消費税をめぐる情勢と増税発言
法人税10%下げ要求 経団連 税調がヒアリング
2009年10月28日 赤 旗
政府税制調査会は27日、日本経団連や日本商工会議所、連合などから、税制「改正」についてのヒアリングを実施しました。日本経団連の大橋光夫評議員会副議長(税制委員会共同委員長)は、「将来的には消費税の拡充がまず必要だ」と提言するとともに、「現行40%の法人実効税率を30%程度への引き下げを行なってほしい」と求めました。
大橋氏は、鳩山由紀夫首相が「4年間は消費税を引き上げない」としていることについて、「十分承知している。将来あるべき税制という議論だけはぜひ進めてほしい」と強調しました。また大橋氏は、研究開発減税の「維持・拡充」や同制度の「恒久化」を提言。欠損金の繰越期間についても20年程度への延長を求めました。
環境税制については、「新たな負担を(企業に)課すのは問題だ」と述べ、鳩山政権に「拙速な議論を避ける」よう求めました。
税負担と社会保障の事業主負担の合計を国際比較した場合、「日本よりも負担の高いところがある」と税調委員から指摘された大橋氏は、「アジアで競争していくという点から見れば(法人実効税率が)40%というのは割高だということは間違いない」と述べました。
峰崎直樹財務副大臣は会合後の記者会見で、経団連の提言について、「それほど違和感がなく聞いた」と述べました。
環境税 給付付き税額控除 納税者番号
新税調で首相指示 初会合
2009年10月9日 読 売
鳩山内閣の発足後、初めての政府税制調査会(会長・藤井財務相)が8日、首相官邸で開かれ、鳩山首相は政権公約(マニフェスト)で掲げたガソリン税などの暫定税率の廃止や、所得税の減税と給付金の支給の組み合わせる「給付付き税額控除」の導入などを検討するよう指示した。
初会合に出席した鳩山首相は「人口減少という厳しい環境の中で、どのような税制がふさわしいのか。真剣に国民のために議論してほしい」と求めた。
新しい政府税調は、政府税調と与党税調がそれぞれ議論を行いながら、実際には与党が決定権を持っていたこれまでの仕組みを改め、意思決定過程を分かりやすくする狙いで一本化されたものだ。原則として国会議員で構成し、藤井財務相が会長を、菅国家戦略相と原口総務相が会長代行を努める。
税制の専門家の意見も聞きながら、「公平・透明・納得」の原則のもと、税制全般を見直す。減税する場合は、埋め合わせの財源を捻出することを基本とする。
首相が検討を指示した「給付付き税額控除」は格差是正を図る「切り札」とされる。並行して、所得の把握を確実に行なうための番号制度の導入や、所得税の配偶者控除の見直しなどについても議論する方針だ。
一方、地球温暖化対策の「環境税」の導入を検討するほか、酒税・たばこ税についても税率などを見直す方向で話し合う。年金改革を実施する際の財源に充てるため、消費税率の引き上げに向けた議論にも着手する。
消費税率については、鳩山首相が「4年間は引き上げない」と明言しているが、8日夕に記者会見した峰崎直樹副大臣は、「当然、議論は必要になる。社会保障との関係も議論していかないといけない」などとのべ、新政府税調の重要テーマとする考えを示した。
2010年度の税制改正では、ガソリン税などの暫定税率の廃止、中小企業に適用する法人税率の引き下げ、租税特別措置の見直しについて議論し、結論を出す方針だ。
新政府税調は10月中旬以降、週2回のペースで開き、11月後半以降は、ほぼ毎日開く。新政府税調の発足に伴い、学識経験者らを中心に構成していた旧政府税調(香西泰会長)は、8日付で廃止された。
新しい政府税調が議論する主なテーマ
優先的に取り組む課題(2010年度税制改正での実施を想定)
● ガソリン税などの暫定税率廃止 ● 中小企業に対する法人税率引き下げ(18%→11%) ● 租税特別措置の見直し
中長期的に話し合う課題(2011年度以降に本格的に検討予定)
● 給付付き税額控除の検討 ● 税と社会保障制度共通の番号制度の導入 ● 子ども手当の導入に伴う配偶者控除、扶養控除の見直し ● 「地球温暖化対策税」(環境税)のあり方
● 地方交付税の配分方法見直し ● たばこ税、酒税の見直し ● 消費税率の引き上げ
新政府税調が初会合
首相 「納税者の立場で議論」
2009年10月9日 赤 旗
鳩山政権下で税制について協議する新たな政府税制調査会(税調、会長藤井裕久財務相)の初会合が8日、首相官邸で開かれました。鳩山首相は冒頭、「少子高齢化や人口減少の厳しい環境下、税制をどのようにしつらえるかが最大のテーマ。納税者の立場に立った税制議論をすすめていただきたい」と諮問。これを受け、新税調はガソリン税の暫定税率廃止や租税特別措置(租特)見直しなど、2010年度税制改定に向けた議論を本格化させ、年末までに改定案をまとめる方針です。
新税調は、各省副大臣ら与党議員計26人で構成しています。鳩山首相は諮問文の中で、「現行税制は複雑かつ不透明で、国民の不信感が高まっている」と指摘。その上で @ 暫定税率廃止などマニフェスト(政権公約)に掲げた項目の詳細 A 租特見直しと「納税者番号」制度をはじめとする納税環境整備 B 給付付き税額控除のあり方 C エネルギーやたばこなど間接諸税の課税のあり方 D 国・地方の税財源配分のあり方 E 法人課税や国際課税のあり方 F 税制「抜本改革」実現のビジョンー−の7項目を検討項目例としてあげました。
峰崎直樹財務副大臣(政府税調企画委員会主査)は会合後に記者会見し、消費税については「4年間は上げるということはない」と述べつつ、「議論は当然行なっていく。税制の中長期のビジョンを考えるとき、消費税を含んで税制全体のあり方をきちんと出す」と明言しました。
同副大臣はまた、民主マニフェストに明記された、所得税の配偶者控除、扶養控除の廃止について問われ、「(控除のあり方の見直しを)進めていくことに間違いはない」と述べました。
減税へ1千万対話や署名
消費税廃止各界連が全国会議
2009年10月4日 赤 旗
消費税廃止各界連絡会の2009年秋全国代表者会議が3日、東京都内で開かれました。加盟団体、都道府県と地域各界連の代表142人が参加しました。会議では新政権発足のもと、消費税増税勢力の狙いを打ち破り、国民の家計支援となる「くらしにかかる消費税減税」の実現をめざして運動を強めようと確認しました。
西村冨佐多全国商工団体連合会副会長が主催者あいさつをし、嶋岡千年事務局長が方針案を提案。
嶋岡氏は、総選挙で消費税増税を公約に掲げた自公政権を退場させ、この間、数々の増税策動を阻止してきたことは、各界連の運動と国民世論の大きな成果であり確信にしたい、と述べました。そして今後、消費税に頼らなくても財源を生み出すことは可能だとの世論を大きくしていくことが大事だ、と訴えました。1000万対話と署名の推進や、工夫した宣伝行動、広範な団体との懇談を旺盛になどの取り組みを提案しました。
討論では「消費税によらない最低保障年金の実現を目指しているが、そのために財源をどうするか、検討を進めている」(年金者組合)、「毎年、3月区議会に消費税増税反対の請願をしている。これまでの商店街組合だけへの要請から今年は広く女性団体、開業医や労働組合など729団体によびかけ多数の団体から賛同を得て請願をした。共感の広がりを感じた」(東京・渋谷区の各界連)などの発言がありました。
日本共産党の吉川春子前参院議員があいさつし、浦野広明立正大学教授が「新政権の発足と消費税をめぐる情勢」と題して記念講演しました。
消費税引き上げ 連立政権に配慮
経団連が提言
2009年10月3日 朝 日
日本経団連は2日、来年度の税制改正への提言を発表し、新政権と意見が大きく違う消費税の税率の引き上げを改めて求めた。「社会保障費用の増加分を消費税で賄うのが適切だ」という考えで、景気回復を前提に社会保障財源の確保について議論を進めるよう要望した。
消費税の引き上げに時期については従来とおり11年度から段階的に、と提言しつつ、今回はまず「今後5年間の具体的な税制改革の道筋を示すべきだ」として、税率据え置きで合意した連立政権にも配慮を示した。
民主党が検討するとしている温暖化対策目的税に対しては、経団連は従来通り、新たな負担を伴う新税の導入には反対だと主張した。
ガソリンの暫定税率を廃止するという民主党の主張については、道路特定財源が一般財源化されて課税根拠を失ったとの理由から、「廃止も含めて抜本見直しは不可欠」として容認の姿勢を示した。税制特別措置については、目的に照らして機能しているものは、法人税法など本来の法律に組み込むよう求めた。
提言は、新政府税制調査会や関係省庁などに今後渡す。
社会保障費増は消費税で賄え
経団連が提言
2009年10月3日 赤 旗
日本経団連は2日、「2010年度税制改正に関する提言」をまとめ、政府や与野党に送付しました。「社会保障費の増加分は消費税で賄うことが適切」と明記。その上で税制抜本「改革」の諸課題について、「政府は今後5年間程度のスケジュールを明確に示し、着実かつ段階的に実現を図るべきだ」と提言しました。
各税目ごとの具体策では、法人税の実行税率を30%をめど(現行約40%)に引き下げるよう改めて要望。一方で、企業の「国際競争力」を維持・強化するには「研究開発促進税制の拡充が不可欠」と指摘するなど、各種の租税特別措置では、一部恒久化や期限延長を求めました。
このほか、民主党がマニフェスト(政権公約)で導入を検討するとした地球温暖化対策税については、「環境目的の新たな負担を伴う新税導入は、国内産業の空洞化につながる懸念がある」などとして、反対の方針を示しました。

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