消費税をめぐる情勢と増税発言
新税調 会長は財務省
消費税論議も開始へ
2009年9月30日 赤 旗
政府は29日の閣議で、新たな政府税制調査会(税調)の設置を決めました。藤井裕久財務相が会長、菅直人副総理兼国家戦略担当相と原口総務相が会長代理に就任する人事も決定しました。
藤井財務相は閣議後の記者会見で、各省庁から8月末に提出された2010年度の税制改正要望の見直しを指示する方針を明らかにしました。再提出期限は、同年度予算要求と同じ10月15日。
また、新税調には国民新党の下地幹郎、社民党の阿部知子両政策審議会長もオブザーバーとして参加。新税調発足に伴い、現行の税調は廃止する方針です。
新税調に関連して、峰崎直樹財務副大臣は28日のテレビで「消費税は4年間上げないが、これからの税制は消費税論議抜きには語れない」と述べ、将来の消費税引き上げに向けた議論も早期に始める考えを示しました。
予算と税制 財源の手当てが最大の課題だ
2009年9月30日 読 売
(社説)
鳩山内閣による来年度予算の編成作業が本格的に始動した。29日の閣議で、予算編成の新たな基本方針と、税制改正の仕組みを抜本的に作り直す新政府税制調査会の設置が決定された。政府の歳出と歳入をコントロールする手順と組織がほぼ整ったといえる。
自公政権が決めた概算要求基準(シーリング)廃止され、各府省は、民主党の政権公約と連立3党の政策合意を反映した予算要求を10月15日までに、再提出することになった。
この要求を、新設する行政刷新会議が点検し、効率的な予算を作っていく仕組みだ。政権交代の実現で鳩山内閣が独自色を出そうとする気持ちは理解できる。だが、単に無駄を排除して新しい政策に回せば済む問題ではない。
物足りないのは、予算や税制を使っていかなる国を作り上げるかという考え方と、どんな政策に予算を重点配分していくかという基本構想が見えないことだ。今後、国家戦略室を中心に、早急に打ち出していく必要があろう。これまでの自公政権による前年踏襲方式では、確かに斬新な予算を編成するのは難しかった。 鳩山内閣がしがらみを断ち切り、新手法でメリハリの利いた予算を作るというのなら、それ自体は大いに期待したいところだ。
だが、最大の問題は財源の手当てである。今年度、46兆円と見込んだ税収は3兆〜4兆円ほど減収になる可能性が高い。来年度も同じような傾向が続くという見方が支配的だ。
国債を増発しない限り、まともな予算が組めない状況だ。財源となる税収をどう確保していくか。この点、新政府税調の役割は極めて重要になる。
新税調は藤井財務相が会長になり、各府省の副大臣らで構成する。自民党のように党税調はおかず、政府主導で税制を決める。
来年度改正の検討項目は、ガソリンの暫定税率の廃止や中小企業に対する法人税の軽減など、減税策ばかりが目立つ。
これでは財源確保どころではない。景気情勢を考えれば、今すぐ増税を打ち出す状況ではないが、新たな財源を確保する道筋だけはつけておかなければならない。
暫定税率の廃止は再考し、配偶者控除の廃止についても中身をつめる必要がある。民主党は消費税率を4年間引き上げないとしているが、中長期的な安定財源として、今から議論を始めるべきだ。
参院候補差し替えも
谷垣氏が出馬会見
2009年9月16日 朝 日
自民党総裁への出馬を表明した谷垣禎一元財務省は15日、同党本部で記者会見し、「選挙に勝つ体制を作らなければ国民の期待にこたえられない」と語り、来夏の参院選に向けて候補者の差し替えにも取り組む姿勢を示した。金看板の「消費増税」論には踏み込まなかった。
総選挙での敗北を受け、谷垣氏は「まだ我が党には国民に対して果たす使命がある。思い切った党改革の努力が必要だ」と指摘。参院選の候補者については「とても勝利が望めないということなら差し替えていく」と語った。
政策の目玉は地域や家族のつながりを大切にする「絆」だと強調。消費増税については「野党として、どう積極的に提示するかという問題はある」と述べるにとどめた。
連立合意 見えない財政再建
消費税据え置き、歳出は拡大
2009年9月10日 読 売
民主、社民、国民新の3党が9日、連立合意し、新政権の経済政策も固まった。合意文書には「子ども手当」創設など歳出拡大につながる政策が並ぶ一方、消費税率の据え置きが明記され、財政再建の道筋には不透明感が強まっている。
3党は「家計に対する支援」を最重点課題に位置づけ、年金・医療・介護など社会保障制度の充実で一致した。社会保障費を年2200億円抑制してきた政府の方針は廃止し、2009年度廃止された生活保護の母子加算の復活なども盛り込んだ。
目玉となる子ども手当の創設では、民主党の公約通り中学卒業までの子ども1人当たり年31万2000円の支給なら、5.3兆円の財源が必要となる。
しかし、世界的な景気悪化で、来年度の税収は大幅な落ち込みが予想されるうえ、社会保障費は高齢化の要因だけで毎年1兆円前後も増える。財源の裏付けがなければ、社会保障制度に対する国民の信頼を取り戻すのは難しい。
消費税率は、「現行の5%の据え置き」を明記し、政権担当中は税率を引き上げないことで一致した。第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミストは「欧州の例でも、連立政権が組まれると歳出拡大傾向になる。3党合意で財政再建が遠のきかねない」と懸念を示す。
民主党は、最低保障年金の実現に向け消費税の議論自体は必要だとしているが、社民党は、法人税率引き上げや高額所得者の税率引き上げなどを優先すべきだと主張しており、連立政権で議論すら進まなくなる恐れもある。
生活者重視の姿勢を打ち出す連立政権は、製造業派遣の原則禁止や、最低賃金の引き上げを盛り込んだ。特に社民党は労働者保護を強く求めており、経済が厳しい中でやみくもに推進すれば、中小企業の経営が立ちゆかなくなるとの懸念もある。【後略】
次期衆院選で消費税
2009年9月6日 赤 旗
民主党の大塚耕平政調副会長は4日夜、BSフジの報道番組に出演し、消費税率の引き上げについて「4年間に最大限の実行力を発揮して、次の選挙のときにはしっかりお願いするというのが唯一のシナリオではないか」と述べ、次期衆院選で有権者に問う考えを示しました。
同党は消費税率を4年間引き上げない方針。大塚氏は、まず歳出の無駄を削減して国民の納得を得ることが重要だと強調。その上で、「次の総選挙のときに社会保障制度の将来像と、それに必要な消費税収を示して判断を仰ぐのが最短かつベストシナリオだ」とも語りました。
鳩山代表「将来、消費税増も」
2009年9月3日 赤 旗
民主党の鳩山由紀夫代表は2日、都内で開かれた連合の中央執行委員会であいさつし、消費税について「政治不信が払しょくされたときには国民の皆様にもご負担をお願いするようなことも将来出てくる可能性があろうかと思う」と述べ、将来の税率引き上げはあり得るとの考えを示しました。
同党は消費税は4年間は引き上げない方針。これに関し、鳩山氏は自公連立政権では「国民の皆様が政治に対する不信感を強めている段階で、消費税増税のことなど実現すべくもなかった」と指摘。その上で「真剣にこの問題を取り上げ、将来の年金などを含めて社会保障の議論を進めて、結論を見いだしていきたい」と語りました。

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