんでした。
そんな偉そうな男に、この街の市長は相応しくない、と思っていました。
そして、この前の日曜日に市長選が行われ、何と原井氏がわずか485票差で樫本氏を破ったのです。
樫本氏も高齢なので、これからの時代は若い人に任せようと、市民の裁定が下ったのでした。
吉野川市は若い人が大学進学に街を出てしまうため、人口減少が止まりません。
吉野川北岸の北島町、藍住町、そして道しるべのある板野町も、人口が増加している町です。
そのノウハウを真似てもいいので、アイデアと実行力が必要です。
中学校で優秀な生徒さんは、徳島市内の高校に進学する少ない枠があり、誰でも入学できません。
まずはその枠を外すことで、それが人口の減少を間違いなく食い止めます。
徳島までは車でも列車でもわずか30分なので、人口が増える要素はあります。
また、吉野川市は徳島県下一の商業地域で、県西部の人は買い物で訪れるそうです。
そのため、田舎なのにスシロー、ジョイフル、マクドナルド、すき家、丸亀製麺など全国チェーンの飲食店が、そしてスーパーもこれでもか、というほど沢山あっていつも賑わっています。
また関西に店舗網を持つ格安のスーパー「ラムー」もあり、駐車場に車を停めるのには苦労します。
このパワーを益々発展させるには、より広大な無料駐車場、そして街と道路の大胆な整備が必要です。
そして、若い市長のアイデアと決断が必要なのです。
また、昔から道の駅の構想はあるのに、なかなか話がまとまらず、JAの市場が細々と営業しています。
広大な駐車場の道の駅建設と、お遍路は11番札所の藤井寺があるので、その横に斬新なアイデアの「四国遍路文化館」を建設すれば、自動的に年間20万人が訪れるのです。
多額の資金が必要な事業は難しいと思いますが、正に吉野川中流域の吉野川市でなければ出来ないことも沢山あります。
守りに入っている徳島県知事も徳島市長も、私は何も期待していません。
原井氏に握手をしていただいた時に、熱意のある人の手と目の輝きは気迫が違うのがわかりました。
関係ない人と握手をするのは無駄なだけなのに、その熱意はなかなかのものです。
死んでいた吉野川市が今まさに蘇ろうとしています。
困難もあるかと思いますが、若い原井市長のやる気と勇気に期待します。
「堅忍不抜」の精神で頑張って欲しいと思っています。