消費税をめぐる情勢と増税発言
消費税上げ 道筋見えず
税制改正法案通過 選挙控え反対も
2009年2月28日 読 売
27日の衆院本会議で可決された2009年度税制関連法案は、付則に11年度からの消費税率引き上げ方針を明記している。4月28日までに衆院で再可決、成立した後、政府は直ちに引き上げに向けた作業に着手する構えだが、選挙を控えて与党内には反対意見が根強く、税率引き上げへの道筋はすっきりと見通せない情勢だ。
付則は、経済状況の好転を前提に、「11年度までに必要な法制上の措置を講ずる」としている。財務省は「11年度末までに消費税率の引き上げを定める法案を国会に提出しないと違法になる」と説明している。麻生首相も27日の衆院財務金融委員会で、10年度か11年度に法案を提出する考えを示した。
焦点は引き上げの時期で、付則では、法律で時期を決める際には「柔軟に対応できる仕組みとする」となっている。景気回復後の法案提出となれば、景気が再び減速している局面での増税になりかねない。景気悪化を助長する事態を避けるため、法案提出を急ごうという考えもある。
11年度中に景気回復の見通しが立たないこともありえる。このため、11年度までに提出する法案に引き上げ時期に盛り込まず、経済状況に応じ、時期を明記する2本目の法案を提出する案も。検討されている。
ただ、与党側は予算成立後の衆院選を意識せざるをえず、「選挙に不利になる消費税の議論をする状況ではなくなる」(自民党幹部)という。さらに、衆院選で民主党を中心とする政権が誕生した場合は、税率引き上げの方針が白紙に戻る可能性も残っている。(栗林喜高)
消費税増税法案 来年の国会にも提出
佐々木議員に首相認める
2009年2月28日 赤 旗
日本共産党の佐々木憲昭議員は27日の衆院財務金融委員会で、消費税増税法案の提出時期について麻生太郎首相の認識をただしました。20日の同委員会で与謝野馨財務・金融・財政相は同法案を早ければ来年の通常国会に提出すると答弁していました。麻生首相は「与謝野大臣と同じ」と述べ、法案提出を認めました。
佐々木氏は、昨年10月30日の会見での首相の消費税増税発言について、「(周りと)事前に打合せをした上での発言か」と質問。麻生首相は「していない」と答え、自らの判断で消費税増税を持ち出し、主導したことを明らかにしました。
佐々木氏は、消費税増税は、次の総選挙で選ばれる議員が決めることになると指摘。「総選挙の争点として、国民に増税に賛成か、反対かの選択を仰ぐのか」と追及。麻生首相は、年金などの財源として「負担をお願いしている」と否定しませんでした。
与謝野財務相が基礎年金の国庫負担2分の1引き上げ財源として増税が必要と述べたのに対し、佐々木氏は定率減税廃止分を年金財源にあてるとしながら、5分の1しかあてていない実態を突きつけ、「1つの証文で2度借金を取り立てることと同じ」と批判。「消費税増税は絶対に認めるわけにはいかない。総選挙の最大争点とするなら、われわれは国民に厳しく問いかけてたたかう」と強調しました。
与謝野氏 消費税減税の効果否定するが
2009年2月24日 赤 旗
与謝野馨財務・金融・経済財政相は22日、テレビ朝日系番組「サンデープロジェクト」に出演し、司会の田原総一朗氏から、景気対策として「消費税ゼロ%」の提案を受け、「たしかにそういう論点はある」としつつも、「直感的には否定的」と述べました。
田原氏は、自民党内から30兆円規模の追加経済対策を求める声がでていることをあげ、「それなら消費税率をゼロにしたらどうか。国民にわかりやすい」と提起。コメンテーターも「減税の方が早い。公共投資をやろうとすると時間がかかる」と求めました。
与謝野氏は、イギリスが昨年12月に消費税(付加価値税)を減税したが「その月の消費は増えなかった」として、消費税減税の効果に疑問を呈しました。
イギリスでは、景気刺激策として昨年12月から今年末まで消費税率を2・5%引き下げ、15%としています。
この施策について同国の有力シンクタンク・財政研究所(IFS)は、「景気悪化が抑えられる」との研究報告をまとめ、個人消費が1・25%増えると予測しています。
もともとイギリスでは食料品や書籍、子ども用衣料などは非課税。すべての商品に5%がかぶさる日本が減税を実施すれば効果絶大なのは明白ではないでしょうか。
法案に明記 強い拘束力
与謝野氏、月刊誌で消費税増税論
2009年2月19日 赤 旗
辞任した中川昭一前財務・金融相の後任に就任した与謝野馨財務・金融・経済・財政担当相が、18日発売の月刊誌『新潮45』で「消費税、上げなければ日本は潰(つぶ)れる」と題した持論を展開しています。
与謝野氏は「消費税を引き上げなければ財政再建と社会保障の充実はなしえない」「この考えはどんなに批判されても撤回するつもりはない」と強調。衆院で自民・公明両党が審議入りを強行した2009年度税制「改正」法案の付則に消費税増税方針を盛り込んだことについて、「法案に明記して法制化すれば、より拘束力を持つ」と告白しています。
また、民主党について「彼らも本当のところは、消費税を引き上げざるを得ないことは十分に理解している」と指摘。次の選挙における野党との対立軸は、「『増税か否か』でない。あくまで『責任のあることを言っているかどうか』『根拠のあることを言っているかどうか』にすべきである」と主張しています。
与謝野氏は、自著の『堂々たる政治』で、消費税増税について「妥当な線が10%だ」とのべ、「(増税を)チビチビやって毎回選挙に負けるより、1回どんとやって負けた方がいい。それが政権を担う政党の責務である」と主張していました。
経団連 「消費税17%」 引き上げを提言
2009年2月17日 赤 旗
日本経団連は16日、社会保障制度「改革」に関する提言を発表しました。2025年度までに、消費税を段階的に約17%まで引き上げ、基礎年金の財源に充てることが柱。今後、政府に実現を働き掛けるとしています。
提言は基礎年金の全額税方式への移行を明記。具体的には、まず消費税率を15年度までに現行の5%から10%に引き上げ、基礎年金と医療・介護に各2%分、少子化対策に1%分を配分。さらに、税率を最終的に約17%とし、合計で約12%の引き上げ分は、基礎年金に約4%、医療・介護に7%、少子化に1%それぞれ充てることを提案しています。
一方、厚生年金保険料は基礎年金の税方式への移行により、現行の約15%から10%に下がると試算。負担割合は現行の労使折半を改め、企業は7・5%に据え置く一方、従業員は2・5%に下げるとしています。
消費税は所得が低い人ほど負担が重い「福祉破壊税」です。社会保障の財源を考えるのには、もっともふさわしくない税金です。また、社会保障に対する日本企業の税と保険料の負担は、欧州諸国に比べ低い水準です。従業員への保険料負担軽減を誘い水にしながら、消費税率の大幅な引き上げで庶民に負担を強いることは、ほんらいもっと負担すべき企業の責任を回避することに変わりはありません。
内需主導に経済転換を
佐々木議員 消費税増税方針を批判
2009年2月13日 赤 旗
佐々木憲昭議員は2009年度予算関連法案である税制「改正」法案への質問で、「大企業・大資産家には減税を行いながら、なぜ庶民に増税を押し付けるのか」「重要なことは、輸出依存・外需頼みから、家計を中心とする内需主導に経済を転換することだ」とただしました。
佐々木氏は、同法案に盛り込まれている、企業の海外子会社からの配当を非課税にする制度は「大企業にきわめて有利な減税措置だ」と指摘。証券優遇税制の延長については「大資産家へのとてつもない減税だ」と批判しました。
また、法案の付則に、11年度までに「消費税を含む税制の抜本的な改革」を行なうための法制上の措置をとると明記したことについて、佐々木氏は「雇用がますます不安定になっているなかで、麻生内閣が消費税の増税を打ち出したことは不安をいっそう増幅させている」と述べ、消費税増税ではなく、消費税の食料品非課税を行なうよう求めました。
麻生太郎首相は「現在、食料品に非課税措置を講ずるのは適当ではない」と答弁。「来る総選挙において、税制改正、社会保障制度のあり方、財政責任の取り方などを問うことで、国民生活に責任を持つ政党はどこなのかを競いたい」と述べました。
25年度 消費税17%提言 経団連 社保制度改革案
2009年2月5日 読 売
日本経団連が近くまとめる社会保障制度改革に関する報告書の最終案が4日、明らかになった。2025年度をめどに、基礎年金をすべて消費税など税金でまかなう「全額税方式」に完全移行し、高齢者医療や介護保険制度でも公費の投入割合を増やすべきだと提言している。
追加的に必要な財源は消費税率換算で12%程度と試算しており、すべて消費税でまかなう場合、税率を17%に上げる必要がある。
現在、基礎年金の公費負担(税金)の割合は3分の1で、09年度から2分の1に引き上げられる。
報告書は、第1段階として、15年度までに公費負担割合を3分の2に上げ、消費税率換算で最低5%分の財源確保が必要だと試算した。すべて消費税でまかなうと、税率は現行の5%から10%に上がる計算だ。
さらに、25年度までの第2段階で、全額を公費負担とすると、最終的な消費税率は 17%になるという。
消費増税 大合唱 衆院予算委審議始まる
2009年2月4日 赤 旗
衆院予算委員会で3日、麻生太郎首相と全閣僚が出席して、2009年度本予算案についての審議が始まりました。質問に立った自民党議員5人のうち、保利耕輔、野田毅、田野瀬良太郎の3氏が消費税増税の必要性を迫る異様さ。首相もあくまで増税に固執する立場を示しました。
保利政調会長は、景気対策とともに「プライマリーバランス(基礎的財政収支)の回復もおろそかにできない」と発言。「これからの財政をどうやっていくか。政治家の責任問題だ。勇敢に対応を」と消費税増税の断行を求めました。
麻生首相は「ツケを子や孫に先送りするのは無責任だ」と述べ、これに応えました。
与謝野馨経済財政担当相は、税制改正法案の付則に「2011年度までに必要な法制上の措置」が盛り込まれていることについて、「いつかやります、ではなく、少なくとも法制上の準備はしておきましょう(ということ)」だと強調。増税実施に執念を見せました。
野田氏は、高齢化が「こんなに急テンポですすむ国は、世界で日本だけ」だと、社会福祉財源を口実にして消費税増税の必要性を主張。首相は「高齢化比率が上がるなか、消費税率が1ケタという国は日本ぐらいしか残っていない」と税率2ケタ台の本音をのぞかせました。
田野瀬氏は「国民のみなさんはいずれ消費税は上がるんだろうなということは勘付いている」として、そのための条件として、税金のムダづかいについての象徴である天下り、「渡り」の禁止、国会議員定数の削減などをあげました。
公明党の坂口力議員は消費税の増税は重要だとしたうえで、「その前に所得税、住民税、法人税の見直しが必要」だとのべました。

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