昭和39年の東海道新幹線開通時から活躍を続けてきた0系新幹線が、今日の運転を最後に引退しました。
私が初めてその新幹線に乗車したのは、数年後の夏のことでした。
当時徳島に住んでいたので、大阪から東京に走る新幹線に乗車する機会はほとんどなかったのですが、小学校の夏休みに名古屋の親戚を訪れることになり、新幹線を利用したと思われます。
当時徳島線はまだSLが走っている時代で、座席は直角で、丸形照明灯は薄暗い旧型客車が当たり前でした。
その時代に時速200キロで走る列車などは信じられませんでした。
最初の印象は、車内のエアコンがよく効いており、涼しい中にも、少し埃くさいエアコンのにおいを感じたのを覚えています。
名古屋駅で下車したときは、東京へ向かう新幹線を見送りながら、東京を知らない私にとって未知の世界へ旅立つ不思議な乗り物のような気がしました。
今から40年も昔の話です。
先日、JR東海の新幹線の運転手さんがお客さんとして見えました。
とても興味深いお話をいろいろとお聞きすることが出来ました。
0系の新幹線だと線路にいるカラスは余裕で逃げることが出きるそうですが、のぞみが運転されるようになってからは、カラスは逃げるタイミングをつかめずに、700系新幹線のフロントに激突することがしばしばあるそうです。
今はもうカラスも学習して逃げるのでしょうが、それだけ速い乗り物を作り出す人間の技術にはカラスも驚きです。
ところで、私は新幹線は好きですが、あまり利用しません。
東北新幹線は、八戸まで開通してやっと乗りました。
上越新幹線は、新潟まで行く用事がないので、越後湯沢までしか乗っていません。
秋田新幹線も山形新幹線も、長野新幹線も、九州新幹線も、知りません。
板谷峠や碓氷峠を列車で越えることに命を捧げたたくさんの人たちの努力が報われないような気がするから、というのは大袈裟でしょうか。
旅は高速移動するものではないと信じているので、個人的な旅行に新幹線や飛行機を利用することはまずありません。
しかも将来、リニアモーターカーが開通すると、東京から大阪までわずか1時間で結ばれることになります。
乗ってみたいような気もするし、少し怖い気もするし、それまで生きていないような気もするし。
とにかく長生きしてから、乗るかどうか決めたいと思います。
高度成長時代の日本人に意欲と期待を与えてくれた0系新幹線、長い間ご苦労様でした。