ちょっと時制が前後するが、これについては触れておきたい。
「1馬」が450円に値上げされる告知を見たのが日曜、その翌日、あの名門紙「ホースニュース馬」の休刊という驚きの知らせが入った。重鎮の沖田雅輝さん、結果分析での津田さんとお世話になったリ仕事で繋がったりしている方もいるので(面識はないが間接的には丹下さんもそうだ)、心配ではある。
競馬自体のファン減少も確かに一因だと思うが、それよりも競馬ファンが専門紙を買わなくなっていることの方が直接的な原因になっているのではないか。400円が高いという声もよく聞く。ただ、傲慢を承知で言わせてもらうなら、400円の金を惜しんで130円の日刊紙で済まさないといけないほど逼迫しているのなら、そもそも馬券買ってる場合じゃないでしょ?という気もするのだ。特に若いファンが、それだけの金額を倹約してしまおうというのは、志が低すぎる。無理をしても専門紙を買うくらいの気概で臨んでほしいと思うのは・・・おかしいのか?
もう1つよく聞くのが、「WEBで情報を得るので、専門紙自体が不要である」という声。ただ、みんながみんなパソコン抱えて競馬場へ行く訳ではないだろうし、また自宅でPAT購入するといっても、画面にはそのレースの出走馬すべての馬柱を、同時に見渡せるほどのスペースはない。一目で視野に入れることで見えてくるものは実に多いと思うのだが・・・。
それに、「手で実際触っている」ということからくる、所有感の手応えはどうなってるの?競馬だけではないけれど、情報のような無機物にすら手触りはあるのだ。これを感じないでどうするのか?
古いのひと言で片付けられてしまいそうだが、逆にWEBだけで事足れリとする人たちの考えは、一生掛かっても分かりそうもない。
と同時に、そうしたスタイルの問題以外にも、ファンが離れた理由はあるのだろう。これはホースニュースがどうこうということではなくて一般論だが、厩舎に出入りしてコメントを聞き出すということの意味や価値が、もはや低下しているのかもしれない。「良い事しか言わない厩舎コメント」「批評を許さない厩舎、コメントをありがたがるあまり、それに甘んじるマスコミ」が愛想をつかされているのなら、方向性を変えることも必要なのだろう。例えば取材を縮小して、その分、調教分析、ローテ分析をしっかり行う記事が出現すれば、400円なり500円なりを払う「値ごろ感」も出てくるのではないだろうか。
いずれにせよ、日本の専門紙の馬柱は、世界に類を見ない密度を誇る。これが印刷物として我々の手許に届かなくなる日が来るとは思いたくない。ファンの平均年齢が50歳を超え、60歳以上も3割を占める日本競馬だけに、まだまだ当面は紙媒体のニーズは高いと思うが・・・。

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