「チェ 28歳の革命」「39歳 別れの手紙」というよりはソダーバーグ所感
書くと必ずネタバレしちゃうんですよ〜
チェ・ゲバラの国連演説から始まる。
28歳・・・は、そこからのチェのキューバ革命の輝かしい勝利の回想、という作りだ。
だが、懸念していた通りソダーバーグの手法は、戦闘シーンや、あるシークエンスを繋ぐだけの映画で単調であり、流れが断ち切られているのだ。
ボクはその、シーンを繋ぎ合わせる北野武と同じ作りが嫌いなのだ。
始まってすぐに後悔した。
あぁ、ソダーバーグ、やっぱり・・・と。
連続した演出が何処にもないのだ。
28歳・・・のラスト
敵からも市民からも奪うな!という象徴的なシーンがある。
ハバナへの凱旋の時の兵士が政府側から奪って乗るスポーツカーをみて、兵士を怒鳴り、車を返すように命令を下すチェ。
戦士としての高踏な思想を持つチェの真骨頂であり、ある種のヒロイズムと統制の難しさのようなものがない交ぜとなったシーンだった。
そのシーンは珍しく連続性があり不思議な感覚にとらわれたのだ。
その意味は「39歳・・・」を観て判った。
チェはキューバという安住の地を捨て、ボリビアの地に革命を!とやってくるのだが、ほとんどの後ろ盾を失いながらの戦いは、戦闘以前に孤立化し、農民からも恐れられ、やがてはチェ自体も狂気を帯びて行くのだ。
チェ・ゲバラを演じるベニチオ・デル・トロ の演技が素晴らしく、無謀な闘いへと向かったチェの心情の変化、足の損傷から来る苛立ちと不甲斐なさ、孤立無援の絶望感、
それはチェの最後を知ってはいるが、その死の予測も含め、かなりのダメージを観る側に与えるのだ。
何故アナタは此処へやってきたのか?
その問いかけが常にボクの心に迫る・・・それは、チェの優しさとヒロイズムではなかったのか?
そして一作目のスポーツカーのシーンが想起されるのだ。
ラストを書きたいがネタバレになるのだ。
ありがちな手法なのだが、図らずも泣いてしまったのだ。
チェ・ゲバラが死んだ!
そう迫る映像だったから。
公式サイトを見ると「39歳 別れの手紙」一作のみの制作予定だったらしい。
「39歳 別れの手紙」だけにして欲しかった!そう思うと同時にソダーバーグはあまりにもつらすぎる「39歳 別れの手紙」チェ・ゲバラの生き方を開放したくて「チェ 28歳の革命」という勝利の美酒映画を造ったのではあるまいか?
あのつらい逃亡生活を体験させられる我々は、作品の出来は悪くても「チェ 28歳の革命」がヒーローとしてのチェ・ゲバラを描くことで、彼への鎮魂と、観るものへの癒しになるということは言えないだろうか?
それにしても、国連演説の映像は素晴らしく、観る者をある時代の到来と感じさせる説得力がありましたなぁ〜
このモノクロシーンの出来のよさを考えると、「チェ 28歳の革命」の企画は本当に後発だったのかな?などとも思ったり。 笑
とまれ、少しソダーバーグ萌え〜 なんて言ってみたりして。
「ダイアナの選択」もミチャッタァ〜

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