競馬がないのは確かに拍子抜けだが、しかし事務処理や最強、東京1週間の原稿の締め切りが20日に集中していたので、それを繰り上げてできたし、また荻伏・・・じゃなかった、ブルーインベスターの臨時仕事も21日締めで週末に飛び込んできたので、結局日曜は1日仕事をしていた。意外と今週半ばぐらいになってからの方が、禁断症状が出てきそうな気がしている。
紙媒体では字数制限があって、どうしてもこぼれてしまうこともあるので、今回の騒動について、いくつかまた拾い上げてみる。
まず、これは原稿にも書いたが、今回の事はあくまでも災禍であり、責任がどこにあるかなどという「犯人探し」をしても仕方ないことである。全ての競馬関係者、競馬ファン、なにより馬が、被害者なのだ。
ハッキリ言って、競馬マスコミの多くは(もちろん一部には良識的な人はいて、きちんとした記事もあったのだけれど)、やれ責任追及がどうだとか、損害賠償がどうだとか書きたてているが、まあものを批評、批判するにはそれなりの品性とか知性とかが必要な訳で、今の競馬マスコミにはそれがキチンとできるだけの質が備わっていない。それは今回改めて明らかになったと思う。以って他山の石とせよ、ということで自戒したい。
こういう緊急事態(競馬関係に限らないが)の際は、一刻も早い事態収拾策と、再発防止策の検討というのが最も大切で、これを同時に、かつ迅速に行なう必要がある。これはこの騒動については、主催者であり管理監督者であるJRAにしかできないことである。
そこを踏まえた上で、あくまでも、その策の方法論についての意見提示、問題点に関する洗い出しは、必要不可欠な作業である。それが、今後別の災禍に見舞われた(人災含めて)時の教訓となり、ファン離れを防ぐ対応へ繋がっていくわけである。ところが、そうした指摘も、単なるイチャモンとひと括りにされてしまい、『批判は全て非常識』みたいな扱いになってしまいがちなのも憂慮すべき事態。そこを嗅ぎ分ける感覚については、もう競馬ファンを信頼するしかない。
あくまでもそうした観点に立つよう努力した上で、前回書けなかった問題点を挙げてみたい。脱線しつつなので、時系列に整合性はありません。
★ 16日木曜、JRAのHPが16時前までなんの更新も無かったのは、あまりにもお粗末だった。この日の正午の段階で、すでにインフルエンザ発見はニュースとして一般にかなり広まっていた。当然、広報の顔であるHPへのアクセスは集中したはず。それが16時までほったらかしというのは、いくらドタバタしていたとはいえ、あまりにも不親切だったと思う。
そして、この日の午後には一度出馬表が発表された。この発表によって、開催決行と勘違いしたファンや一般マスコミがかなりあったそうだ。
今日19日・日曜夕刻には、開催を想定して次週の特別登録が発表されたが、今度は「開催決定を意味するものではない」という一文が添えられていた。この一文を付けたことは改善点として評価。しかし、何故この程度の事が最初からできなかったのか!?ということは指摘しておきたい。開催するか否かの綱引きがギリギリの攻防戦だったのは分かるが、とにかく「決定でない」ということだけははっきり打ち出しておかないと、結局内部の綱引きに多くの人たちを巻き込む事に繋がってしまうからだ。
★ そこで思い浮かんだのが、17日の会見で佐藤常務理事が発した「JRAは競馬の開催を第一に考えるのが使命」とした言葉だ。一見した限りでは、まこと正しい姿勢に思えるし、決して間違えたことは言ってない。しかしよく考えると、個人的にはこの言葉は正論であってもどこか承服しかねるものでもある。
開催を取り止めたら、多くの損害が出るのは確かである。そうおいそれと中止にしますということもできないのは当然。ただし、細かくは書かなくても分かると思うので書かないが、今回は雪害や台風、ストとは意味が違う(解決への見通しその他の点において)。いついかなる時も、目先の開催を第一とする立場を押し通すことは正義なのか?ケースバイケース、その時々の局面にあった臨機応変な姿勢というものも、決断においては重要なのではないだろうか。
まず、このような状況下での開催が、ファンの信頼を得られるのかどうか?
また開催した場合、出走馬の体力はまず100%、平常時よりも低下する。そのことがより感染を拡大させ、次週以降の長期中止につながるのは必定ではないのか?
(これは獣医師も同様のことを言っていた)つまり1週の開催を採ったがために、長期を棒に振る危険性があったということである。(もちろんそうはならない可能性もゼロではないのだけれど)
競馬にはたくさんの立場の人間が絡んでいるから、全ての人たちが納得し、不利益を蒙らないような舵切りをするのは至難の業である。ただ、主役である馬の健康、収入源の全てである(つまり唯一のクライアントである)ファンの混乱、この2つの優先順位上位の存在を思えば、結論はおのずと明らかだったと思われる。
記者会見では、何度も「万全の状態」と言う言葉がJRAから出たのだが、(その言葉尻をいたぶるような見識の低い記者には頭が痛くなった)この「万全」という言葉を借りれば、JRAの使命はただ「開催を行う」事ではなくて「万全の開催を行う事を第一とする」という事に尽きると思う。
もっとも、外見上、感染馬があまりにも健常馬と差がないことも、判断を鈍らせた原因の1つではあったのだろうけれど・・・。
★ 19日の新聞に掲載された関係者コメント。福永騎手が「JRAには最悪の事態を想定して動いてほしい」とコメントしているのを目にして、ちょっと見直した。そう、有事の際の指導者は最悪を想定して動くべきである。
★ 17日の記者会見では、最強の記者と同行したのだが、その時に雑談していた中で、競馬番組に穴が空くなら、いっそこの会見をノーカット放送しちゃえばいいという話が出た。人前で話す能力、人の話を聞く能力、すべてが浮き彫りになる好企画だと思うんですけどね。
言葉尻を捕えられたくないがゆえに、婉曲に婉曲を重ねて結局何が言いたいか分からなくなっている答弁、語尾をぼかして断言を避ける物言い、また言い掛かりのような発言、流れからズレたひとりよがりの質問(私のことです)など、突っ込み所は満載だったです。
・ ・・とまあ、こんな偉そうなことを言っておいて最後にすべてを引っくり返します
が、NETKEIBAの担当者からの連絡で、私のコラムも掲載されているサイトのリンクをご紹介しておきます。(このパターン、たけしのオールナイトでよくあったなあ・・・・。「さて、ここでお知らせです(爆笑・ここで商売かよby高田文夫)・・・」)
netkeiba
http://www.netkeiba.com/
netkeibaPOG
http://pog.netkeiba.com/

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