消費税をめぐる情勢と増税発言
法人税引き下げ財源に民主・自民、消費税検討
NHK日曜討論 小池氏、厳しく批判
2010年3月29日 赤 旗
日本共産党の小池晃政策委員長は28日放送のNHK番組「日曜討論」で、法人税を下げるために消費税を上げることも考えるという民主、自民両党の議論を厳しく批判しました。
討論では、中期的な財政の枠組みを今国会に「財政健全化」法案の形で示すと鳩山由紀夫首相が述べていることが議論となりました。
民主党の仙谷由人国家戦略担当相は、「自民党が出している『財政健全化(責任)法案』を見ると、われわれと共通する部分が多い。われわれの考えとほとんど変わらない法案が出ているので、与野党で話し合いたい」と述べ、自民党と協議する意向を示しました。
自民党の「財政健全化責任法案」は、社会保障財源の「安定的な確保」のためとして「消費税を含む税制の抜本的な改革」を掲げるなど、消費税増税の方針を明示しています。
仙谷氏の発言を受けて自民党の石破茂政調会長が「それには税制の議論が避けて通れない。自民も民主も法人税引き下げでは一致している。消費税を上げるというと選挙に負けるからというが、法人税を下げる財源をどこに見いだすか、きちんと議論したい」と述べると、仙谷氏は「おっしゃるとおり」と同意しました。
小池氏は、「財政再建は大事だが、すぐに消費税の話が出てくるのはおかしい。税金は、お金を持っている人、もうかっているところからとるのが原則だ。低所得者に重くかかる消費税を上げるのは間違っている」と指摘。「あいつぐ法人税減税で、法人税収が、GDP(国内総生産)がいまの約7割だった1985年の半分の水準に落ち込んでいることこそが税収に大穴をあけた。そこをふさがないと財政は立ち直らない」と民・自両党の議論を厳しく批判しました。
内閣支持36%、7ポイント下落 本社世論調査
「消費増税せず」方針、反対が上回る
2010年3月29日 日 経
日本経済新聞社とテレビ東京が3月26〜28日に共同で実施した世論調査で、鳩山内閣の支持率は36%となり、2月の前回調査から7ポイント下落した。不支持率は8ポイント上昇の57%で、支持率と不支持率の差は21ポイントに拡大した。
「4年間は消費税の増税はしない」とする鳩山由紀夫首相の方針について46%が「反対」と答え、43%の「賛成」を上回った。
内閣を支持しない理由(複数回答)は「指導力がない」が4ポイント上昇の57%で最高。「政府や党の運営の仕方が悪い」が41%、「政策が悪い」が34%で続いた。支持する理由(同)は「民主党中心の内閣だから」が前回と同じ39%。「人柄が信頼できる」と「政策がよい」がともに23%で続いた。
消費増税 国民は拒否
大門議員 引き上げ既定視を批判
2010年3月25日 赤 旗
日本共産党の大門みきし議員は24日の参院財政金融委員会で、この間の政府の税制論議で消費税の引き上げ、法人税の引き下げがあたかも既定の路線かのようになっている問題を批判しました。
大門氏はこの数年、消費税の引き上げができなかったのは、「たとえ社会保障のためでも引き上げに反対」の声が上がるなど、国民のあいだに拒否感が強かったからだと強調。「消費税が2ケタまで増税されたら1世帯当たり年間30万円程度の負担になる」ことを示しました。
そして基礎年金を全額税負担にする民主党の政策を実現するとなれば、「厚生年金で企業が負担してきた約4兆円がまるまる国民にかぶさってくる」と述べました。
鳩山由紀夫首相は「企業の厚生年金負担をなくすなどというのは結論が出たわけではない。これからの議論だ」などと答えました。
大門氏は「基礎年金の全額税負担をするなら消費税は8%くらいまで引き上げることになる」と批判。また企業負担について「日本は法人税が高いといっているが、社会保険料の企業負担とあわせれば、ヨーロッパに比べて低くなる。事実にもとづいた議論をすべきだ」と述べました。
菅直人財務相は「税制には緻密(ちみつ)な議論が必要だ。他国の状況などもきちんと調査したい」と答えざるをえませんでした。
10年度予算成立 マニフェストの抜本見直しを
(社 説)
2010年 3月25日 読 売
2010年度予算が成立した。極めて問題の多い予算なのに、与党ペースで掘り下げた議論もせず、政府原案通りに成立に至ったのは遺憾である。
10年度予算は、民主党の政権公約(マニフェスト)に基づき、費用のかさむ政策が数多く盛り込まれたことで、一般会計総額が92兆円と大きく膨らんだ。
予算の大枠を定める概算要求基準が撤廃されたことも、歳出増の要因となったのは明らかだ。
一方、税収は37兆円余りに落ち込むため、当初予算としては過去最大となる44兆円もの国債を発行してしのぐ有り様だ。当初予算で国債発行額が税収を上回るのは、戦後初という異常事態である。
10年度予算が成立したばかりだが、「このままでは11年度予算はまともに組めない」との指摘が、早くも各方面から出ている。
税収増が期待できない中、政府が11年度も歳出拡大を続ける構えでいるからだ。これでは国債依存度がさらに高まり、日本経済に対する信用が失墜しかねない。
実際、海外の格付け機関は、日本の国債の格付けを引き下げる可能性を示唆している。
鳩山内閣は、財政事情の厳しさを再認識し、マニフェストへのこだわりを捨てて、財政健全化に努めなければならない。
10年度予算で最大の歳出項目は社会保障費である。約27兆円と一般歳出の半分以上を占める。この社会保障費は、11年度でも最大の歳出拡大要因となろう。
中でも、子ども手当の取り扱いが焦点だ。今年6月から実施される月1万3000円の半額支給ですら、10年度は2・3兆円かかる。11年度からの満額支給なら、5・3兆円の財源が要る。
これに、基礎年金の国庫負担引き上げ分(2・5兆円)や少子高齢化に伴う自然増分などを合わせると、社会保障費だけで6兆円もの財源を確保せねばならない。
にもかかわらず、10年度予算に計上された10兆円の税外収入は、埋蔵金の枯渇で、もはや当てに出来なくなった。
昨年の事業仕分けで削減されたのは7000億円に過ぎないことを考えれば、無駄減らしによる財源の捻出は絵に描いた餅である。
歳入が足りず、無駄にも切り込めないとなれば、マニフェストによるバラマキ政策を大幅に見直すしかあるまい。
消費税率引き上げなどによる中期的な財政健全化の道も、早急に示す必要があろう。
予算成立―公約の見直しに踏み出せ
(社 説)
2010年3月25日 朝 日
2010年度予算が、きのう成立した。国会審議は攻守ところを変えたとはいえ、かなりの時間が政治とカネの問題に費やされたのにはうんざりだ。しかし変わった点もある。連日、政権公約(マニフェスト)のあり方が論争の的になったことである。 大方は、自民党をはじめとする野党からの民主党批判だった。
民主党はマニフェストに、無駄遣いの根絶で9.1兆円を賄うと記したのに、事業仕分けなどで削れたのは1兆円程度。ガソリン税の暫定税率廃止もできなかった。公約違反ではないか、といった具合である。 マニフェストには政策の実現時期を示す工程表はあっても、財源捻出(ねんしゅつ)の工程表がないという指摘もあった。 政権攻撃が狙いではあっても、予算案審議でこれほどマニフェストが論じられたことは過去にない。与野党が衆院選で公約を競い合い、政権交代が実現したからこそ起こった変化である。政策をないがしろにして政局にかまけることは許されない時代になった。日本の民主主義の一歩前進である。
一方、民主党公約が抱える問題は、日本のマニフェスト政治がまだまだ未熟な段階にある現実も示している。マニフェストはどう取り扱うべきなのか。どのくらいなら変えることが許されるのか。この夏の参院選に向け、もう一度考え直す必要がある。政権選択を賭けた衆院選でのマニフェストは簡単に変えるべきではない、変えれば政治不信を深めることになる、という議論がある。民主党の小沢一郎幹事長も、参院選マニフェストは「衆院選のと大きく変わるはずはない」と、小幅修正にとどめたい意向を示唆している。 だが、それで済むだろうか。財源不足ははっきりしている。あれもこれも、というわけにはいかない。総額を圧縮し、政策の優先順位を明確にする。地に足のついた内容に改めることこそ、責任ある態度ではないか。中身に無理があるとわかった以上、十分に説明したうえで手直しするなら、有権者は理解するだろう。マニフェストをどのようにつくるのか。その手順も併せて考え直したい。
一握りの幹部が密室で決めるのではなく、党内外で幅広く議論し、合意形成を図る。最終的な責任は政策を実行する首相や閣僚が負う。透明性と責任の所在の明確化がポイントである。 自民党にも同じことが求められる。民主公約の「いい加減さ」を追及してきた以上、確かなものをつくれなければ話にならない。消費増税を含む財源論が問われる。 有権者へのサービスを並べたカタログではなく、めざす社会の将来像とそれを実現する方策を示したマニフェストへ。さらに一歩、進化させたい。
消費税増税で解散も
2010年3月14日 赤 旗
枝野幸男行政刷新担当相は13日、神戸市で講演し、「(鳩山内閣は)次の選挙までは上げないと約束したのだから、もし4年以内に上げなければいけない状況に追い込まれたら、その時点で(衆院)解散して国民の信を問うべきだ」と述べ、消費税増税を争点に衆院選が行なわれる可能性に言及しました。
ただ、「税金の無駄遣いをやめさせ、使い道を変えることを先にやらないといけない」とも強調しました。
首相 消費税上げ改めて否定
2010年3月14日 読 売
鳩山首相は13日、消費税率の引き上げについて、「私が政権を担っている間はしませんと申し上げており、そこに変わりはない」と述べ、在任中は引き上げない考えを改めて強調した。首相は「無駄遣い天国の中で増税と言っても(国民の)心に響かない。無駄遣いを徹底してなくすことが前提。政治に対する信頼が確保された時、国民は素直に聞く耳を持ってくれる。それには時間がかかる」と述べた。視察先の奈良市内で記者団の質問に答えた。
これに関連し、枝野行政刷新相は神戸市での講演で、「消費税は次の(衆院)選挙まで上げないと約束した。もし(衆院任期の)4年以内に上げなければいけない状況に追い込まれたら解散して国民の信を問うのが政治の責任だ」と述べた。
消費増税とんでもない 全国行動
2010年3月13日 赤 旗
「消費税増税・庶民増税反対」「軍事費を削ってくらしにまわせ」―。第41回「3・13重税反対全国統一行動」(同実行委員会主催)が12日、全国570カ所で取り組まれ、16万5千人が参加しました。
今夏の参院選挙を前に、鳩山内閣の閣僚から消費税増税論議の発言が相つぎ、経済危機のもとで、「本業だけでは食べていけない。増税なんてとんでもない」という声が広がっています。この日の行動では、中小業者、建設職人、農民、労働者、年金生活者らが、「税金を社会保障に使え」「大企業はまともに税金を払え」などとアピールしました。
東京都立川市では、市民会館で決起集会を開き、1300人が参加。立川税務署に向けてデモ行進し、所得税などの申告をしました。「内需主導経済への転換を」「仕事・雇用を増やして国民生活を守ろう」と書かれた横断幕、「低所得者ほど負担が重い消費税増税反対」「社会保障を拡充せよ」とののぼりを立て、市民にアピールしました。
日野市の大工さん(38)は、「消費税が10%、15%になれば生活がなりたたなくなる。仕事への影響も大きい」と話し、武蔵村山市で自動車修理工場を経営する男性(78)は、「車検の工賃は年々下がっている。お客さんから消費税は取れないが、納めないといけない。これで消費税が増税されれば、商売ができなくなる」と語りました。
社会保障目的に消費税増税
2010年3月13日 赤 旗
鳩山由紀夫首相は12日の参院予算委員会で、消費税に関し、「国民の政治に対する信頼を回復した後に、消費税の議論を行う。それは社会保障を目的にしたものにする」と述べ、税率引き上げに踏み切る場合は社会保障目的とすることで国民の理解を得たいとの考えを示しました。
自民党の舛添要一前厚生労働相が「増税分を社会保障目的税として考えるべきだ」とただしたのに対して答えたもの。
首相は現行税制について、「世界との比較の中で、法人税が高くて消費税が極めて低いのは実態として事実だ」と述べ、直間比率見直しの必要性について言及。「法人税は減税の方向に導いていくのが筋だ」と、法人税率引き下げの姿勢を示しました。
首相 「消費税、社会保障に」 早期の引き上げは否定
2010年3月13日 読 売
参院予算委員会は12日、「経済・財政」をテーマに集中審議を行った。鳩山首相は今後の税制の抜本改革に関し、「政治への信頼が回復した後に、消費税の議論をしっかり行う。それは社会保障を目的にしたものにする」と述べ、消費税を社会保障目的税とする検討を行う考えを明らかにした。
早期の消費税率引き上げは「国民の信頼がないと、増税の議論はなかなかできない」と否定した。首相はまた、「法人税は減税の方向に導いていくのが筋だ」として、税率引き下げに意欲を示した。(後略)
年金制度改革 超党派で議論し合意形成を(社説)
2010年3月11日 読 売
年金制度改革に着手するため、政府は「新年金制度に関する検討会」を発足させた。職業によって違う年金制度を一元化する、といった基本原則を5月をめどに示す方針だ。
民主党の政権公約で、年金制度改革は政権3年目以降とされていた。参院選をにらんだアピールの側面はあるにせよ、前倒しで取り組むこと自体は評価できよう。
鳩山首相は、政府・与党で原案を固めてから野党に協議を呼びかける考えだ。だが、与党内で時間を費やすより、舞台を早く超党派協議の場に移すべきだろう。
与野党が同じテーブルに着くことは十分に可能である。将来も保険料方式を基本とすることでは、ほぼ一致しているからだ。
現行制度は公務員、会社員と自営業者で年金制度が別になっている。制度の複雑さが保険料の未納を助長し、年金をほとんどもらえない高齢者が増えつつある。
解決策として民主党は、国民共通の所得比例年金を創設し、受け取り月額が7万円以上になるように、最低保障年金を消費税財源で上乗せする案を掲げている。
かつて民主党は、税で手当てする最低保障年金を強調し、現行の保険料方式を全額税方式に転換するかのように印象づけていた。
しかし、昨年の総選挙からは説明を変えた。保険料による所得比例年金が基本であり、最低保障年金は補完と位置づけている。
対して野党は、公明党が現行制度を改善する形で、低所得高齢者に加算年金を上積みする案を唱えている。自民党も公明党に近い考え方が主流と見られる。
両者の主張は、対立するものではない。民主党の構想でも40年程度は移行期間が要る。この間は新旧の制度が併存するため、現に生じている無年金・低年金者を救うには、公明党などが主張する現行制度の手直しもまた不可欠だ。
年金改革については読売新聞など言論機関や財界、労働界から多くの提言が出ている。これも生かして、超党派で合意形成を図ってもらいたい。
議論の大前提として避けられないのは、財源問題である。
長妻厚生労働相は「新制度への移行が進むまで最低保障年金に大きな財源は要らず、すぐに消費税を上げなくてもいい」と言う。 これは詭弁に近い。移行期間に併存する現行制度の手直しには、兆単位の財源がただちに必要になる。消費税の議論を切り離して年金改革はできまい。
政府 「消費増税」に含み 新年金制度の議論始める
2010年3月9日 赤 旗
政府は8日、新しい年金制度に関する関係閣僚による検討会の初会合を開きました。鳩山由紀夫首相をトップに、民主党が衆院選マニフェスト(政権公約)に掲げた制度案をベースに本格的な議論を始め、5月に新制度の基本原則を打ち出す方針です。
首相は「(新制度の構築は)新しい政権にとって最大の課題と認識していただきたい。将来の国民の皆さまの安心を築いていくための大変重要な議論だ」とあいさつしました。
同党が主張する新年金制度は、現在の厚生、国民、共済の各年金を一元化し、所得比例年金と、消費税を財源とする「最低保障年金」を組み合わせる仕組み。政府は2013年度の関連法案の成立を目指しています。
政府・与党としては、夏の参院選を前に有権者の関心の高い年金改革に取り組む姿勢をアピールする狙いもありますが、財源確保のための消費税増税を参院選で具体的に示すかどうか問われることになります。
長妻昭厚生労働相は会合後、「最低保障機能は当然税金で措置する。将来的には財源にも触れる」との見通しを述べ、今後、税と社会保障の共通番号制度や消費税率の引き上げ論議と密接にかかわっていくとの認識を示しました。
検討会は首相のほか、長妻厚労相、菅直人副総理兼財務相、仙石由人国家戦略担当相ら9人で構成。
年金改革―社会保障全体で考えよう(社説)
2010年3月9日 朝 日
民主党が政権公約に掲げていた「新たな年金制度の創設」に向けた政権内の議論が、ようやく動き出した。
鳩山由紀夫首相が自ら率いる検討会で基本的な考えをまとめるという。
年金改革は積年の国民的課題だ。中途半端な取り組みではいけない。参院選の主要な争点とするほどの覚悟をもって作業を急ぎたい。
民主党はこれまでに月額7万円の「最低保障年金」を創設し、所得比例年金と組み合わせるという方式を提案してきたが、具体的な制度設計はまだ白紙に近い。
最低保障年金については、現在の基礎年金のように一律に支給するのか、それとも所得が比較的高い人々を除外するのか。連立与党内でも、考え方はまちまちだ。
改革によって自分の年金はどうなるのか、そのために必要な負担はどれだけなのか。私たち国民が知りたいのは、具体的な中身である。
参院選に向けて、検討会を年金改革に取り組んでいる姿勢をアピールする場にできればいい、という狙いがあるとすれば論外だ。本気で取り組んで欲しい。
年金制度は長期にわたる国民との約束事だ。政権交代の度に制度が変わるようなことになれば、大きな混乱と不安を生む。
自民党など野党も、今の年金制度では生活保障の役割が担い続けられないのではないか、といった問題意識は共有している。いずれ、与野党の対立を超えて協議ができる場をつくり、多くの国民が納得する解決策を見いだしていく取り組みが必要になるだろう。
当面の争点として参院選で各党が競ってほしいのは、年金制度それ自体の未来図だけにとどまらない。
医療崩壊を防いだり、介護・少子化対策に力を入れたりすることは待ったなしだ。それらの費用がさらに膨らむことを前提に、年金を含む社会保障全体をどう強化したら安全で安心できる社会をつくることができるのか。各党から聞きたいのはそうした全体像だ。
自公政権下の社会保障国民会議は、今後増える医療や介護などの費用をまかなうだけでも、消費税率に換算して5%程度の財源が必要になると試算したことがある。
民主党は、かつて年金改革の財源確保のため、消費税の3%引き上げが必要だとしていた。いまはその点をあいまいにしたまま、子ども手当の創設や後期高齢者医療制度の廃止へ進もうとしている。そろそろ整合性をもった国民への説明が要る。
たとえ年金が充実されても、それだけでは安心にはつながらない。
財源をいかに確保するのか。それを社会保障の様々な分野にどう振り向けるのか。逃げてはならない課題だ。
消費税頼らず年金底上げを
市田氏 政府の議論開始で指摘
2010年3月9日 赤 旗
日本共産党の市田忠義書記局長は8日の記者会見で、鳩山由紀夫首相や関係閣僚による「新年金制度に関する検討会」の初会合が同日開かれたことについて問われ、消費税に頼らずに、だれもが安心して暮らせる年金制度を確立することが重要だとの立場を表明しました。
市田氏は、「いまの年金制度の最大の問題」として、100万人もの無年金者が存在し、国民年金では平均月額4万8000円となっていることを指摘。「無年金者をなくし、全体として年金の底上げをきちんと図っていくべきだし、受給資格が25年以上になっているのを10年以上にするべきだ」と述べ、全額国庫負担による最低保障年金の確立に加え、年金制度の充実を、企業にきちんと負担を求めるなど、消費税には頼らないで行うことが必要だと強調しました。
また、民主党の年金制度「一元化」論について、「民主党の年金政策をみると、いま毎月の暮らしに困っている人への手だてが必要なのに、満額をもらえるのは何十年も先だ」と述べました。
さらに、「一元化」によって国民年金の給付水準を厚生年金や共済年金などの被用者年金に合わせれば、事業主負担のない国民年金の保険料が数倍にあがるし、被用者年金を国民年金に合わせれば、給付水準の大幅な引き下げを招くとともに、財界の求めに応じて被用者年金の事業主負担をなくすことにつながると指摘。「給付を低いほうに合わせ、負担を重いほうに合わせるような一元化には反対だ」と述べました。
国会質問ファイル 4日の参院予算委
消費税増税論議
2010年3月5日 赤 旗
民主・高嶋議員 菅財務相は3月から消費税論議を開始したいと表明した。50年先、100年先も含めて使える安定財源を確保する議論は必要だ。しかし、なぜこの時期に消費税論議か。
菅直人財務相 与党3党の合意や民主党のマニフェストで政権担当期間中に消費税は上げないと決めた。同時に、いよいよ税制全般の見直しの議論をすすめていく段階だが、消費税も決して排除しないという趣旨でいった。
国会論戦の詳報 3日の参院予算委から
経済・財政運営
2010年3月4日 読 売
平野氏 2010年度予算編成の感想を聞きたい。
首 相 経済が厳しい環境の中で、税収が大きく落ち込んだが、国民の命を守る歳出も必要だ。国債の発行を44兆円で抑え、ギリギリの中で予算編成した。
林 氏 消費税の議論はしても、4年間は引き上げないのか。
菅財務相 (消費税を)上げる場合は、その前に(衆院選で)国民に問う必要がある。
消費税5%まやかし
2010年3月2日 赤 旗
自民党の石破茂政調会長は1日、東京都内で講演し、消費税増税問題に触れて「いつまでも5%でいけるとまやかしていていいのか」とのべ、目的税化と複数税率を前提に税率引き上げへの意欲を示しました。ただ、「4年間上げないというところから(増税政党と)いわれるので」と、5月連休明けまでに示す参院選公約にかかげるかは明言を避けました。(後略)
増税もとめる“破壊的”野党
2010年3月2日 赤 旗
1日の衆院財務金融委員会。自民党の後藤田正純議員が、「本当だったらこの104条を削減しなければならないのに、それをしないということは、われわれの考え方に同調してくださるということ」だと政府に迫りました。
104条とは、自公政権が昨年の税制改正法に書き込んだ付則のこと。2011年度までに消費税の増税法案を国会に提出し、成立させることが明記されており、この扱いをどうするかがいま、消費税をめぐる議論の焦点のひとつとなっています。
この問題で日本共産党の佐々木憲昭議員は庶民いじめの増税に断固反対の立場から2月16日の衆院本会議で付則を削除するよう迫りました。対して、「本当に消費税を上げなくてすむのか」と重ねて増税を求めた後藤田氏。104条問題に「建設的野党」と“破壊的”野党との違いがまさに象徴的にあらわれた格好となりました。(若)

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