消費税をめぐる情勢と増税発言
消費税増10年に法案
08年12月26日 赤 旗
自民党の園田博之政調会長代理は26日、党本部で時事通信のインタビューに応じ、2010年に消費税率引き上げを含む税制改定法案をまとめ、同年末の与党の税制「改正」大綱に盛り込む考えを示しました。
次期衆院選で争点となるかどうかに関しては「(争点に)しなければいけない。そういう思いがあって麻生太郎首相も(税率引き上げを)言っている」と述べ、次期衆院選で自民党として消費税増税を争点化する考えを示しました。
法制化の時期をめぐって政府は当初、「税制抜本改革」の道筋を示す「中期プログラム」原案で、「10年に必要な法制上の措置を講じる」としていました。しかし、消費税増税の争点化を嫌う公明党が難色を示したため、時期の明記が見送られた経緯があります。
消費税11年度増税
閣議決定 来年度予算政府案も 08年12月25日 赤 旗
麻生自民・公明内閣は24日、消費税を含む「税制抜本改革」の道筋を示す「中期プログラム」を閣議決定しました。消費税率引き上げについては「2011年度より実施」できるように、「必要な法制上の措置」をあらかじめ講じるとしました。同日の閣議では、一般会計総額88兆5千億円余の09年度予算政府案も決定しました。
麻生太郎首相は閣議後に記者会見し、新年度予算案を「生活防衛のための大胆な実行予算」と呼んだうえで、安定的な財源確保のためとして消費税増税の11年度実施を改めて強調しました。
首相は会見で、「世界が百年に1度といわれる不況にはいりつつある」として、「国民生活防衛のためになんでもやる」と述べました。その一方で、消費税増税を打ち出すことは、欧州などが消費税減税に動いている時だけに、異常なことです。「経済状況を好転させる」ことを消費税増税の前提としていますが、「好転」時であっても経済に大打撃を与えることは、1997年の消費税増税で「政策不況」を引き起ことで実証済みです。また、景気が後退しているいま、消費税増税の方針を打ち出すこと自体が、景気をさらに悪化させる要因となります。
次期衆院選 消費税上げ公約に
首相 給付金、補正と分離せず 08年12月24日 読 売(夕刊)
麻生首相は24日午前、首相官邸で記者会見し、社会保障費の安定財源を確保するため、2011年度から消費税率を引き上げる考えを改めて表明した。その上で、税財政改革への道筋を示した「中期プログラム」に、消費税率の11年度からの引き上げを明記したことに関連し、「責任ある政治というもので、国民にお願いするということだ」と述べ、次期衆院選の自民党の公約に反映させる考えを示した。
民主党が08年度第2次補正予算案から定額給付金の切り離しを求めていることについては、「今その考えはない。ベストの案だと思って作り上げた」と拒否した。民主党は、定額給付金を切り離さない場合は、来年1月5日召集の通常国会の代表質問(6、7日を予定)に応じない方針を明らかにしている。
また、「(衆院)選挙だ、連立だ、政界再編だと言う議論もあるが、100年に1度という経済危機のまっただ中にある。そんなことを言っている場合ではないし、あり得ない」と述べ、当面は衆院解散・総選挙はないとの考えを示した。
税財政改革「中期プログラム」決定
政府は24日午前、税財政抜本改革への道筋を示した「中期プログラム」を閣議決定した。消費税率の引き上げを2011年度に実施できるように、必要な準備をあらかじめ整えておくことなどが柱だ。ただ、引き上げの前提として、「景気回復に向けた集中的な取り組みにより、経済状況を好転させる」との条件が付けられた。
政府案には当初、「必要な法制上の措置を2010年度に講じておく」と明記されていたが、公明党からの要請で、「10年に」との表現を「あらかじめ」に改めた。また、抜本改革の手順を定める「プログラム法」の制定は見送り、来年の通常国会に提出する2009年度税制改正法案の付則に手順を盛り込むことも決めた。
「消費税増税11年度」 閣議決定
関連法案 付則に盛る方針
08年12月24日 朝 日(夕刊)
政府は24日、消費増税など税制抜本改革の道筋を示す「中期プログラム」を持ち回り閣議で決定した。プログラムに基づく税制改正の運びについては、消費増税などのスケジュールを定めるプログラム法案ではなく、来年の通常国会に提出する税制関連法案の付則に盛り込む方針を明記した。
消費増税時期は、麻生首相がこだわった「(3年後の)2011年度」と明記。一方で公明党に配慮し、「3年以内の景気回復に向けた集中的な取り組みにより経済状況を好転させる」ことを増税の前提条件とし、景気回復に力点を置く姿勢を強調した。
プログラムの立法化については「09年度の税制改正に関する法律の付則において、立法上明らかにする」とした。政府内ではプログラム法案の通常国会提出も検討したが、総選挙を控え、消費増税を全面に掲げることに与党内の抵抗感が強く、税制改正関連法案の「付則」に盛り込むことにした。
閣議に先立ち自民、公明両党は同日朝、プログラムを正式に了承。その後、自民党の政調審議会と総務会でも了承された。
消費税 段階上げを 15年までに10% 08年12月22日 読 売
与謝野経済財政相は21日に出演した民放番組で、「2011年から15年までの間に税制の抜本改革をやっていく。(15年の)消費税率は8・5%から10%。そおまでいかないと、いまの年金・医療・介護は続けられない」と語り、消費税率を段階的に引き上げていく考えを示した。
その上で、消費税率引き上げによる増収分は「年金・医療・介護・子育てなどに使う。(国民に)全部お返しする」と述べた。引き上げの手順について、「11年に(一挙に)5%上げるのは経済に対するショックが大きい。(毎年)1%ずつ上げるとか、2%上げた後に3%上げるとか、いろいろな説がある」と語った。
与謝野経財相 「消費税は10%」 11年度から段階的に
08年12月22日 赤 旗
与謝野馨経済財政担当相は21日、テレビ朝日の番組に出演し、消費税率の引き上げ幅について「(2015年度までに)5%まで段階的に実施していく」と述べ、3年後の11年度から15年度までに10%に引き上げる必要があるとの認識を改めて示しました。
経財相は「いきなり11年度に5%(引き上げ)というのは経済に対するショックがちょっと大きい」と指摘しました。消費税増税は、日本経済が上昇局面に入りかけた時期が適切だとの考えも示しました。しかし、経済が持ち直しかけた1997年に消費税を3%から5%に引き上げたことによって、経済は失速し、「政策不況」と言われました。
当時と比べ現在は、所得が低迷し、社会保障の負担もより重くなっています。段階的に税率を上げるかどうかにかかわらず、消費税増税はさらに大きな打撃を暮らしと経済に与えることになります。
3年後消費増税 道筋示す中期計画
首相 「法制化必要ない」
08年12月16日 朝 日
麻生首相は15日、3年後の消費増税を明記すると宣言した「中期プログラム」について、法制化までは行なわない考えを示した。政府内には、財政規律維持のため、あらかじめ消費増税に向けた具体的道筋を法制化することを求める意見があるが、公明党は消費増税の時期を盛り込むこと自体に反対で、法制化にこだわれば、深刻な対立を招きかねないと判断したとみられる。
首相は15日の参院決算委員会で、「安定財源の確保をきちんとやっておかないと対応できない。消費税を考えておかないと中(レベル)の福祉をやっていくには耐えられない」と述べ、中期プログラムに3年後の消費増税を明記する意欲を改めて示した。
ただ、法制化については、同日夜、記者団に「必要性はあんまり感じない」と語った。12日に決定した与党税制改正大綱は消費増税に関して「必要な法制上の措置をあらかじめ講じておく」と法制化に含みを持たせていたが、首相自ら封じたことになる。
経済財政諮問会議は11月、「多年度の減税増税を一体的に法定し、実施時期を明示しつつ、段階的に実行する」ことで大筋合意。前提条件が整えば、政治状況に左右されず速やかに増税できるようにする狙いがある。与謝野経済財政相はプログラム法の制定などを例示し、「諮問会議としては法定化する方向で議論していく」と述べていた。
首相としては、中期プログラムへの明記は譲らない一方、法制化にはこだわらないことで、この問題を決着させたい考えだ。
消費税上げ 明示へ 政府 税制中期プログラムで
08年12月16日 読 売
政府は15日、年末までにまとめる税制抜本改革の「中期プログラム」に3年後の2011年の消費税率引き上げを明示する方向で調整に入った。16日にも開く経済財政諮問会議(議長・麻生首相)で、与謝野経済財政相が時期を明記した政府案を提案する。
消費税率の引き上げを巡っては、麻生首相が3年後の引き上げをプログラムで明記するよう与謝野経財相に指示していた。一方、プログラム策定に先立って自民、公明両党が12日にまとめた与党税制改革大綱は、「消費税を含む税制抜本改革を経済状況の好転後に速やかに実施し、2010年代半ばまでに持続可能な財政可能な財政構造を確立する」と記し、引き上げ時期は明示しなかった。
与謝野経財相は、諮問会議で了承を得た後、政府案を閣議決定したい意向だが、選挙への影響を懸念する公明党を中心に与党内には、引き上げを明記すべきではないとの意見が根強く、調整は難航しそうだ。
消費増税 首相、改めて「3年後」
中期計画に明記の意向 08年12月13日 朝 日
麻生首相は12日、首相官邸で記者会見し、新たな雇用・金融対策を盛り込んだ総事業規模23兆円の「生活防衛のための緊急対策」を発表した。首相は「与党税制改正大綱の考え方の範囲内で11年度から消費税を含む税制抜本改革を実施したい」明言。3年後の消費税率引き上げを改めて表明し、将来の税制抜本改革の道筋を示すために年内に策定する「中期プログラム」に明記する意向を示した。
首相は「財政責任のあり方をきちんと示すからこそ、大胆な財政出動が可能となる。これが責任政党の原点であり、矜持だ」と強調。与謝野経済財政相と中川財務・金融相に中期プログラムのとりまとめに着手するよう指示したことも明らかにした。
与党が同日決定した税制改正大綱では、公明党の反発で税率引き上げ時期の明記は見送られたが、首相は3年後の消費増税は「大綱に反していない」と説明。大綱に「10年代半ばまでに持続可能な財政構造を確立する」と記されていることから「財政規律をきちんとしたい時期は同じ」(首相周辺)という理屈だ。
一方で首相は「批判は承知している。責任与党として、最後はご理解いただけるものと信じている」とも述べ、公明党の意向に反してでも方針を変えない姿勢を強調した。中期プログラムの閣議決定をめぐり、自公の連立関係に影響する可能性も出てきた。
「消費増税 3年後」 麻生首相改めて明言 08年12月13日 赤 旗
緊急対策を発表
麻生太郎首相は12日夕、「生活防衛のための緊急対策」を発表した記者会見で、3年後に消費税増税を実施するという「立場はまったく変わっていない」と明言しました。消費税増税に向けた準備を進める考えを明らかにしました。
麻生首相は「2011年度から消費税を含む抜本改革を実施したい」と強調。増税のために必要な作業を始めるように、与謝野馨経済財政担当相と中川昭一財務相に指示したと述べました。
麻生首相は10月30日、追加経済対策を発表した記者会見で、「3年後に消費税の引き上げをお願いしたい」と発言していました。
自民・公明両党が12日まとめた09年度税制「改正」大綱では、消費税増税の時期を「2010年代半ばまでに」とし、「3年後」とは明記しませんでした。麻生首相は、同日の記者会見で、「基本的に3年後に消費税を上げるという方針」「(3年後の)2011年に、私としては(消費税の増税を)ぜひやりたい」と繰り返し表明。「いろいろ批判が出ることは承知している」が「逃げずに」進めるとし、あくまで3年後に消費税増税に踏み切る考えを示しました。
米国発の金融危機で景気が悪化するもと、「緊急対策」ついての記者会見で消費税増税を重ねて強調するのは異常なこと。個人消費を冷やすことにしかなりません。欧州が消費税減税に動いているなか、世界の流れにも逆行しています。
減税規模1兆1000億円
税制大綱与党決定 消費税の「目的税化」盛る 2008年12月13日 読 売
自民・公明両党は12日、2009年度与党税制改正大綱を決定した。過去最大規模の住宅ローン減税、ハイブリッド車や低燃料費などを対象とする自動車減税策を盛り込んだ。国と地方合わせて減税規模は約1兆1000億円に上り、中小企業などへの大規模な減税が盛り込まれた07年度改正の約6000億円を大幅に上回る見込みだ。
大綱は、「税制抜本改革の全体像」で、景気回復後に取り組む中長期的な税制改革の進め方も明らかにした。最大の焦点だった消費税率の引き上げについては、「今はその実施のタイミングにない」としたうえで、「経済状況の好転後に速やかに実施する」と具体的な時期や幅を明記しなかった。 与党は、年末までに政府とともにまとめる税制抜本改革の「中期プログラム」でも、消費税の取扱いは大綱の記述をほぼ踏襲したい意向だ。
消費税については、使途を社会保障分野に限定する「目的税化」の方針や、生活必需品に軽減税率を適用する「複数税率」の導入の検討などを示した。さらに「必要な法制上の措置をあらかじめ講じておく」と将来の引き上げに向けた準備を事前に進める考えを打ち出した。消費税率引き上げ時期の目安などを規定する法律などが検討されそうだ。(後略)
大企業減税拡充を先行 与党が来年度税制「改正」大綱
2008年12月13日 赤 旗
麻生内閣与党の自民・公明両党は12日、2009年度税制「改正」大綱を決定しました。同大綱は、消費税増税を含む税制「抜本改革」を10年代半ばまでに実施することを明記。法人税課税の実効税率の引き下げを検討するとしました。
同大綱には、海外子会社の利益非課税化や省エネ設備投資減税などの大企業減税が列挙されました。証券優遇税制の延長も盛り込まれています。自民・公明両党は、大企業・大資産家減税の拡大を先行させ、その穴埋めを将来の消費税増税でまかなう考えです。
海外子会社の利益非課税化は、世界的に事業を展開する大企業に恩恵があります。省エネ設備減税では、太陽光発電装置などを導入した企業の税額を軽減します。一部富裕層に巨額の減税効果をもたらしている証券優遇税制については、期限を3年間延長し、11年末までとします。
景気悪化のもとで、税制面からも暮らしを支えることが求められています。大綱はこれに逆行し、大企業・大資産家優遇のツケを庶民にまわし、消費をいっそう冷え込ませる内容です。
社会保障抑制は「維持」来年度予算方針閣議決定
「機動的対応」も今後の課題に消費税増明記
2008年12月4日 赤 旗
麻生内閣は3日、2009年度予算編成の基本方針を閣議決定しました。社会保障関係費を毎年2200億円ずつ抑制することを盛り込んだ「骨太の方針2006」と来年度予算概算要求基準(シーリング)を「維持」しつつ、「(経済)状況に応じて果断な対応を機動的かつ弾力的に行なう」としました。
景気悪化と社会保障の連続改悪への批判から、実質的な手直しを余儀なくされていますが、抑制路線そのものは撤回していません。その上で、社会保障の「安定財源確保」を口実に、経済状況の好転後に「消費税を含む税制抜本改革を速やかに開始」し、「2010年代半ばまでに段階的に実行する」と明記。将来の消費税増税を打ち出しました。
社会保障関係費の抑制をめぐっては、世論の強い批判を受け、麻生太郎首相も「結構限界に来ている」(11月27日)と発言。小泉内閣以来の「社会保障抑制路線」の国民との深刻な矛盾が鮮明になっています。
それでもなお、「シーリングは維持」(麻生首相)するとし、経済状況に応じた「果断な対応」は「特別枠」や補正予算の上積みなどで具体化することを検討しています。その財源として、たばこ増税が浮上しており、“取りやすいところから取る”発想です。
道路特定財源の「一般財源化」については、「1兆円を地方の実情に応じて使用する新たな仕組み」をつくるとしました。首相と自民党はすでに、道路を含む公共事業に使途を限定した1兆円の新型交付金の創設で合意。ムダな高速道路をつくり続ける仕組みを温存する構えです。
消費税増税時期 明記は難しい
自民税調会長 08年12月2日 赤 旗
自民党税制調査会の津島雄二会長は1日、時事通信のインタビューに応じ、年内にまとめる税制「抜本改革」について答えました。「中期プログラム」で、消費税率の引き上げ時期や幅については、「いつ(引き上げ)ということを今は予測するのが非常に難しい。今後の経済状況いかんでどのくらいの財政赤字が出るのか、まだいろいろ(問題が)ある。将来を見通すのは容易なことではない」と、明記するのは難しいとの考えを示しました。
また、将来的な消費税見直しについては、「これ以上消費税を上げていくことになると、全部上げるのでなく、一定の品目については上げないことも議論しなくてはいけない」と述べました。

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