驚いたことに、徳島県下の観光施設は正月三ヶ日を含めた年末年始は、ことごとく休業します。
時代の流れからすると、全国的に忙しい百貨店やレストラン、コンビニでも休みにする傾向にあります。
しかし、徳島の店は何十年もの間、ずっと休んできました。
昔から言われたことは、
「他人が休んでいるときは自分も休みたい」
やる気が無い県民性なのです。
そのため、お正月にお客さんが来られても、観光に行くところがありません。
祖谷渓は寒いし、県南も初詣の日和佐の薬王寺があるくらいで、特に観光するところはありません。
寒い中、襟を立てて近くの温泉施設に行っても休館なので、悲しくて涙が流れてきます。
街には人と車が溢れているのに、シャッターを閉めているのです。
また徳島市の阿波踊り会館は、「毎日踊る阿波踊り」をキャッチコピーにしていますが、年末年始はしっかりと休館します。
「毎日踊らないんですね」と受付窓口で嫌味を言ったこともありますが、入館料もさりげなく昔の倍の千円になっていて金儲けに走っています。
お遍路宿の中には、8月の阿波踊り期間中はオーナーも見たいものだから、休館にするところもあります。
もし営業しても、普段の倍以上の宿泊料をボッタくることで、徳島県民は納得します。
需給関係をイマイチ理解していないので、ボッタくられたところにはお客さんは二度と泊まりません。
徳島には「へらこい」という方言があります。
他人を見て、ズル賢い行動を揶揄して言います。
しかし、それは裏を返せば「羨ましい」とか「妬み」なのです。
金儲けをしたい気持ちはあるものの、人が休んでいるときに自分だけ働くのは大変だから、いっそのこと休館にして目をつぶってしまえば、誰にもバレないだろうというズルい考えなのです。
やる気が無いことを、そんな風にして誤魔化しているのですから呆れてしまいます。
さて、そんなやる気が無い中、大鳴門橋の中を歩いて観光できる「渦の道」が初日の出イベントを開催しています。
確か県の施設なのですが、元旦から「行ってみる」という人もいて、驚いています。
恐ろしく風が強く、バイクは押して歩くほどなので、
「車なら眉山の山頂もオススメですよ」
と案内しても、渦の道へ行かれます。
鳴門の渦潮はネームバリューもあるし、一度は行ってみたい場所なのです。
初日の出は、上ることがわかっているので安心して見られます。
南海トラフ地震がその瞬間に起きるかもしれないと思うと、女性は着物を着て暗い夜道を避難できるのでしょうか?
お正月だからと気が緩んだ生活は、やはり心配になります。
鳴門の渦潮は、それぞれ毎日2回の満潮と干潮の時に出現するので1日4回ありますが、夜は見えないので2回しか見られません。
でもその時だけは、お客さんは渦潮が目的ではなくて、初日の出を狙っているのです。
そこにやっと気がついたことは、観光の観点からすれば、徳島県は大きな前進だと思います。
やっと重い腰を上げたものの、前途多難な未来が見えています。