ラヂコンズはドゥワップのZirconsが母体なので、いきおい進行がシンプルな曲が多く、ギターソロがマンネリに陥り易い。ちなみにマンネリズムという言葉は、美術用語のマニエリスムと同義である。形式主義って事。
で、色々と考えてみる。まず声域の関係上、ラヂコンズのキイはDとGが多い。例えば〈Please Mister Postman〉の進行は、D Bm G A7の繰り返し。キイは違えど〈ダイアナ〉進行であり〈スタンド・バイ・ミー〉進行であり、ちょいと変形させれば〈夢の中へ〉や、The Police〈見つめていたい〉の平歌にもなる。
さあ石黒くん、勉強の時間だ。この進行を料理していこう。
この四つのコードの基本形を重ね合わせてみる。◎がD、○がBm、▲がG、■がA7。既に前のコードに含まれている音はそれで良しとして、新しい音だけを付け加えていく。
+−+▲+−+◎+−+○+−+−+−+
+−+▲+−+■+−+◎+−+−+−+
+−+−+▲+−+■+◎+−+−+−+
+−+−+−+▲+−+◎+−+○+−+
+−+−+−+◎+−+■+−+○+−+
+−+▲+−+■+−+○+−+−+−+
これ何フレット目の話ですか、という超初心者は、まずコードブックを開くべし。
実際にギターで辿ってみると、重複や抜けはあるものの、綺麗にドレミになっている。抜けている音も容易に類推出来るだろう。こういうコード進行を「ダイヤトニックだ」なんて云ったりするが、余り気にせず、ドレミになっている曲と認識すれば宜しい。
このドレミの範囲の音を弾いていれば、基本的に曲調から外れる事は無い。こうして曲の部分部分(この進行の場合は全体)に合致するスケール(音階)を見つけて「だらだら弾き」をするというのが、実は最も簡単で、且つ面白くもなんともない。「物凄く上手いんだけど面白くない」ジャズギタリストが、実はこうしたスケール・チェンジを繰り返しているだけだったりする。
より音数を絞り込んだ、所謂ペンタトニック一発のソロも、ギターという楽器に特化した奏法を使い易いぶん「それらしい」ものの、「別に無くても良かったんじゃない?」という結果に終わりがち。
では、どうすればいいのか。これまた以下次号。

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