スクイーズについて書きながら思い出した事がある。名曲〈Pulling Mussels (From A Shell)〉のベースは明らかに上擦っている。狂っている。実はこれがベースラインを目立たせる秘中の秘なのだ。厭でも耳につく。ポール・マッカートニィは絶対、意図的にこれをやっている。〈Taxman〉のベースってギターに比べて奇妙に高くないか?
逆に、アンサンブルに溶け込むためには平均律よりも少し低めに弾くのだ。コントラバスだと簡単だが、エレキベースだとね、低音絃を微妙に低くしておくのだよ。やばい、低すぎた、と感じたら左手の抑えを強くすればいい。
ちなみにリック・ダンコという人は、フレットレスなど弾きつつも、音程は極めて正確だ。バンドのなかで最も正しい音程を発していた。その代わり彼は、タイミングを微妙にずらすのだ。ドラムに対してわざとモタったりハシったりする。ローリング・ストーンズのビル・ワイマンも似た傾向がある。
僕のギターを「粘っこい」と評した人がいる。嬉しいね。弾力に満ちたゴム鞠のような演奏をしたいと、ずっと願ってきた。包み込むような演奏。毛布のような演奏。願わくばタイム感への評価であってほしいのだが、どこに着地するともつかない調子でだらだらと音を連ねる癖が僕にはあり、それを指摘されただけかもしれない。
遂にギター指板の図示に挑戦する。携帯電話でお読みの場合は激しく崩れるかもしれない。
+−+−+−+−+−+−+−+−+−+◎+−+−+○+
+−+−+−+−+−+−+−+−+−+○+−+−+○+
+−+−+−+−+○+−+◎+−+−+○+−+○+−+
+−+−+○+−+○+−+○+−+−+○+−+◎+−+
+−+−+○+−+◎+−+−+○+−+○+−+○+−+
+○+−+○+−+○+−+−+−+−+−+−+−+−+
僕に頭の中のマイナーペンタトニックのイメージ。◎はルートを表している。もしEmペンタトニックだとしたら、あと第6弦の開放も◎になる。
もちろん他にも◎や○で潰すべきポジションは多い。こんな感じのイメージに指が追随しているという話に過ぎない――エッシャーの階段みたいな、下りきったと思ったら一番上、みたいな。マイナーでは何故か下る事のほうが多い。
余っている部分はコードフォームとして認識しているような気がする。合成して示す。
+▲+−+−+−+▲+−+−+▲+−+◎+−+−+○+
+−+−+▲+−+−+▲+−+−+−+○+−+−+○+
+−+▲+−+−+○+−+▲+−+−+○+−+○+−+
+−+−+▲+−+○+−+▲+−+−+○+−+◎+−+
+−+−+○+−+◎+−+−+○+−+○+−+○+−+
+○+−+○+−+○+−+−+−+−+−+−+−+−+
石黒くんにも見覚えのある形が出てきたでしょう。第6絃のハイポジションに印がまるで無いのは、アドリブでは滅多に使わないからに他ならない。中途半端なギタリストで申し訳ない。
更に別の側面から見れば、埋められるポジションは限りなく増えていき、アヴォイドノートと呼ばれる「さすがにそれは駄目」な音を示したほうが早いという状況になる。
+▲+−+−+−+▲+△+−+▲+−+○+−+−+▲+
+▲+−+−+−+−+▲+−+−+−+▲+△+−+▲+
+−+▲+△+−+▲+−+○+−+−+▲+−+○+−+
+−+−+▲+−+○+−+▲+△+−+▲+−+○+−+
+−+−+○+−+○+−+−+▲+−+−+−+−+−+
+◎+−+○+−+○+−+−+−+−+−+−+−+−+
メジャーコードの時のイメージ図。僕はsus4的な音使いが多いので、よく弾く四度は△で示してみた。訳がわからんね。この図が面白いのは日本中で僕だけだろう。失礼しました。
取り敢えず石黒くんは、一番上の図をハンマリングやプリングやスライドを多用しながらの、指癖のようにするといいと思うよ。この場合、小指は使わないほうがいいと僕は思う。

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