NHK-BSのドキュメンタリー「中国、成昆鉄道」を見ました。
成昆鉄道は、四川盆地の成都と昆明を結ぶ山岳鉄道で、4000メートルの峡谷を縫うように走る、鉄には堪らない路線として有名です。
山を登るにはオメガループで、飯田線の「田切の大カーブ」を思い出しました。
毛沢東が1958年に建設指示を出して70年に完成し、また2000年には全線電化されました。
日本のブルートレインは8両くらいが標準ですが、列車は何と19両編成で、北海道の貨物列車みたいです。
また、四川盆地は人口が1億人以上いるため、1日の利用客は6万人もいるそうです。
長江を渡った列車は、峨眉(エメイ)駅から山水画で有名な峨眉山を越えると楽山には世界一を誇る大仏、高さ71メートルの楽山大仏があります。
岩を掘って建立した巨大な大仏です。
成昆鉄道 は、427本のトンネルと断崖絶壁の連続で、特に山岳地帯はスコップとツルハシでトンネルを掘り鉄橋をかけました。
そのため、20キロの難工事区間では、1万人の工事殉職者を出したそうです。
殉職者の碑には「為人民而生 為人民而死」(人民のために生まれ、人民のために死す)
とあるそうで、人の命より工事を急ぐことを優先した時代は、今と全く変わっていないのでした。
列車は最高地点の2300メートルを過ぎると下りに入ります。
山の中腹の鉄口駅を過ぎると、大きくカーブして新涼駅に到着します。
それは正に釜石線の陸中大橋駅とそっくりです。
雲南省は標高は高いものの、亜熱帯に属しているので一年を通じて温暖な気候です。
中国に住むのなら人口300万人の昆明がいいなあ、なんて考えていました。
そして、成都から昆明まで24時間必要ですが、直通列車の運賃はわずか3000円です。
旅をするなら新幹線ではなくて、成昆鉄道くらいのノンビリ旅が最高です。
このドキュメンタリーを見て、飯田線や只見線、磐越西線を連想しました。
私の大好きな飯田線は、長野県地図帳を片手にすれば、豊橋から岡谷まで飽きることはありません。
飯田線の下りは、乗り鉄には最高の路線です。
ところで、中国の都市名を日本では漢字をそのまま読んでいますが、何故中国語の発音で読まないのか、不思議に思っています。
都市名は、その国の呼び方で正確に読むべきです。
だから、中国人に北京を(ペキン)と発音しても、台湾の高雄を(タカオ)と読んでも通じません。
北京は(ベイジン)で、高雄は(カオシュン)なのですから。
また、昔は中国国内でのカメラ撮影は禁止されていましたが、今ではNHKのカメラも平気で山岳地帯へ入ります。
そして、NHKカメラマンの撮影技術の高さは素晴らしく、恐れ入りました。
私も久しぶりに撮り鉄に出掛けたくなり、四川盆地にも私のような「撮り鉄」がいて、成昆鉄道のような山岳鉄道があると思うと、酷く羨ましくなりました。