年末年始のことがまだ書けないでいるが、って前回も書きましたが、昨日の大事故について。とにかく大ケガをした騎手、馬がいなかったのは不幸中の幸いとしか言いようがない。何年かに一度、こうした連鎖的な多数の馬が落ちる事故は起きてしまうが、今回のは場所が直線入口ということもあり、視覚的な衝撃も大きかった。
とにかく、時たまこういう事故が起きると、綺麗ごとではなく、死と紙一重のところで騎手の仕事というか、競馬自体が成り立っていることを思い知らされる。報道によれば内田騎手の場合は、落ちた瞬間、咄嗟に腕で頭を覆った所へ蹄が飛んできたそうで、これが原因で腕を骨折したとのこと。もし頭を庇っていなければ、場所が場所だけに最悪の事態があった恐れもある。騎手に限ったことではないけれど、本当に運1つで人間の全てが決まってしまうということに改めて慄然とする思い。
また、芝ではなくダートだったことも、スピードがやや遅くなる分、危機回避にとってプラスだっただろうし、落ちた際の衝撃の緩衝にも繋がったのだろう。
三浦騎手はゴールした後はこんな大事故になっているとは思わなかったとのことだが、この程度で済んだことは、彼にとってもまた不幸中の幸いであった。
何度もVTRを見たが、三浦騎手の御法自体には、大きな過失はない。外へ斜行したというよりも、馬が何かの原因(手前を替えたことか??)で後肢をふらつかせ(ラチに接触したようにも見えたが)、密集した馬群で後ろにいた勝浦騎手の馬の前肢を払ったような形になり落馬、そこへ後続が突っ込んできた。ただあれだけの事故の原因となったことは確かなので、何らかの処分を下さないといけないということだったのでは・・・と思われた。公式には、「外への動きにより事故が発生」と明記されている。
ただ、火曜の報道を見ると、中村裁決委員による「内ラチへ近寄りすぎたことが危険を招いたと判断した」とのコメントが出ており、また匿名調教師も、「4角では内ラチを空けて回るのが普通」と語っていた。もしそうならば、「外への動き」という事故理由は、即座には納得しかねる。
「ラチへ近づきすぎたから危ない」というのは、ラチへ接触する可能性があるから、と解釈できる。ラチに当たって外へ動いたというのならば(私の目にはそのようにも見えたが)、そのようにキチンと書くべきである。三浦騎手が外へ故意に出そうとしたことと、内に居てラチに接触して馬が外へ動いたというのは、意味が全く異なる。「外への動き」だけでは、その辺が分からない。こういう大きな事故なのだから、対一般マスコミという意味でも、その辺の因果関係は細かく正確に伝えるべきである。一部報道には、単純に三浦騎手のラフプレーという扱いになっているものもあった。
ただ、長く競馬を見ているが、ラチを空けて回るのが常識というのは初めて聞いた。むしろ武豊騎手などは、「騎手が内をすくわれて差されるのは恥かしいこと、日本には内を空けて回る騎手が多すぎる」と以前苦言を呈していたし、またラチへもたれるようにして回ってくるシーンはレースで日常的によく目にするのに。
もし内ラチへ付くことを危険行為と定義するなら、それらはみな処罰の対象になっていなければならない。どうも事故がおきてからとってつけたように言いだしているようにも、思えてならないのだが・・・・。

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