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2021/2/7

トーマス・グラバー 生まれ故郷を後へ〜海の向こうに何がある〜  財閥(日本・世界)





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明治維新の大功労者 トーマス・グラバー フリーメーソンとしての活躍
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明治維新の大功労者 トーマス・グラバー フリーメーソンとしての活躍
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トーマス・グラバー 生まれ故郷を後へ〜初恋の人との別れ〜
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トーマス・グラバー 生まれ故郷を後へ〜フレーザーバラを離れる〜
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トーマス・グラバー 生まれ故郷を後へ 〜ギムナジウムへ入学〜 
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海の向こうに何がある

父親が沿岸警備隊の司令官という事もあり、部下達から小船やヨットの操縦術も学んだ。 特にヨットはとても快適。 ややもすれば落ち込みそうな彼の心を支えてくれた。

「海の向こうに何があるのか・・・」 トーマスがエリザベートを忘れるためにも、故郷スコットランドを離れ、海外で存分に飛翔してみたい。

船は彼の野心をいやが上にも高めてくれた。 もっとも、海外で飛翔したいとの冒険心をそそられたのは何もトーマス・グラバーに限らない。

スコットランドの男性の多くが冒険心に満ち溢れていた。



ここでちょっと説明が必要だろう。 トーマスやその兄、弟妹達はすべてスコットランドの生まれだが、父は違う。 ベリー・グラバーは、れっきとしたイギリスの首都ロンドンの生まれである。

仕事でたまたまスコットランドでの生活が長く続いたと言うだけで、アングロサクソンの血を引いているとみて先ず間違いない。 但し、妻メアリーはスコットランド人である。


だから六人の子供も二つの血を引いていることになる。 しかし子供達全てがスコットランドで生まれたと言う事は当然その地の影響を大きく受けることは避けられない。

そこでここではスコットランドという地域がどういう特徴を持つ土地なのかについて触れておきたい。



スコットランドの長い歴史の詳細は省くが、日本人にとって、スコットランドと言えば真っ先に思い浮かぶのは「スコットランド民謡」であろう。

読者の方も総学生時代に数度は歌ったであろう「アニーローリー」「蛍の光」「マイボニー」「故郷の空」などは全てスコットランド民謡である。



しかし、これらの優しい情感の歌とは裏腹に、スコットランド人は打たれ強く、とても逞しい。

それは一つには長年にわたり外敵から侵入され、征服された歴史があるからであろう。 中世に至りスコットランド王国を形成するまでには、ローマ人、ついでアングロサクソンやノルマン人などのいわゆるゲルマン民族に幾度も追われている。

それでも苦戦の歴史の間にかろうじてブリテン諸島の西、北に踏みとどまり、スコットランド王国を築く事が出来た。

その民族の祖先を一般的には「ケルト人」と呼んでいる。



ケルト民族は最終的には外敵を追い払い、スコットランド、ウェールズ、アイルランド、イングランドの西南端を確保。 ケルト民族の意地を示した。

しかし、中世のスコットランドは、絶えずイングランド、フランス等の侵略を受けて危うい王国時代が長く続いたのである。







内部の矛盾を抱える

1603年、絶えず争いを繰り返していたイングランドとの間に「同君連合」(両国の君主を頂く)を実現、その後1688年のイギリスの産業革命を経て、1707年両国は議会合同により合邦を実現した。


しかし、合邦はしたものの、スコットランドは宗教に関する内部対立(カトリック派とプロテスタント派)、英国への根強い反感などが長期にわたり継続された。




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アニーローリー
https://www.youtube.com/watch?v=ReEFnmmd12I
〜アニー・ローリー〜 由紀さおり・安田祥子
https://www.youtube.com/watch?v=XgkgtDPJUKc
My bonnie lies over the ocean (Lyrics)
https://www.youtube.com/watch?v=dCtC2_IF8Ms
故郷の空(唱歌、スコットランド民謡)
https://www.youtube.com/watch?v=uZwRYk0OlUY
【和訳付き】蛍の光 (スコットランド民謡) "Auld lang syne" - カナ読み有
https://www.youtube.com/watch?v=XPYXZCvc3ko
Auld Lang Syne (Scottish Folk Song) by Shaylee
https://www.youtube.com/watch?v=dV9YBe7ej2U












財閥(日本・世界)シリーズ のここまでのまとめ
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トーマス・グラバー 生まれ故郷を後へ 〜ギムナジウムへ入学〜  財閥(日本・世界)





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ギムナジウムへ入学

父は夕方六時頃、約束通り帰宅しすぐにトーマスの部屋に入ってきた。

が、トーマスの方から「父さん、大人の世界には転勤や転宅があることが良くわかったよ。 第一父さんはこのフレーザーバラに来る前は、別なところにいたんだよね。

それでまたここを離れてアバディーンと言う所に引っ越しするんだよね。 っ転勤は大変だけど、大人の世界では当たり前だと言う事が良くわかったよ。

だから僕も皆と一緒について行くよ。 今朝は大きな声を出したりしてごめんなさい」とペコリと頭を下げた。


「おおう、トーマス、お前はやはり物分かりが早い子だなあ。 今度移る町はブリッジ・オブ・ドンと言い、大きな町アバディーンのすぐ近くにあるんだよ。 それに三人の兄さんが寄宿しているギムナジウムも近くだから、三人とも新しい家から通学することになるんだ。

お前も今度はその学校に入学するんだから、兄さん達に負けないよう頑張るんだよ」。


「はい、父さん。 三井さん達に負けないよう頑張って、僕も大きくなったら大きな家を建ててみせるよ」。


「そうだ、それでこそグラバー家の子だ。 お前は五人の中でも一番頭が良さそうだから、きっと大邸宅を建てる立派な男になる筈だよ」。


二人はそう話し合いながら一階へ降りて行き、トーマスは「母さん、今朝はごめんなさい。 大人の世界の転勤、転宅の事が良く分かったよ。 だからきちんと自分の必要な荷物を整理しておくからね」と母メアリーに笑顔を見せた。

しかしその目が決して笑っていないで「尖り目」になっていなかったことを母メアリーは見逃さなかった。





1850年(日本歴嘉永三年)の春、グラバー一家は十数年住みなれたフレーザーバラから馬車でアバディーン郊外のブリッジ・オブ・ストーンへ移住した。

この日は父母の関係者はもちろん、トーマスの教会学校の十数人の生徒達も見送りに来てくれた。

その中にはあのエリザベートがいることを確認したトーマスは、これが彼女との永遠の別れになるような気がして、思わず涙がこぼれ落ちそうになった。


「男の子は女々しく泣いてはいけない」。 以前父から教えられた言葉を思い出し、懸命に涙をこらえた。


アバディーン郊外のブリッジ・オブ・ドーンへ移住したトーマス・グラバーは三人の兄達が通うキングスカレッジ附属のギムナジウムでスコットランドの伝統的な教育を受けた。



学校の教科課程は、ラテン語、英語、算数、地理などのほか、宗教を重視して作られており、構内には工作室も設けられていた。自宅から画工までは歩いてニ十分弱だった。


この地へ移ってから、なおさらに彼女への思慕はつのるようだった。 このため勉学にも余り身が入らない。


その代わりに工作室での旋盤(加工すべき材料を回転させ、穴あけ、切断、研磨などを行う工作機械)技術の時間だけは、エリザベートの姿もしばし忘れて夢中になった。







海の向こうに何がある

父親が沿岸警備隊の司令官という事もあり、部下達から小船やヨットの操縦術も学んだ。 特にヨットはとても快適。 ややもすれば落ち込みそうな彼の心を支えてくれた。

「海の向こうに何があるのか・・・」 トーマスがエリザベートを忘れるためにも、故郷スコットランドを離れ、海外で存分に飛翔してみたい。

船は彼の野心をいやが上にも高めてくれた。




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フレーザーバラを離れる

それはトーマス・グラバーの初恋であった。

グラバー家は中流以上の家庭(父は海軍大尉でこの時は沿岸警備隊の司令官)であり、このため彼は救済の時自宅から歩いて五、六分で行ける教会に隣接した学校(現在の小学校に相当する)に通っていた。


フレーザーバラは小さな田舎町の漁村のため、子供を通学させるような裕福な家庭は少ない。

トーマスが入学した時の生徒数は、一学年で三十人程度、そのうち女子は一〇人いなかった。

その一〇人弱の女子の中に、実はトーマスが生涯忘れられない初恋の人がいたのである。


同年のその娘の名前は「エリザベート」といい、この町の数少ない開業医の長女であった。
トーマスは入学彼の際、彼女を見た瞬間 「何と魅力的な、美しく可愛い女の子だろう」

とすっかりエリザベートの虜になってしまったのだ。

先にトーマスの三人の兄達が学校で寄宿生活を送っている事を述べた。 それは父母の目から見ても三人ともに、中々に優秀な頭の持ち主だったからである。


英国海軍の大尉というクラスは決してエリートとは言えない。 三人の息子を寄宿制として送り込み、その上トーマスを教会学校に通わせるのは、経済的に決して楽ではなかった。


四人の兄弟の中で父ベリーが最も将来を期待していたのは実は五男(四男は没)のトーマスで、記憶力、創造力に関しては三人の兄達もはるかに及ばない「逸材」とみてとっていた。


事実、父の眼力が間違っていなかった事は後に証明される。 それだけ最大の評価をしているトーマスが大声を張り上げて「この家を出て行きたくない」と、父母に反抗する彼の真意を計りかねていた。

トーマスの教会学校は午前九時に始まり午後に時には終わる。 大変人懐っこく冗談を言っては人を笑わせるトーマスだが、この日ばかりはすっかり笑顔を消し、何やら物思いに耽った暗い表情に終始していた。

友達もすぐに彼の暗い表情に気付き、身体の具合でも悪いのかと声をかけた。 身体の具合が悪いのではない。 ただ心の具合が悪いだけなのだが、「よっと風邪をひいたみたいだ。 心配するほどのこおはないよ」と口ごもりつつ、視線はそれとなく恋しいエリザベートの姿を求めていた。


その日も天気は気持ちよく晴れ渡っており、いつものように二〇人余りが、歌、踊りを楽しもうと、グランドへ繰り出した。

しかし、トーマスは「どうも風邪気味で調子が出ないよ」とすでにグランドに出て行ったエリザベートへさりげなく素早い視線を送りながら学校を後にした。


頭の回転では兄たちにもひけをとらないトーマスは、母メアリーに対して「この家から移りたくない」と強く反抗したものの、父から改めて説得を受けるまでもなく、十日後にはこの家とも、そしてエリザベートとも別れなければならない事をハッキリと自覚していた。


しかし、理屈では良く分かっていても、感情の上ではどうにも納得ができない、と言うのがトーマスの心情だった。

「あのエリザベートとももうすぐ会えなくなるなんて。 そんなことがあってよいものか」、
トーマスは家へ帰らず、このままどこかどこかへ消え去ってしまいたいような沈鬱な心を抱いて我が家のドアを開けた。

トーマスは「ただいま」と母親に声をかけたものの、そのまますぐに二階の寝室へ駆けあがり、ベットに仰向けに寝転んだ。


両目をつぶると瞼に先程会ったばかりのエリザベートの美しく可愛い笑顔が浮かんでくる。 エリザベートの居るこの町でずっと暮らしていたかった。

それなのにもうすぐお別れなのだ。 ただの一度も彼女との別れがあるなんて考えた事もなかった。

しかし、人生には悲しい別れというものがあるのだ。 悟りの早いトーマスが悲しい覚悟を決めたのはこのベットの上であった。






ギムナジウムへ入学

父は夕方六時頃、約束通り帰宅しすぐにトーマスの部屋に入ってきた。






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初恋の人との別れ

グラバー家の朝食はいつも七時頃に始まり七時半頃に終わる。 細長いテーブルは見事な御影石(花崗岩)でつくられており、食卓にはいつも美しい花が飾られている。

そのテーブルの右上席にはいつも父ベリーが重々しく座り、その左下席には母のメアリーが座る事になっている。

そしてこの日父ベリーの左側のテーブルにはこの本題の主人公であるトーマス・ブレーク・グラバー(当時十二歳)が座っていて、その隣には十歳の弟、アレキサンダー、さらにその隣にはトーマス家の子供の中で唯一の女性、妹のアン(八歳)が座っていた。



この日だけのグラバー家の家族を見ると「五人家族」のように見える。 しかしこの日の家族はこれだけではない。

今日の食卓には顔を出し得いないが、トーマスの上には三人の兄弟がいて八人家族なのである。

いや本当は九人の大家族となるはずだったがトーマスのすぐ上の兄(四男)、ヘンリー・マーティンは生まれて間もなく夭折している。


この時トーマスの三人の兄たち、長男チャールズ・トーマス(二十歳)、次男ウィリアム・ジェイコブ(十七歳)、三男ジェイムズ・リンドレー(十六歳)らは、

グラバーのスコットランドの自宅より、約70キロも離れたアバディーンという町の学校・キングスカレッジ附属ギムナジウム(大学予備教育機関)の寄宿舎で家を離れていたのだ。

朝食が終わると、母メアリーは三人の子供達に向かて「いい、皆よく聞いてよ。 父さんは後十日もするとアバディーンという町のブリッジ・オブ・ドーンという所へ移るから、それまでに自分の必要な荷物をきちんと準備しておくのよ。 いい、わかったわね。 今度移転する町はこのフレーザーバラよりずと賑やかでお家もうーんと広いのよ。 楽しみだわね。」 と子供達にほほ笑んだ。


ところが、いつもは陽気な性格のトーマスが母の笑顔を切り裂くような大声を出して「いやだ、ぼくはこの家から離れたくない。 ここにずっといたい。」と母親の顔を睨みつけた。

母のメアリーは予想もしなかった五男トーマスの反撃に驚き、怒りの表情をなじませて「トーマス、母さんに向かってなんという事を言うの・・・」とそこまで言ってあとの言葉が続かず唇がワナワナと震えていた。

その瞬間、父ベリーが「よしトーマス分かった。 父さんは今日六時までには帰るから、そのの時ゆっくり話しをしよう」と妻へ救いの手を差し出した。

トーマスも「分かりました。 父さんにぼくの話を良く聞いてもらいたい」と堅い表情のまあま食卓を離れていった。



トーマス・グラバーが生まれ育ったスコットランドのフレーザーバラは大きな町アバディーンからは北へ約70キロも入りこんだキナーズ岬近くの小さな漁村である。

一年のうち半年は冷たい風の吹きまくる北海に面していて、他所から来た者にとってはその寒風が最大の敵だった。

しかし、この地で生まれて他所を全く知らないままに育ったトーマスにとっては、「済めば都」。 いやそれ以上に実は彼にはここをどうしても離れがたい理由があったのだ。






フレーザーバラを離れる

それはトーマス・グラバーの初恋であった。




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