元フジテレビの鳥居滋夫アナウンサーが亡くなったという、小さな記事が先日新聞に載っていた。この名前を見た途端、一気に30年以上も時を遡っていく気がした。
私が小学生、競馬を知り初めた直後、貪るように優駿やら週刊競馬報知を読んだりしていた頃、フジの競馬中継は鳥居さんが担当していて、レギュラーゲストに川口浩、野添ひとみ夫妻が出ていた。最も競馬に対してピュアな感覚だったころの語り部だったわけだから、そりゃ思い出深いってもんです。(ちなみにテレビ東京ではロンゲストショーというワイド番組の中で土曜に競馬中継の枠があり、昭和50年あたりは当時局アナだった小倉智昭が実況、渡辺正人元騎手と声優の加藤みどりがレギュラーだった。そのあと小坂巌アナに移る)
鳥居氏は50年頃に異動して、替わりに看板を張ったのが盛山毅アナ、そして大林宏アナだった。鳥居氏から続くこの辺りのアナの実況は、声質の良さ、基調は抑え気味ながら、低めの時とクライマックス時のメリハリの付け方が絶妙だった。特に盛山氏の実況が私は大好きで、50年、51年のダービーや有馬記念、52年のTTG決戦などの実況の巧さは、未だに誰も超えていないとさえ思っている。
関西は杉本清氏が担当していたが、関西のレースも盛山さんにやってほしいと失礼ながら思っていたのものだった。競馬実況というと、今はイコール杉本氏という認知になっているが、私からしてみたら鳥居氏から連なる盛山、大林までの実況が、遥かに印象的だった。声質やテクニックなどは、個人の好き嫌いの範疇なのだが。
またあの時代が遠くなった気がする。今は民放の競馬中継は見なくなったが、どんな現状なんだろう?
さて話は代わって、今度は今朝の新聞からの記事。またしてもタミフル服用の少年が窓から飛び出し転落死したとのこと。痛ましいのひとことだが、厚生省は依然として因果関係を認めにくいとの1点張り、だそうだ。
いろいろな記事を検索していくと、妙なことに気が付く。厚生省が出しているのは、ほとんどが「{妄言、異言症状}の発生については、インフルエンザ脳症との差異を認めにくい」としているもので、頻出している暴走、自殺行為と脳症、タミフルの関係については、言及をしていないのである。
国立感染衛生研究所になると、因果関係については「現在調査中」という発表をずっと続けており、副作用の有無については何も言いたくない感じが見える。さらに「不安を感じる人は服用しなければよろしい」という微妙な発言も。
そして、医薬品を監視するための非営利活動法人「医薬ビジランスセンター」は、「インフルエンザでうわごとを言ったり、幻覚をみるようなことはあっても、暴れて走り回ったり、高所から飛び降りたりするほどの暴走状態に陥った例は聴いたことがない」としており、タミフルには副作用の疑いが濃いと指摘。詳細なデータと、どの成分による発作なのか、原因追求と情報公開を早くすべきで、因果関係調査中などという生ぬるい態度では遅い、としている。(つまりもう原因を探る段階だということ)
さらに不思議なのは、タミフルの備蓄世界一のアメリカでは、説明書に、異常行動が出る恐れがあるとすでに明記されていることだ。
新薬の製造、認可、あるいは国からの増産要請による製造拡大をする場合の「製薬利権」の問題は、あまり追求されることがないが、かなりダークな闇に包まれていることは知られている。今回のタミフルについても、今さら止められると困る人たちがたくさんいるんじゃないかと、疑いたくもなる。私の身内や知人には病院勤務者や、薬剤師がいるので、以前からそういう業界の実態は耳にする機会があって、まあそういうこともありそうだなと思えるのだが、とにかく私服を肥やす奴らのために、命の値段が下がるような事態にだけはならないことを願う。
もう1つも今朝の新聞から、手短に。国際セリ名簿委員会が、中央競馬の、国際競走以外のグレード使用を認めないとする記事。しかし、万が一にもJRAがこの言い掛かりにも似た要求を丸呑みすることは無いと信じる。さらに、クラシックを開放してしまうような愚挙を犯さないことも信じる。

1