消費税をめぐる情勢と増税発言
消費税 マニフェスト点検
税率上げ 議論封印 2009. 8. 20 読 売
借金まみれの国の財政をどう立て直すのか。この課題に自民、民主両党とも明確な手立てを示していない。民主党は消費税を4年間引き上げないと明言し、自民党も消費税引き上げの時期や幅の言及を避ける。社会保障費の増大が確実な状況のなか、財政再建は遠い目標になりつつある。【中略】
自民党は、景気回復を前提に、11年度までに消費税率を引き上げる法制上の措置を講じる。消費税の使い道は年金や医療、介護、少子化対策に限定する考え。食料品などに対する税率軽減を検討する方針も示している。
民主党は、約207兆円の予算の組み替えと「埋蔵金」活用などで財源を確保する。「子ども手当などの財源は、無駄遣いの削減や埋蔵金活用、税制措置の見直しなどで賄う。09年度補正予算の1部も執行を凍結するという。
公明党は、すべての国の事業を見直す「事業仕分け」で約2兆円を削減・合理化する。消費税などの税制抜本改革は、社会保障と少子化対策に使い道を限定する前提で「10年代半ばまでに段階的に実行」と明記した。
共産党は、消費税率引き下げ、生活必需品の非課税化を掲げる。防衛費の削減や大企業の法人税率上げなどで財源を確保する。
社民党は、無駄遣い削減、「埋蔵金」活用、法人税率や高額所得者の税率引き上げなどで財源を確保し、消費税率は上げないと主張。
国民新党は、個人金融資産の活用や新規建設国債の発行などで積極的な財政出動を行い、5年後に80兆円の税収増を実現するという。【後略】
6党首討論会 日本記者クラブ
社会保障制度改革の話を 麻生氏
消費増税実施は封印 鳩山氏
2009. 8. 18 朝 日
【前略】
鳩山――社会保障制度改悪について、選挙後に超党派の協議機関で合意を得る努力をす
考えはあるか。
麻生――自民党がこの選挙に勝とうが負けようが、きちんとそういった話をすべきだ。
鳩山――国会の中での議論が一番だと思うが、協議することは重要だ。当然、財議論も
必要だと思うが、今すぐに消費税の増税の議論に加わる必要はないと考えている。
麻生――消費税はそんなに怖いものなのか。意図的に消費税論議を封印している感じ。
鳩山氏は消費税を4年間封印するというが、それは議論封印か実施封印か。
鳩山――実施を封印するということだ。4年間、消費税を上げる必要がないということを理論的にきちんと証明する必要がある。増税を勇気を持って言わなければならない時は当然あるが、今のような経済状況の中で、政治が必ずしも信頼を得ていない状況のとき、いくら増税の議論を進めようと思っても国民は見向きもしない。
一番大事なことは、無駄遣いなどをなくして、政治の信頼を取り戻した時に、大いに消費税の議論はされるべきだ。
麻生――財源問題。具体的に何をどう削るのか。例えばマニフェストにある(群馬県の)八ツ場ダム。どういう段取りで(建設を)中止するのか。
鳩山――いったん冷静になって本当に必要かどうか議論することが肝要だ。私も実際に見てきたが、必要ないと強く感じた。あとは政治力だ。住民との接触の中で政治的な決断を行なう必要がある。
将来は増税のお願いも
2009. 8. 18 赤 旗
社民党の重野安正幹事長は16日放送のNHK「日曜討論」で、「消費税なのか名前は別として、国民に負担をお願いする。それは将来ありうる」と述べました。
司会者の景山日出男NHK解説委員から「社民党は将来(消費税を)上げるかもしれない、上げる可能性があるという民主党と(連立政権を)組めるんですか」と問われて応えたもの。
重野氏は、無駄遣いをやめて財源を捻出(ねんしゅつ)するなどしても「それでもなおかつ不足する。そのときは当然、国民のみなさんに相談するんです」と述べました。
いま注目 共産党の財源論
2つの「聖域」にメス 12兆円
2009. 8. 15 赤 旗
「財源論で火花」「財源巡り激論」――新聞各紙にこんな見出しが躍っているように、各党が社会保障対策や子育て支援策を打ち出すなか、それを支える財源論が総選挙の大争点になっています。
「景気回復後に消費税の引き上げをお願いしたい」(12日)。麻生太郎首相が2011年からの税率アップを露骨にいえば、民主党の鳩山由紀夫代表は「消費税をいつまでたっても上げないで済む日本ではない」(12日)と将来の引き上げを明言しています。
そうしたなか、消費税増税に頼らない日本共産党の財源論が注目を浴びています。共産党は、軍事費と大企業・大資産家という「2つの聖域」にメスを入れることを柱に、12兆円の財源を生み出すとしています。民放番組で、リポーターが「こういうことを言うのは共産党だけ。独自色ですね」と発言。ジャーナリストの鳥越俊太郎氏も「社会保障費を2200億円削る代わりに、そっち(米軍への“思いやり予算”)を削れよと思う」(12日)とコメントしました。
自民党ばかりでなく民主党も2つを不可侵の「聖域」にしているため、「子ども手当」の財源は、約600万世帯に負担増となる配偶者控除の廃止などの庶民増税に財源を求めるというつじつまのあわないものになってしまうのです。財源をめぐる議論は「日米軍事同盟絶対」「大企業・大資産家中心」という政治のゆがみをただすかどうかという、国のあり方と一体の問題です。
消費税4年据え置き 野党3党共通公約
2009. 8. 15 読 売
民主、社民、国民新の野党3党は14日、「衆院選に当たっての共通政策」と題した3党共通の衆院選公約を発表した。消費税率は、4年間を念頭に現行の5%に据え置くと明記し、郵政事業の4分社化体制の見直しなどを打ち出した。3党は、衆院選で与野党が逆転した場合、この政策を基に連立政権を組むための政策協議を進める方針だ。
「共通政策」は、@消費税率の据え置きA子育て支援B年金・医療・介護など社会保障制度の充実―――など6項目で構成。冒頭で「小泉内閣が主導した市場原理・競争至上主義の経済政策は、国民生活、地域経済を破壊した」と指摘し、家計支援を最重点と位置づけ、国民の可処分所得を増やして国民生活を立て直す方針を強調した。
消費税に関しては、「今回の選挙において付託された政権担当期間中において税率引き上げはは行なわない」と明記し、景気回復後の消費税率引き上げを掲げる与党との違いを鮮明にした。【後略】
消費税 自・民論戦 党首討論
麻生首相「2%成長で税率上げ」
鳩山代表「今後4年は必要ない」
2009. 8. 13 読 売
麻生首相(自民党総裁)と民主党の鳩山代表は12日、東京都内のホテルで、学者や経済人らでつくる「新しい日本をつくる国民会議」(21世紀臨調)主催の党首討論に出席した。首相は、財政出動による景気対策を今後も優先する考えを強調したうえで、名目の経済成長率が2%になれば消費税引き上げの環境が整うとする見解を表明した。鳩山氏は「子ども手当」支給など直接支給型の政策で内需拡大を図る考えを示し、少なくとも今後4年間は消費税率を引き上げない考えを強調。消費税率引き上げに対する両党の立場の違いが鮮明になった。【中略】
鳩山氏は消費税率の引き上げについて首相に見解を求め、首相は「基本は景気回復だ。名目の経済成長率が2%になれば遅滞なく(引き上げが)できる状況になったと判断できる」と述べた。鳩山氏は「消費税をいつまでも上げないで済む日本ではないと認識しているが、4年間は増税する必要はない」と語った。さらに、環境税創設などを検討する考えを示した。
自民幹事長が増税に執念
2009. 8. 13 赤 旗
自民党の細田博之幹事長は12日、日本外国特派員協会で講演し、「消費税を上げることが、貧しき者にとってマイナスが大きいというのは、神話に近い」などと述べ、消費税増税への執念をあからさまに示しました。
さらに、高い支持率だった小泉政権のときに「5%の消費税を7%にとお願いすれば、これほど財政が悪化しなかった、とは思う」と、小泉政権で消費税増税をすべきだったという考えを示しました。
細田氏は「ドイツは大連立をして、すぐに消費税を19%に増税した。非常に立派な決断だ。うらやましいくらいだ。政治的リーダーシップのある国だ」と述べました。
<衆院選>共通公約に景気回復後の消費税増税
自公幹事長合意
2009. 8. 6 18時55分配信 毎 日
自民党の細田博之、公明党の北側一雄両幹事長らは6日、東京都内のホテルで会談し、衆院選の与党共通公約に「景気回復後の消費税率引き上げ」の方針を盛り込むことで合意した。
消費増税の方針を巡っては当初、公明党が難色を示していたが、社会保障政策の財源を示すことで、民主党との違いを強調する狙いがある。【中略】 与党は12日に共通公約を発表する予定。
安定財源「消費税25%必要」
与謝野氏、民主政策を批判
2009. 8. 5 朝 日
与謝野財務相は4日、閣議後の記者会見で、民主党が総選挙で掲げる「子ども手当」など一連の政策について、「北欧型の高福祉社会を目標にしている(ようだ)が、実現には高負担がついて回る」と指摘。安定的な財源を得るには「消費税率を25%以上にしないとできない」と述べた。
民主党が主張する予算の組み替えや無駄を排除する対応については、「1年、2年は可能かもしれないが、5年、10年単位で考えれば(消費増税は)避けて通れない」との見方だ。一方で、自民党は、膨らむ社会保障費の財源確保に向けて11年度には消費増税のための税制改革に着手する方針を掲げている、与謝野氏は「(消費税に)真っ正面から取り組み、財政再建目標もきちっと出している」と強調した。
そのうえで、今回の総選挙は「自民党の『中福祉・中負担』か(民主党の)『高福祉・高負担』か。どういう社会が望ましいか、国民の判断にゆだねる選挙だ」と述べた。
英・消費税減税 期間延長せよ
小売り最大手“購買意欲維持を”
2009. 8. 4 赤 旗
【ロンドン=小玉純一】英労働党政権が昨年12月から今年末までの予定で実施中の消費税(付加価値税)減税について、同国の小売最大手のテスコが減税期間延長を要求した。これで小売大手各社が期間延長で歩調を合わせました。メディアでも英紙デーリー・テレグラフが「税率維持キャンペーン」を宣言しています。
テスコの期間延長要求は7月30日付けのデーリー・テレグラフが伝えました。消費税の税率は昨年12月1日に17.5%から15%へ下げられました。実施期間が今年末とされていることに対し、すでに小売大手のマークスアンドスペンサーやセインズベリーもその延長を要求しています。【中略】
英国では食料品の税率はゼロで、15%に引き下げられたのは一般税率です。テスコの店頭で販売される商品の半数に消費税がかかっているといいます。
7月24日に「税率維持キャンペーン」を宣言したデーリー・テレグラフ紙には、29日にイグランド銀行(中央銀行)の金融政策委員を務めたブランチフラワー氏も登場、「いま必要なのは成長刺激策。増税ではない」と主張しました。
国内総生産がマイナス続きのなか、小売りの売り上げは6月、昨年比で2.9%の伸びとなりました。同紙は「6カ月で4度目のプラスだ。好天に恵まれ、サマーセールが早くなったことに加え、消費税減税が役立った」(24日付)と指摘しました。
政権党の「責任」全面 財源の裏付け不十分
自民公約 達成への道筋説明不足
2009. 8. 1 読 売
自民党は31日に発表した衆院選政権公約(マニフェスト)について、政権担当政党としての「責任」をキーワードに、実行可能な施策を並べたとしている。しかし、裏付けとなる財源や実現に至る工程の説明は不十分で、「民主党の財源のあいまいさを批判できない」という指摘も出ている。
今回の自民党の公約の目玉である幼児教育の無償化には、政府の試算で約7900億円の新たな財源が必要だ。しかし、公約は、財源がどの程度の規模でどうまかなうかに触れていない。ほかの施策でも財源は不明確なままだ。
自民党の園田博之政調会長代理は「公約は従来の政策の継続・強化を前提にしており、毎年の予算編成の過程で新たな政策の財源は出す」と説明したうえで、中期的な財源確保策として消費税引き上げに言及していると強調した。消費税論議を避ける民主党とは違う、というわけだ。
実際、消費税について、経済回復を条件に税率を引き上げる方針を掲げてはいるが、引き上げ時期のメドや引き上げ幅は示していない。国民の痛みを強いる消費税増税を選挙戦で掲げることを懸念する声が、党内に根強いためだ。【中略】
景気回復後に税率上げ 消費税
消費税率引き上げを含む税制の抜本改革については、2011年度までに行なう方針を示した09年度税制改正関連法の付則に沿って「経済状況の好転後、遅滞なく実施する」と明記した。景気回復を条件に消費税率を引き上げる方針を示したものだ。そのことで「中福祉・中負担」の社会保障制度を実現する考えで、「責任ある政党」だとアピールし、「民主党の政策は財源論の裏付けがない」という批判を強める考えだ。今後10年以内に国と地方の基礎的財政収支の黒字化を目指すことも盛り込んだ。
自民マニフェスト 異論噴出 原案を修正
消費税増税 全面に出せず
2009. 8. 1 朝 日
「あまり相手を攻撃するな。揚げ足取りに見えてはいかん」
伊吹文明元幹事長は会見前日の7月30日、党本部で細田氏に首相への助言を伝えた。民主党の財源問題を攻めるためにあえて消費増税の旗を掲げるほど、麻生政権の体力は強くない。まずは自民党の主張を実直に語ろうという提案だ。
「民主党の言うように補助金をカットすれば財源は出てくる。だけど、医療でそんなことをしたら大混乱。自民党は大混乱になることはしませんと言えばいいんだよ」
「守りの戦い」を勧める重鎮をよそに、首相は31日の会見で民主党の財源問題を果敢に攻めた。就任以来大胆な財政出動を掲げる一方、消費増税の道筋をつけることに意欲を燃やしてきたからだ。
そんな首相に常に立ちはだかってきたのはむしろ、足元の与党だった。昨年末に決めた中期プログラムは公明党の反発で税制改革の時期を「景気回復後」とする玉虫色決着に。マニフェストでは税制改革の実施は「経済状況の好転後遅滞なく」とされたが、世界同時不況からの脱出のめどがはっきりせず、「責任政党」と胸を張るための切り札には程遠い。
自民党はそればかりか、民主党が明記している具体的な予算額もほとんど示していない。首相に代わって会見で答えた園田氏は「財源論は毎年の予算編成でやっていく。国債の発行もやむを得ない」と歯切れが悪かった。【後略】

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