輪病の日々疑似患者の日々

早寝は山の鉄則・・・・・・これは登山者のはなしでしてキャンプと言えばやはり盛り上がるのは夜でしょう。

山梨の青年もあっしもたいして御来光に執着がないので獅子鼻で月夜のアルプスをつまみに楽しいひととき！

まぁこの青年がとても山登りとは思えない色白でイケメンで爽やかさ全開、まるでオシャレなカフェで言葉を交わしているような軽妙なトーク。

まぁそんないい男に釣られてお菓子を大量に持ってきた女子大生や「小屋の中から見てたら楽しそうだったから」と焼酎を持ってやってきた静岡の山登りトラッカー、月夜の写真を撮りにに来てそのまま輪に加わった富山の熟年夫婦・・・・月がぐっと傾く深夜まで３０００ｍの稜線に笑い声がひびきました。

南岳まで歩いたので今日の下山は余裕綽々、夜更かししたのでゆっくり寝ていようかと思ったけど結局早く目覚めちゃって御来光を拝みました。

常念と浅間山のダブルシルエット。

昨夜の仲間達も結局早起きしてしまったようです。

南岳小屋はこれから難所大キレットや穂高縦走を目指すパーティーで賑わいはじめる。


超難所大キレットを望む、雲上幕営隊立入禁止区域

あっしは地元民だから南岳新道を下ってしまえばもう家に着いたも同然なのでちんたらちんたらかたづけてラーメンすすってと余裕綽々。

笠ヶ岳ビューを楽しみながらサッポロ一番塩ラーメンin美女餅

この３日間同じコースを歩んで抜きつ抜かれつしていた教師ＯＢ氏、ウッドシャフトピッケル老人氏、超軽装備ハイキングおじさん氏が次々出立、交わした言葉は少なかったけど一緒に歩き続けた仲間、どこかの山での再開を約束してそれぞれ握手をして見送った。

さて、あっしも下ろうかな、下方に見える出刃包丁の刃を渡るような尾根を行きます。
下山路は南岳新道、一気に１０００ｍを急降下するとても厳しいルートだそうで・・・・

ざらざらの斜面を下り、一本橋を渡りゴロゴロ岩の小カールを抜けるとこの階段で出刃包丁尾根へ取っつきます。

いきなりこんな道、８月末には転落死亡事故がありました。

左右共に切れ落ちていますが特にオススメの左側をのぞくと　
「ひぇ〜」・・・・シュチュエーション的に谷底に吸い込まれて行く気がして西鎌の断崖よりコワイ。

まだまだ続くよ〜。

ここでつまずいたりバランスを崩したりしたら人生終わるかも・・・

よせばいいのにコワイ物見たさ・・・・・

やっと包丁の刃渡りのような痩せ尾根はおわりますが・・・・

真ん中やや上の赤い屋根が槍平小屋、ここから絶壁を超急降下します。

この下りがツライツライ・・・・何人もの登山者とすれ違うけど当然登りも相当です。

自転車乗りなので大腿四頭筋には絶対的自信があるのですが、考えてみると自転車や山登りは筋肉が縮んだ状態から伸ばしてゆく運動。

一方、下りは筋肉が伸びた状態から荷重を支えながら縮む運動。

・・・・・しかも背中の荷物や段差へ降りる加速付き。

こんなトレーニングは意識してやっていませんわ。

いやぁホントいやんなりますわ、猛烈急降下のあとはまた絶妙に足場の悪い下り、

前傾を深くとって横向きになって一歩ずつ一歩ずつ、

木製階段が何カ所も現れてこれを下るのも結構大変、

ストックを持っていないことを後悔後悔・・・・物欲？ノンノンこりゃぁ必需品よ。

ヒザが笑うような情けないことにはなりませんでしたが自慢のフトモモはパンパンに張ってかなり熱を持っていました。


ヘロヘロになってようやく槍平小屋到着、さすがに標準コースタイムを３０分オーバー。

ちょっと甘めのカツ丼で初体験南岳新道下山の打ち上げ！

槍平にくれば家に着いたも同然と思っていたけど足のダメージはかなり甚大です。

槍から飛騨沢を下ってくるプラスアルファ程度の事を想像していたのでここから白出沢までのゴロゴロ石歩道はかなり辛そうだなぁ・・・・・・・・いやいや過信は禁物でした。

・・・・もちろんいざというときのためもう一日泊まれる予備日程と装備はしてありましたが。

さて、ゴロゴロの石道を足を引きずりながら歩いて白出沢からかったるい林道歩き。

・・・・ああ「特権」発動したいよぉ〜

・・・・よっちゃん通らんかなぁ〜（穂高周辺担当のあっしの同僚）

・・・・あ、業者の車だ！ちっ知らない人か。

まぁいつもこんな事を悶々と考えつつ黙々と林道を歩いてます・・・・実際はプライベートの時には特権は使ったことありませんからね。

煩悩に悩まされながら新穂高到着。

途中どれだけ嫌になったかわからないのにここまで着いてしまうとまた行きたくなるのは不思議なものです。

新穂高から家まで一時間弱、家にたどり着いて車から降りると・・・・

あ、足が・・・・

足が・・・・

固まってます。

ついでに大腿四頭筋はひどい筋肉痛・・・・・

わははは、その日に筋肉痛ってことはナルケッタさんまだまだ若いねぇ。

筋肉痛２日間続きました・・・・

３０００ｍ稜線漫遊路と南岳小屋テン場、南岳新道は今回が初体験、さすがに北アルプスでも指折りの人気スポットだけに最高でした。

・・・・う〜ん南岳新道はできれば回避したいなぁ、出刃包丁の刃渡りは楽しかったけど・・・

・鏡平からあれほどのきれいに槍穂が見渡せたのも初めてでしたし、西鎌は相変わらず楽しかったし、なんといっても３１８０ｍ槍ヶ岳頂上を踏めたし、たんまりと高価な缶ビールやワインも楽しめたしやっぱり雲上幕営は楽しい！

今回の雲上幕営で立山と剣岳を従えて堂々と佇む薬師岳に魅了されてしまった・・・・次回の目標は決まったも同然！？

槍ヶ岳山荘でお目当ての焼きたてパンと槍ヶ岳ワインをゲットして大喰岳(3,101m）中岳（3,084m）南岳（3,032ｍ）の三千メートル峰が連なる天空の稜線を越えて南岳小屋を目指します。

・・・・・ワインって重いよ・・・・・・ホント。




日本一高い峠の飛騨乗越（3,020m)、
車が通れる日本一高所の峠はご存じ乗鞍岳エコーライン県境(2,716m)
ちなみに日本一高所の道路は静岡県道152号線(3,7XXm・・・詳しい数字忘却)
車が通れる日本一高所の道路はこれも乗鞍岳コロナ観測所への道(2,872m・・・当然あっしは仕事の関係で車で通行済でっせ）

槍の肩から100m下ってまた100mほど登ると大喰岳。
槍ヶ岳山荘の手前の白く見えている斜面がキャンプ場・・・・一見素敵そうに見えるけどあまり良い場所ではありません。

掛け値なしの３０００ｍ稜線漫遊路、遠くに穂高連峰を望みながら中岳を目指します。

稜線と言っても当然ながらかなりのアップダウン、一気に高度を下げて再び一気に登ります。

中岳頂上手前の２連ハシゴ場、見た目はスゴそうですがそんなに大したことはありません。


小さな峰を一つ越えるたびにこのように岩石の質がまったく変わります。
地質には詳しくないのでわかりませんが「地球って生き物なんだ」とあらためて思います。

難所と言えばここかなぁ・・・・西鎌の絶壁を通ってきた身としてはこれしきの高度感は全然大したことありませんが落ちれば痛いでは済まないでしょうね。

まさに天空の散歩道
大人気の槍ヶ岳周辺に比べてとても静かに楽しめました。

標高３０００ｍの丘を越えて行くと

ガスに煙る北穂高岳が迎えてくれます。

わぉ！やっぱり南岳小屋まで来てヨカッタ。
最高に気持が良さそうなキャンプ場、なだらかな斜面と最高の常念・笠・北穂高ビュー、しかもとても静か・・・・三つ星決定！

槍ヶ岳と乾杯・・・・北穂とも乾杯しました。



小屋裏の獅子鼻でワインとクロワッサンとシチューを味わいながら標高３０００ｍのサンセットショーを楽しみます・・・・これぞテント泊の醍醐味。

サンセットディナーショーのあとはアルプスムーンラートバー、
月明かりに浮かぶ穂高や笠ヶ岳をつまみにして隣のテントの山梨の青年と山談義。
ここに埼玉の女子大生コンビ、静岡のトラック運ちゃん、富山の熟年夫妻が加わり、山では珍しく月が沈む深夜まで袖をすりあわせた山仲間との語らいが続きました。

フツー「高所で飲む酒はよく効く」って言われますがあっしに限ってはそれが逆なんです。

缶ビール３〜５本くらいでようやくふわりとする程度なんですわ、以前涸沢で雲上幕営したときは焼酎のハーフ紙パックを平らげても平然としてました。

でもまぁ血液中にはそれなりのアルコールが添加されて脳みそラリラリなのは間違いないでしょうから一定の標高を過ぎるときっとどこかで神経が切断さてるに違いない。

・・・・・そういや畳平で飲みまくって酔ったつもりはないのに翌日二日酔いだったことがある・・・・

昨夜は高所価格のビールを二本消費。

一本目は笠ヶ岳を望みながらテントの前で、二本目は小屋前のテーブルに移動して鷲羽岳を拝見ながら悦に浸っていると夕食を終えた小屋泊まりの皆さんが外へ出てきて月夜のアルプスの楽しい談笑タイムを満喫しました。


真っ青に透き通った空の下、大好きな稜線歩き。

笠ヶ岳、弓折岳も朝日に照らされて笑っています。

まぶしすぎる太陽の中本日のルートを一望、

樅沢岳を振り返ると穏やかな稜線が続いてました。

さて、いよいよ西鎌の尾根が本性をあらわにしてきました。
悪戦苦闘の神戸のご夫妻。

昨夜、高山植物の話で大いに盛り上がり、ウィスキーをしこたまいただきました。
奥様に「やっぱり地元の人は詳しいですねぇ」と感心されましたが・・・・

たぶん仕事柄だと思います。


さぁいよいよ核心部分、切り立った崖に鎖場が続きます。

素直に落ちれば１０００ｍは苦労せずに下ることができます。
これを登山用語で「滑落・転落」というそうですがあんまりやりたくありませんね。


愛知県の合計１４０才夫婦、奥様は２千メートル以上の山は初めて歩くとか・・・・

鎖場で鎖にしがみついたまま「どうやって進もう〜」とご主人を困らせていましたが、仲むつまじく協力し合って何とか一人で進めるようになってきました。

ふと視線を感じるので上を見るとカモシカ君が興味深そうにのぞき込んでいます・・・・

こんなところに生息されて貴重な高山植物を食い荒らされてもたまらないので「もっと下の方がおいしい物があるよ」と教えてやったらすたすたと下っていきました。

まだまだこんな道が続きますが意外と楽しく歩けます。

・・・・・・まぁ、下を見なければの話ですが・・・・・・


千丈乗越を過ぎるといよいよ急な登りが始まり、見上げていた槍の姿が隠れてジグザグに刻んだ急登をひたすら詰めていきます。

心拍管理しながら登ると意外と息も上がらず確実に標高を稼ぐことができ、なかなか楽しい登りです。

・・・・・・ひょっとしたら大王東海メンバー共通の「ドＭ病」かもしれません。



ひたすら登って登って登って登って・・・・・槍の穂先が再び見えてきました。

標高３０００ｍ、再び大槍が目の前にそびえます。ホント目の前、眼の前すぎて写真に写らなかったので一度下がって撮ったくらい目の前！

ついに槍ヶ岳の座敷の扉を開けました。


そこには標高３０００ｍの焼きたてパン屋さんが・・・・・マジです。

自炊も楽しいのですが、標高３０００ｍで鳥南蛮丼というのもめったに食べられませんからしっかりといただきました。


腹もふくれたし大槍の登りにとっつきます。

雲ノ平から手を振るライライさんに「小槍の上でアルペン踊りして応えます」と言ったが残念ながら手を振るライライさんが確認できなかったのでアルペン踊りは中止！


良く滑りそうな鉄製ハシゴ・・・・・

実はあっし高所恐怖症なんです。コレ決死の写真！

思っていたよりはるかに簡単にはるかに速く頂上到達、

「やりました３１８０ｍ」

・・・・・という感激よりも「おお！乗鞍より眺めが良いぞ」と思ってしまった。

・・・・・う〜ん常日頃３０２６ｍを行き来しているとこんなツマランことしか心に浮かばなくなるんだなぁ

まぁさすがに高度感は高峰に囲まれた乗鞍の比ではなく、かなりお尻の穴ムズムズものです。

今日歩いてきた西鎌尾根も一望、

真ん中の右端は人ですよ、落ちたら痛いだろうなぁ。

頂上にいる人みんなで記念撮影大会！

・・・・・・・・・・・

まぁ確認しなかったあっしが一番悪いのですがあっしを撮ってくれたオジサン、見事な腕でとてもアップできない写真を撮ってくれました・・・・・・

仕方ないので勇壮な大槍！

まぁ「裏山」なので再び頂に立ち、再度記念写真を撮ることでしょう。

人気の槍の肩のテン場だが、雲上幕営隊としてはイマイチの評価

・・・・・狭いし、場所コワイし、人気ありすぎて混むし・・・・・

まだまだパワーが有り余っているので雲上幕営隊が三つ星を付けること請け合いと予想される（情報だけでまだ泊まったこと無いからね）南岳へ向かうことにした。

さぁ今度は南岳まで標高３０００ｍの稜線漫遊だぁ！

シャワー、浴室、更衣室、ACコンセント、売店完備！

世の中の「アウトドア」というのは普段家でしている生活をそのまま持ち出すことだったらしい。

自然の音と自然の光、最低限の設備とおいしい料理と酒、あっしらが求めているアウトドア、キャンプ場とはそういうもの。

だからキャンプ場ガイドに掲載されている五つ星キャンプ場とはめっぽう相性が悪い！

で、色々捜していたら登山者用の「テン場」こそあっしらの求めているキャンプ場じゃないッスか。

そんなしょうもない理由から登山を始めたのが１５年ほど前、いろいろ参考にさせてもらったご夫婦で巡る山旅サイト「てなもんや登山隊」に習い「雲上幕営隊」を結成した。

しかし、雲上幕営隊の活動が本格化する前になんと子供ができてしまい、活動は一時休止・・・・・

それから８年、お友達のライライさんに触発されてどうにもガマンができなくなり、隊長のあっし一人で活動を再開することにしたのだぁ。

さて、今までの雲上幕営隊はひたすら気分の良いキャンプ場で宴会を試みるだけの登山者にとってはとても迷惑この上ない隊であったが、再活動からは少々登山のエッセンスも入れてみたい。

そこで記念すべき活動再開一発目は「雲上幕営隊槍へ行く」

さてさて、どんな顛末になるやらしばらくおつきあいを・・・・・・


お盆過ぎから長く続いた天候不順、９月も２週目になると今までの鬱憤を晴らすように太陽が大はしゃぎ、このチャンスを見逃すはずもなく遅めの夏休みをもらった。

・・・・７，８月はほとんど休めないのよね

夏休みをもらったとはいえ朝から業者と打ち合わせが入ってしまい予定より２時間遅れで新穂高温泉到着

本日目的地は雲上幕営隊２つ星キャンプ場の双六を目指す。

ちょうど小屋を開けたばかりだったわさび平小屋

真ん中の白い部分の右側の樹林帯を登って右端の丸い山の真中腹あたりを横切ります。

登山道入り口でお友達ライライさんのアルプスエキスプレスを発見、彼は夜中に到着して同じルートからさらに奥の雲ノ平まで一日で行くそうで・・・普通１泊２日行程です・・・・健脚を通り越えて「剛脚ライライ」、ほんわかした柔らかい雰囲気の彼からは想像できない勇猛ぶりです。


主目的の槍ヶ岳と明日のルート西鎌の尾根を望みながらどんどん標高を稼ぎます。

いつも自転長距離遊びに使っている心拍計を使ってペース配分、一番楽に長く遊べるHR125/minを軸にしてHA115/minをMINHR　HR145/minをMAXHRに設定してみました。


穂高は今日もキザキザだった。

この心拍計管理がとても役に立つ、１２年ほど前に同じルートをたどったときにはゼイゼイハァハァもので何度も大休憩を取った覚えがある、今回は時々立ち止まって写真を撮る以外休憩らしい休憩なしで結局わさび平から鏡平まで歩けてしまった。

もっとも年齢は食っても自転車長距離遊びで鍛えた持久力や畳平勤務で鍛えた高地用心肺機能・・・・そして１２年前より１５kg少ない体重で身体のパフォーマンスはその頃よりはるかに高いと思っているけどね。

時々姿を見せてくれた槍ヶ岳も樹林帯と途中からの山陰ですっかり姿を隠してしまいます。

代わりに遠くに「マイ乗鞍」や御岳、西穂高の稜線を眺めながら鏡平を目指します。


でね、鏡平手前から木道になります。

で、この木道を登り切り、右へ曲がると・・・・

いきなりこんな風景が飛び込んでくるのです。

・・・・そりゃぁもう感動しますよ。

もっと良いカメラで撮った写真集はＳＮＳでね。


弓折乗越から奥へ（長野方面）標高2500mの稜線歩きです。

右手には常に槍〜穂高の連峰が屏風のように眺められます。

樅沢岳と双六岳の鞍部に鷲羽岳をバックにした本日の宿双六キャンプ場（双六小屋）が見えます。

豚キムチ鍋とビールで本日の疲れを癒やします。

遠くに見える笠ヶ岳と乾杯！