GWの先月29日、JR九州の展望付き観光列車の「あそボーイ」が、豊肥線を走行中に倒木と衝突してガラスが割れる事故が発生しました。
思い出すのは数年前、北陸線の鳩原で「トワイライト」の撮影に出かけた時のことです。
時刻表の時間と駅間距離、列車の速度を緻密に計算して列車の接近時刻を調べるのですが、まだ暫く間があったため、近くで作業をしていた保線区の方と話をする機会がありました。
「新幹線は確かに便利だけど、在来線が第三セクターになってしまうと、安全面が心配だ」
と北陸線の事故のことを心配されていました。
彼は年配の方だったので、もしかして「きたぐにトンネル火災」の事故処理をしたのかもしれません。
その事は、嫌な昔の記憶を蘇らせてしまうので、口にはしませんでした。
ただ、その時は
「鉄道は安全なので、第三セクターになっても心配ないだろう」
と心の中で思っていました。
鉄道は、その計画や敷設工事も大変な作業だし、運転にも神経を使う仕事ですが、最も大切なのは保線区の方の仕事だと思っています。
昔は早朝からトロッコを漕ぎ、線路の安全を確かめてから始発列車が走ったそうです。
土讃線の繁藤災害は、その確認後に土砂崩れが起きて始発列車が乗り上げた大災害でした。
(実際の事故は二次災害もありました)
山国に住む日本人は、寝る間も惜しんで鉄道を敷設し、安全を確保してきました。
お客様を安全且つ速やかに目的地に運ぶ、その重大な使命に鉄道マンは燃えていました。
ただ、その鉄道が赤字だからといって国が分割民営化を進めてしまった事は、世紀の大失敗だと考えています。
ビジネスライクに変貌した鉄道会社間で競争を始めた結果、福知山線の事故が起きました。
もしもJRが国鉄なら、多少列車が遅れても間違いなく乗客の安全を第一に考えたと思います。
今年の正月休みに乗った「18きっぷ」でも、列車が遅れたために車掌が事前に切符を回収して1分1秒でも遅れを取り戻す努力には脱帽しました。
と言うか、実際はそこまですることに呆れましたが、単線の高徳線なので仕方ありません。
そして今回のJR九州の事故は、運転士が倒木に乗り上げたことに気付かなかったそうです。
倒木で済んだから良かったものの、土砂崩れだったり脱線して崖下に列車が転落していたと思うと、ゾッとします。
JRは収益を追求するあまり大事故を見過ごす会社に落ちぶれてしまい、北陸線の保線区の方が危惧していた通りの事故が起きてしまいました。
何度も書きましたが、リニアは必要ですか?
地震大国の日本で、走行中にリニアが脱線すれば飛んで行ってしまいます。
トンネルに激突するかもしれません。
乗客の安全を無視してまでも建設しているリニアに乗りたいですか?
安全神話で建設された新幹線も、先日の地震で東北新幹線が脱線しました。
人的要素はあったにせよ、知床観光船も沈没しました。
交通事故のニュースも後を絶ちません。
「安全神話」を信じるのではなく、自己責任で乗り物に乗る時代です。
そして、世界中には安全な乗り物なんて無いようにさえ思うので、乗車前には
「事故で何が起きても私の自己責任です」
と誓約書を書く時代が来るかもしれません。(^^;