消費税をめぐる情勢と増税発言
英、消費税2.5%減税 「最も公平」高額所得者は増税
2008年11月26日 赤 旗
【ロンドン=岡崎衆史】 ダーリング英財務相は24日、金融・経済危機に対応するための包括的景気刺激対策を発表し、消費税(付加価値税)の税率引き下げを盛り込みました。また、低所得者の所得減税を拡充する一方で、高額所得者の増税を行なう方針を示し、危機打開を「最も公平な方法で、目指すことを強調しました。
ダーリング英財務相は中期の経済財政政策に関する「予算前報告」で、2010年までの景気刺激策に、国内総生産(GDP)の1%に相当する総額200億ポンド(約2兆9千億円)を充てるとし、その一環として消費税率を17・5%から15%に引き下げると述べました。税率引き下げは12月から来年末まで実施され、景気回復が予想される10年から元に戻す計画です。
同財務相は消費税減税について、「全員を支援する最良で最も公平な方策」「商品とサービスを安くし、消費を促進し、成長を刺激する」と強調しました。
また、所得税に関連し、所得の低い2千2百万人を対象にした年120ポンド(約1万7千6百円)の減税を恒久化し、減税額も4月から145ポンドに引き上げると発表。一方で、高額所得者は96年以来収入を倍増させたとし、現在の40%の最高税率を11年4月以降、年収15万ポンド(約2千2百万円)を超える人を対象に45%に引き上げ、財政支出増の一部を穴埋めするとしました。
イギリスの消費税
施行 1973年
標準税率 17.5%
ゼロ税率 食料品、水道水、新聞、雑誌、
書籍、国内旅客輸送、医薬品、
居住用建物の建築、障害者用
機器など
軽減税率 家庭用燃料及び電力など5%
英、消費税引き下げ 17.5%→15%
2008年11月25日 朝 日
【ロンドン=尾形聡彦】 英国政府が景気対策のため、一時的に消費税(付加価値税)の減税に踏み切る見通しになった。英メディアが一斉に報じた。17・5%の消費税率を2・5%幅引き下げ、15・0%とする見込み。今回の景気後退局面で、消費税を減税するのは欧州主要国で初めてとみられる。英国の消費税率引き下げは74年に10%から8%に下げて以来となる。
ダーリング財務相が24日午後に発表する見通し。報道によると、消費税減税は09年末まで続けるという。所得税額を割り引く一般的な減税では貯金に回る分が多くなる可能性があり、消費税率を一時的に引き下げることで、消費意欲を刺激する狙いがあるとみられる。
消費税率を2・5%幅引き下げることによる景気対策の規模は125億ポンド(約1・8兆円)に達するという。英政府は消費税減税に伴う財政悪化を改善するため、高所得者の所得税の最高税率(現在40%)を45%へ引き上げる見通しだ。
ブラウン英首相は24日朝の演説では減税の具体策を明らかにしなかったが、「異常事態の際には、並はずれた対策が必要だ」と訴えた。「(90年代の)日本などでは景気後退局面での対策が遅すぎた」とも語り、大胆な消費刺激策を取ることで、バブル崩壊後の日本などであった失敗を繰り返さない姿勢を示した。
消費税増税 4年後に検討 民主・小沢氏
2008年11月24日 赤 旗
民主党の小沢一郎代表は23日のNHK番組で「(行政の)無駄を全部省いたうえで、なおかつ高齢化のスピードに財源が追いつかない場合は消費税も考えなければならない」と述べ、社会保障財源に消費税増税を充てる考えを示しました。「戦後税制はもう変える時期にきている」との認識も示しました。
小沢氏は、民主党が次期衆院選で政権を獲得すれば、4年間のうちに「各省庁の既存のシェア(予算枠)をまったく無視して予算編成を行なう」と強調。4年後については「消費税の検討をするのは当然のことだ」と述べました。
年度ごと増減税計画盛る 税制改革「中期プログラム」
2008年11月19日 読 売
消費税率の引き上げを含む税制抜本改革の「中期プログラム」で、年末に向けた策定方針が18日、明らかになった。「多年度にわたる税制抜本改革の全体像と安定財源確保のあり方を計画的に示す」と明記し、2010年代半ばまでの年度ごとの増減税の進め方を具体的に盛り込む考えを示している。
プログラムは政府の経済財政諮問会議(議長・麻生首相)がまとめる予定で、消費税率の引き上げ時期や上げ幅を明記できるかどうかが最大の焦点だ。
自民党税制調査会と政府税制調査会は次期衆院選などをにらみ、年内にそれぞれまとめる税制改正方針に、消費税率の引き上げ時期や上げ幅を明記しない方向を固めている。
このため、諮問会議では、策定方針で増減税の進め方を明示する考えを表明することにより、消費税率引き上げの具体策を示すことに消極的な意見を抑え込みたい考えのようだ。
策定方針には、社会保障改革について「具体的な工程表とその費用、2010年代半ばまでの必要費用を示す」との方針も盛り込んだ。医療や介護などに今後、どれだけ費用がかかるかを記すことで、税制改革で捻出する必要がある財源の規模を示す。
消費税増税時期は名目3%成長時
自民税調・柳沢氏発言
2008年11月17日 朝 日
柳沢伯夫・自民党税制調査会小委員長は16日のNHKの討論番組で、将来の消費税率引き上げの時期について、名目成長率が3%程度になった時点だとの考えを示した。名目3%成長はバブル経済崩壊後に達成したことはなく、消費増税に高めのハードルを想定していることが分かった。
消費増税の時期を巡っては、麻生首相が10月末に新総合経済対策を発表した際、「大胆な行政改革を行なったあと、経済状況を見た上で、3年後にお願いしたい」と述べていた。ただ、翌日には「景気が回復しないと増税はきわめて難しい」とも述べた。
消費税上げ「時期・幅」封印
政府税調 「政治判断に委ねる」
2008年11月15日 読 売
政府税制調査会(香西泰会長)は14日、月内にも取りまとめる2009年度税制改正の答申で、消費税率の引き上げ時期や上げ幅を明記しない方針を決めた。引き上げの必要性だけを指摘した昨年の答申を踏襲する方向だ。
政府・与党は、麻生首相が景気回復を前提に3年後に消費税率を引き上げる意向を表明したことを受け、消費税を含む税制抜本改革の「中期プログラム」を年末までにまとめる方針だ。
しかし、政府税調が内容を議論しないことから、プログラムでも引き上げ時期や上げ幅が明記されない公算が大きくなってきた。
政府税調の昨年の答申は、「(社会保障の財源を)消費税率を引き上げていくことによって賄う姿勢を明らかにする」と、引き上げの必要性を指摘した。政府税調の神野直彦会長代理は同日の記者会見で、今年も時期など明記しない理由として、「政治的判断に委ねる」と説明した。政府税調が税制改革の最大の論点である消費税論議を早々と封印したことで、存在意義を問う声も高まりそうだ。
2年後にも消費税上げ法案 首相、景気を見て判断
2008年11月12日 赤 旗
麻生太郎首相は11日、首相官邸で記者団の質問に答え、消費税率の引き上げ時期について「経済情勢が2年でうまくいったらその時に(関連法案を国会に)出す。3年たってうまくいってなかったらその段階で考える」と述べ、景気回復の状況を見極めて判断するとの考えを示しました。
首相は「きちんとした行政改革をやって景気対策を打った結果、経済のパイが大きくならない限りは(増税は)できない」と述べました。
<麻生首相> 「経済うまくいけば、2年後にも消費税上げ」
2008年11月11日 12時56分配信 毎 日
麻生太郎首相は11日昼、3年後としている消費税率の引き上げ時期について、「経済が2年でうまく言ったら2年後に(関連法案を)出す。3年たってうまくいかなければ、その段階で考える」と述べ、経済情勢を見極めながら柔軟に検討する考えを示した。
そのうえで、「行政改革で無駄をなくして、景気対策で経済がよくなり、経済のパイが大きくならない限りできない」と、引き上げにあたっては前提条件があることを改めて強調した。
消費税増税許さない 国民的たたかいを
志位委員長会見
2008年11月6日 赤 旗
日本共産党の志位和夫委員長は5日、遊説先の香川県高松市内で記者会見し、「消費税増税問題が総選挙の最大の争点の一つに浮上してきた。消費税増税を許さない国民的なたたかいを起こすことを心からよびかけたい」と強調しました。
志位氏は、麻生太郎首相が「3年後の消費税引き上げ」を明言するだけでなく、政府の社会保障国民会議も最終報告で2015年に消費税率を3・3−11%に引き上げることが必要だとしている動きを指摘。「3年後といったら次の衆院議員の任期中だ。(麻生首相の発言は)まさに増税を公約に掲げたということに等しい」と批判し、消費税増税を許さない国民的たたかいをよびかけました。
そのうえで志位氏は、民主党も含めて各党は消費税問題にたいする態度が問われていると指摘。民主党は今年6月に日本経団連と行なった「政策を語る会」で、経団連側に将来的な消費税引き上げが必要だと明言していることをあげ、「あいまいな態度は許されない。民主党を含めて、消費税についての考え方、増税に対する態度を鮮明にして選挙戦にのぞむ必要がある」とのべました。
日本共産党の立場として志位氏は、消費税増税にきっぱり反対するとともに、食料品を非課税にすることを求めること、財源問題では、軍事費を含むあらゆる無駄遣いに聖域なくメスを入れ、大企業・大資産家にたいするもうけ相応の負担を求めることでまかなえることを正面からかかげているとのべました。
社会保障強化の財源 消費税3・3〜3・5分
15年度 社会保険方式で 国民会議最終報告
2008年11月5日 読 売
政府の社会保障国民会議(座長・吉川洋東大教授)は4日、給付抑制が続いていた社会保障制度について、「機能強化が必要」として給付拡充を求める最終報告をまとめた。機能強化で追加的に必要となる財源額を初めて試算し、基礎年金の財政方式で現行の「社会保険方式」を維持する場合は2015年度に消費税率換算で3・3〜3・5%、「税方式」に切り替えた場合は同年度に6〜11%の追加財源がそれぞれ必要になるとしたが、財源確保の具体策は明示しなかった。
最終報告を受け、麻生首相は4日、具体的な機能強化の工程表を作るため、国民会議座長らによる懇談会を設ける方針を表明した。
財源額の試算は、@基礎年金の財源を保険料と税でまかなう社会保険方式A全額税でまかなう税方式――の分けた上で、年金、医療・介護少子化の各分野で15年度と25年度に現在より増える費用を積み上げた。
社会保険方式による15年度の追加費用は基礎年金に2・6兆円、医療・介護に4兆円、少子化対策では1・3兆〜2・1兆円とした。消費税率換算では、09年度に基礎年金の国庫負担割合を2分の1へ引き上げるために必要な1%分を加え、計3・3〜3・5%程度の相当する。税方式では、15年度の追加費用が基礎年金だけで12兆円〜28兆円となり、全体では消費税率換算で6〜11%程度になるとした。25年度は社会保険方式で6%程度、税方式で9〜13%程度の追加財源が必要としている。
焦点の1つだった基礎年金の財政方式のあり方については、社会保険方式と税方式の両論を併記した。ただ、税方式導入で解決できるとされる保険料未納問題が「年金財政に与える影響は限定的」と指摘し、社会保険方式の修正・維持が望ましいとの考えをにじませた。財源確保策については、「改革の道筋を示し、国民の理解を得ながら具体的な取り組みに着手すべきだ」とするにとどめた。
各分野の具体的な機能強化策については、年金で、低所得者に対する免除制度の積極活用など未納対策の充実や基礎年金の最低保障機能の強化を求めた。医療・介護では、急性期医療への医師や看護師の集中配置による質の向上と効率化の実現などを提言した。
少子化対策では病児保育など保育サービス多様化やサービス拡充などの施策を講じるべきだとしている。
社会保障を口実 政府“消費税増が必要”
15年には 3・3―11%アップ
2008年11月5日 赤 旗
政府の社会保障国民会議(座長・吉川洋東京大学教授)は4日の会議で、社会保障の給付と負担のあり方についての最終報告をまとめました。報告では「高齢化が進み、負担は避けられない」として、消費税増税を念頭にした財源確保策へ速やかに着手することを求めました。麻生太郎首相が10月30日に「3年後の消費税の引き上げ」と明言したのは、こうした議論を念頭においたもの。「社会保障」を口実にした最悪の増税論です。
国民会議最終報告
報告は「必要な財源を安定的に確保していくための改革に真剣に取り組むべき時期が到来している」と明記。この日の会議で確認された「社会保障の機能強化のための追加所要額(試算)」では、すべて消費税増税が前提にされているように、「必要な財源」は消費税を念頭においたもの。「社会保障財源確保」を口実にした消費税増税に向けた論議を本格的に加速させることを狙っています。
また、試算では@年金A医療・介護・福祉B子育てと家庭支援の3つの分野での将来の財政支出の規模を消費税率に換算した例示(表)。2015年の消費税率は現在よりも3・3−11%アップ(財源として約10兆―約36兆円)、25年には6−13%アップ(約21兆―約50兆円)になるとしました。
消費税増税については、同31日の経済財政諮問会議で「消費税を含む税制抜本改革の道筋」(「中期プログラム」)の議論を開始しています。
消費税引き上げ 首相 「段階的に」
2008年11月1日 朝 日
麻生首相は31日の経済財政諮問会議で、消費税率の引き上げについて「2010年代半ばまでに段階的に実行する」との考えを示した。税率は「10%が基軸か」との記者団の問いには「人口が減っていく中で考えると、それくらいはいると思っているが、もっと低くできるという説もある」と語った。
首相は、増税の前提となる経済状況については、名目国内総生産(GDP)の伸び率を目安とする考えを改めて記者団に示した。30日の記者会見で首相は「大胆な行政改革を行った後、経済状況を見たうえで、3年後の消費税の引き上げをお願いしたい」と明言。自民党総裁選の最中には「名目成長率が2%、3%続くような状況になって、景気は回復したと国民が思ってから消費税の話とかは考えるべきだ」と語っていた。

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