消費税をめぐる情勢と増税発言
「消費増税協議 応じる用意」 自民・谷垣総裁が表明
2010年7月28日 赤 旗
自民党の谷垣禎一総裁は27日、都内の日本外国特派員協会で講演し、菅直人首相が提案した消費税増税のための超党派協議について「基本的なところについての与党の考え方が出されれば、いつでも応じる用意がある」と表明しました。
谷垣氏は、各分野での民主党との合意形成について「最初は『なかなか難しいかな』と思っていたが、沖縄の普天間(基地「移設」)の件でも、だいたい自民党と同じところに戻ってきた」と指摘。大企業中心の「成長政策」や、10%への増税で横並びとなった消費税問題でも、「(民主党は)自民党と同じようなことを考えている」と述べました。
その上で、「結局のところ実際に政治に取り組んでみれば、できる政策の選択肢の幅はそう広くないのかもしれない」と指摘。「古い政治の枠組み」の中では、国民の利益に反する同じような政策しか打ち出しえないことを認めた格好になりました。
消費税超党派協議 「使い方」なら参加も
みんな・渡辺代表
2010年7月27日 読 売
みんなの党の渡辺代表は26日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で講演し、「我々は消費税を地方の財源とすることを訴えてきた。消費税の使い方についての話し合いを拒否するものではない」と述べた。
菅首相が呼びかける消費税を含む税制の抜本改革に関する超党派協議に、条件付きで参加する考えを示唆した。
“自民と一緒なら「消費税」言える”
菅首相発言 鳩山氏暴露
2010年7月26日 赤 旗
鳩山由紀夫前首相は25日放送のBS11番組で、菅直人首相が副総理兼財務相だった当時から、消費税増税について“自民党と一緒の主張をすれば争点から消える。だから、消費税のことを言っても大丈夫だ”などと語っていたことを明らかにし、「菅首相の持論として、この話を(参院選で)出された」と述べました。
鳩山氏は、参院選公示前に、菅首相が消費税を10%に引き上げるという自民党の政策を「参考にする」と語ったことについて、「消費税の議論が生煮えのなかで、唐突感を国民に与える形で出してしまった」と指摘。鳩山氏が参院選を前に菅首相に対し「われわれが(消費税増税を)言ってしまえば、やはりそれは責任として残って、(参院選の)争点として大きくなる」と警告し、「消費税の議論をスタートすることは大いに結構」だが、「あまり細部にわたっていうべきではない」と進言していたことも明らかにしました。
その上で鳩山氏は、司会者から、参院選が終わったら消費税論議の「腰が引けている」と指摘されたのに対し、「これから消費税の議論はすべきだ」と強調しました。
また、国家戦略室を国家戦略局に格上げするという鳩山政権当時の方針が菅政権のもとで見直され、同室の役割も縮小方向にある現状については、「国民との約束だから、簡単にはずしてほしくない」「そういった局がどんどん縮小されるのは、見ていて寂しい」と発言。「法案がなかなか通らないからと菅総理は説明するが、努力して通らなかったら、通さないほうが問題だという議論にしていけばいいのであって、最初からあきらめてほしくない」と語りました。
政局インタビュー 民・自手を組むべきだ
たちあがれ日本共同代表 与謝野馨氏
2010年7月26日 読 売
参院選の(1議席獲得という)結果は残念だったが、野党で過半数を制して、民主党のだらしのない政治に対するいい意味のブレーキ役を果たすという初期の目標は達成できた。
菅首相が消費税率引き上げに触れたことが民主党の敗因だと言われるが、それは違う。発言がぶれたことが問題だった。消費税について話した、その一点については、私は買っている。
ただ、(「ねじれ国会」で)物事が決まらず、国の政策が漂うことを心配している。民主党いじめは楽しい話だが、国民にはちっともプラスにならない。そこは野党も自覚して、是は是、非は非としないといけない。
直面している共通課題は3つある。財政再建、社会保障改革、成長戦略だ。これは民主党だけの責任ではない。政権を長年担ってきた自民党も責任を分かち合うべき立場にある。いきなり所帯を持つ(=連立を組む)ことはできないが、民主、自民両党が一つの仕事を共同でやってみればいい。そこに小さい政党が参加してもいい。自民党が提案した財政再建のための円卓会議から始め、打開していく必要がある。たちあがれ日本は、財政再建、経済、社会保障など(の与野党協議)にはちゃんと参加する。
自民党は責任政党となり、できれば(民主党と)連立を組み、「政権の一部を担う資格がある」と国民に思わせないと、次の選挙は負けるだろう。(後略)
主張 消費税増税と財界 国民の審判踏みにじる横暴
2010年7月24日 赤 旗
参院選挙で菅直人・民主党政権が持ち出してきた消費税増税に国民の審判が下されたにもかかわらず、論議の活発化を督促する財界団体の動きが目立ちます。
日本経団連と経済同友会は先週から夏季フォーラムやセミナーを開いていますが、そこでも議論の焦点になっているのは法人税減税など「成長戦略」の実行とともに、消費税増税を含む「税制抜本改革」の要求です。財界・大企業の要求をむき出しにしたもので、参院選挙での国民の審判にもかかわらずそれを押し通そうというのは、横暴そのものです。
チャンスと見たのか
日本経団連が22、23両日の夏季フォーラムを前に発表した「『新成長戦略』の早期実行を求める」という提言は、「民主導の持続的な経済成長の実現」の名のもとに、法人税負担の軽減や労働市場の流動性の拡大、温室ガス削減目標の緩和など、財界・大企業の身勝手な要求を並べ立てたものです。このなかで日本経団連が要求する法人税の税率引き下げや消費税の増税をおこなえば、GDP(国内総生産)が拡大するなどと勝手な試算まで明らかにしています。
日本経団連はフォーラム終了後発表した「アピール2010」でも、その方向を盛り込みました。
経済同友会は先週夏季セミナーを開きましたが、採択された「軽井沢アピール」は、参院選挙の結果生まれた「ねじれ」国会のもとでも国政を停滞させないことを強く要求しています。「規制改革」の推進や法人税負担の引き下げ、消費税増税(直間比率の見直し)を含む「歳出・歳入一体改革」の断行などを迫っています。
財界団体が参院選後も消費税増税の実行を求め続けるのは、参院選の結果は消費税増税に「ノー」を突きつけたものではなく、「議論を進めるための足がかりは築けた」(米倉弘昌日本経団連会長)という勝手な理屈からです。国民の審判をゆがめる暴論です。
参院選の結果、消費税の増税を持ち出した民主党が大敗しただけでなく、消費税増税を主張した自民党も比例代表の得票を大幅に減らしました。マスメディアの世論調査でも、消費税増税の議論が高まるとともに内閣支持率が低下し、消費税増税「反対」が「賛成」を上回り、選挙直後の「朝日」の調査ではついに「反対」が54%に達しています。「二大政党」が一致して持ち出した消費税増税を許さなかった国民の審判は明白です。
財界・大企業が参院選での国民の審判をごまかしてまでその実行を求めるのは、消費税増税とセットにした大企業減税が年来の主張であり、民主党と自民党が足並みをそろえ始めたいまこそ、その実現のチャンスだと見ているからです。国民の審判がどうあれ要求さえ押し通せればいいというのは身勝手もはなはだしい態度です。
断念に追い込むまで
そうした要求を押し通すため、参院選後財界の主張は、菅首相が「長期間、国の運営をリードしていける政権の構築」(桜井正光経済同友会代表幹事)をと、「政権の安定」を求めているのも特徴です。
財界とアメリカに忠誠を誓う菅政権のもとで、消費税増税などが強行される危険は重大です。参院選での審判に続き、財界に断念させるまで、消費税増税反対の世論を広げていくことが重要です。
鳩山氏、消費税で「菅首相、反省が必要だ」
2010年7月23日 読 売
民主党の鳩山前首相は22日、9月の代表選で菅首相の再選を支持する考えを表明した。
同時に、内閣・党役員人事で挙党態勢を築くことを求め、消費税増税論議や国家戦略室の機能縮小などの「菅カラー」に異論を唱えた。同日夜には、小沢一郎前幹事長と首相辞任後初めて会談するなど、活発に動いている。
鳩山氏は22日のBS11の番組収録で、参院選の大敗について、「どういう責任の取り方があるか議論してほしいが、首をすげ替えれば済むという話ではない。菅さんに代わったばかりで、降ろすという話にはならない」と述べ、代表交代の必要はないと強調した。
同時に、消費税率引き上げについて、菅氏が鳩山政権で「自民党と一緒の主張をすれば、争点から消える」と主張したが、反対した経緯を明らかにし、「菅首相が一番発言しただけに反省が必要だ」と批判した。(後略)
鳩山氏 「首相は反省示して」
消費増税発言を批判
2010年7月23日 朝 日
鳩山由紀夫前首相は22日のBS11の番組収録で、参院選で敗北した菅直人首相について、「消費税の議論を生煮えで出した反省を示し、党内をまとめるべきだ」などと批判した。ただ、9月の代表選では首相を支持するとした。
鳩山氏は菅首相が財務相当時から「消費税で自民党と一緒の主張をすれば争点から消えるから大丈夫」としていたことを暴露。小沢一郎前幹事長らとこぞって反対した経緯を明らかにした。 (後略)
消費増税論議 自民が再始動
2010年7月23日 朝 日
自民党税制調査会(野田毅会長)は22日、消費増税などの税制改革に関する会合を参院選後初めて開いた。菅直人首相の消費税増税発言に揺れる民主党とは一線を画する立場から、「消費増税当面10%」の具体案を詰めるほか、社会保障制度、財政再建についても議論することを確認した。
谷垣禎一総裁も同日の会見で、党の消費増税公約について「細部の表現はもう少し議論しないといけないが、基本線は変えるわけにいかない」と明言。次期衆院選にも盛り込むことに意欲を示した。
党内には「菅首相が稚拙な持ち出し方をしたせいで『増税の前にやることがある』が民意になった。議員定数削減なども言わないと国民に理解されない」(閣僚経験者)との慎重意見もある。
巻き返し狙う消費税増税勢力
今後のたたかい重要 各界連が運営委
2010年7月21日 赤 旗
消費税廃止各界連は16日、東京都内で運営委員会を開きました。
参議院選挙で消費税増税が大争点となるもと、各地の会の経験が交流されました。福島の白河地域では、靴商業組合、味噌醤油組合、クリーニング組合をはじめ幅広い業界団体も消費税増税反対を表明。京都では、商店街の理事長・会長や会社・商店経営者ら136人が「くらし・商売破壊の消費税増税反対」緊急アピールを発表したことが紹介されました。
選挙期間中も各地で宣伝・署名・対話が旺盛に取り組まれました。そのなかで「消費税増税には反対」としつつも、「日本の財政は大丈夫か」「社会保障のためには」などの懸念が出されたことが特徴となっています。そのためにも、大いに学習し、国民にとって分かりやすい対話・宣伝が重要だと話し合われました。
世論と運動の前進で、消費税10%を掲げた民主党に審判がくだりましたが、財界をはじめ増税勢力は巻き返しをねらっています。
このもとで、今後のたたかいが重要だと議論。「山手線の各駅をすべておさえる宣伝を」(東京)、「全市区町村でいっせい宣伝をやり、活動を草の根から発展させる」(神奈川)などの計画が紹介されました。
11月18日に予定されている中央行動を節目に、消費税増税に反対する運動を発展させようと、全国の各界連に呼びかけました。
民主敗因、「消費税」が過半数 都道府県連幹部調査
2010年7月20日 朝 日
民主党の参院選敗北を受け、朝日新聞社は同党の都道府県連幹部を取材した。敗北の原因について、半数以上が菅直人首相(民主党代表)の消費税発言と指摘。8割超が首相続投を支持したものの、9月の代表選での首相支持を明確にしたのは半数に満たず、代表選の情勢を見極めようとする意見が目立った。
取材は原則として47都道府県連の幹事長を対象に16日から19日まで実施。参院選敗北の原因について、半数以上の25府県が「首相の消費税10%発言」と回答。このうち、山形、島根、熊本など13県が改選数1の1人区だった。
「政治とカネ」をめぐる問題を挙げたのは福島、静岡、鳥取など7県。沖縄は普天間移設問題を敗因とした。その他の14都道県は「様々な要素が複合的に影響」(秋田)、「民主党政権10カ月への評価が敗因」(鹿児島)などと指摘した。(後略)
消費増税、9月にも骨格 自民
2010年7月20日 赤 旗
自民党が、参院選で税率10%への引き上げを公約した消費税増税について、9月召集見通しの臨時国会の前にも、具体案の骨格をまとめようとしています。菅直人首相が自民党案を「参考にする」と発言し、与野党協議を呼びかけた経緯を踏まえ、増税路線をあおろうとの狙いです。
同党は近く開く税制調査会(野田毅会長)で、具体案づくりに着手する方針。 @ 消費税を一挙に10%とするか、段階的に引き上げるのか A 生活出需品への軽減税率導入の是非 B 現行制度で1%分が充当されている地方消費税の扱いーーなどを詰め、引き上げの骨格をまとめるとしています。並行して、公約で「20%台」へ引き下げるとした法人税減税の具体化も進める方針です。
消費税 問題提起は成功
石弘光放送大学長(元政府税制調査会長)
2010年7月19日 読 売
消費税が参院選での民主党の敗因とされているが、消費税は駄目だと言った人たちも「未来永劫ダメ」と言っているわけではない。菅首相の説明の仕方が悪かった。消費税率引き上げについて、広く問題提起をしたという意味で成功だった。
民主、自民の2大政党が消費税率の引き上げを言い出しており、しっかりとした議論をして、次の衆院選までに政策協定を結ぶべきだ。両党で、具体的な税率引き上げの時期と幅、軽減税率の適用に対する判断などを示せば、実現可能性は高まるだろう。 また、年金や医療などについても、政策協定を結ばなければ次の選挙でまた足の引っ張り合いになってしまう。
民主党の作った政府税制調査会は政治家がメンバーで、学者など有識者が集まった以前の政府税調とは全く異なる。
政治家が税制に詳しいか疑問だ。政治家が詳しいのは、自分たちの支援者を税制面でどれだけ有利にできるかであって、天下国家から税制を考える視点が希薄になりがちだ。学識者が枠組みを作って議論のおぜん立てをしないと、変な方向に行きかねないと、心配している。
消費税で検討チーム
2010年7月19日 赤 旗
民主党政策調査会はこのほど、役員会で、税制抜本改革と社会保障に関するプロジェクトチーム(PT)の設置を決めました。また、毎年度の税制改正を検討するPTも設けます。
抜本改革PTは、消費税や所得税のあり方など中長期的な課題を扱います。年度改正PTは、中小企業に対する法人税の軽減税率引き下げや、特定産業を優遇する租税特別措置の見直しなどを検討する見通しです。
「公務員制度改革」 消費税増税の“入り口”
テレビ番組で 民主・細野幹事長代理
2010年7月19日 赤 旗
民主党の細野豪志幹事長代理は18日放送のフジテレビ系「新報道2001」で、みんなの党が提案する「公務員制度改革」について、「消費税(増税)の問題に入る入り口」「建設的な提案」だとして、20日に開かれる民主党役員会で検討する考えを示しました。
番組で、みんなの党の江田憲司幹事長は、「民主党とは連立しない」としながら、個別政策では民主党などの各党と協議すると発言。参院選中のテレビ討論で「できの悪い、評価の悪い人(公務員)は、ちゃんと年収が下げられる(ようにする)」「早く民間並みのリストラ、人員整理が公務員にもできるようにしよう」と呼びかけたのに対し、民主党の枝野幸男幹事長が「江田さんのおっしゃるとおり」だと表明したことも示し、「ぜひそれをやりましょう」と述べました。
また、民主党が呼びかけた消費税増税のための超党派協議に対し、自民党の大島理森幹事長は「政党としての案をきちっともってきなさい。菅さんの思いだけではいけない」と発言。条件が整えば「当然、われわれは議論をしなければならない」と表明しました。
江田氏は「増税の前にやるべきことがある」と訴えてきたことを示し、「国会議員や公務員の削減や給与カット、これをまず与野党でやりましょう」「ムダ遣い(削減)で出た財源を差し引いて、あとどれくらい足りないので、じゃあ消費税(増税)だという議論ならまだわかる」と発言。国会議員の定数削減などを先行させる姿勢を示しました。
「消費税ノー」が国民の審判 識者がコメント
消費税に頼らない財源対策の確立を
2010年7月18日 赤 旗
消費増税反対 意思示された
立正大学教授(税理士) 浦野広明さん
2007年の参院選と昨年の総選挙、今回の参院選挙と政権与党が3度も大敗するという結果になりました。
この結果は、有権者が庶民増税と社会保障削減の庶民負担増路線に審判を下したものです。とりわけ今回は、消費税増税法案を今年度中にも取りまとめると訴えた菅直人政権への厳しい審判です。
今後、消費税増税をめぐる超党派協議が焦点になります。財界の支援を受ける民主、自民両党は消費税増税では同根です。増税反対の世論をいっそう強くしなければなりません。
応能負担の原則とすべての税金は福祉に充てるという憲法にそった税金の取り方・使い方を徹底すれば、消費税増税は必要ありません。その政策を実行してくれる政党が伸びることが必要です。
懐を温めれば税収も増える
暮らしと経済研究室主宰 山家悠紀夫さん
鳩山由紀夫氏から菅直人氏に首相が交代して以降、内閣支持率も民主党支持率も急上昇していました。参議院選挙で民主党が大敗したのは、菅首相が消費税を10%まで引き上げる方針を表明したからだとしか考えられません。
消費税に頼らなくても財源はあります。軍事費や政党助成金など歳出のムダの削減や、大企業に対する法人税の優遇や証券優遇税制の是正などを行って、応分の負担をしてもらうことも必要です。景気を良くすることも重要です。
最低賃金を大幅に引き上げ、正規雇用を当たり前にし、社会保障を拡充するなどをすれば、所得が増え、個人消費が増えます。
国民のふところを温めることで、景気が回復に向かい、税収も増やすことができます。
IMFの消費税増税報告書
菅政権と連携の宣伝
2010年7月16日 赤 旗
国際通貨基金(IMF)の日本経済に関する年次審査報告書は最大22%という税率まで明記して消費税増税を促しました。日本国民が参院選で増税を拒否した直後に発表することで、増税キャンペーンをなんとか盛り上げようとしています。
報告書は日本の増税派との検討の上で出されました。報告書によると、IMFの審査チームはこの5月、10日間にわたって東京で日本の政策を検討し、野田佳彦財務相(当時は同副大臣)、古川元久内閣官房副長官、白川方明日本銀行総裁らと会談しています。消費税増税の必要性を主張するIMF側に対し「(日本の)当局者たちは結論を共有した」ことも報告書に明記されています。
「民間部門の代表」と会談したことも明らかにしており、財界の意向を聞いたこともうかがわせています。
国際機関の勧告を装っていますが、シナリオを書いたのは財務省をはじめとする日本の消費税増税派です。
民主党が参院選で敗北したことで消費税増税に対する国民の審判は明確です。政府は消費税増税によらない財政再建に方針を切り替えるべきです。(山田俊英)
IMF、日本に消費増税を提言
欧州の混乱 飛び火警戒
2010年7月16日 朝 日
【ワシントン=尾形聡彦】国際通貨基金(IMF)は14日、日本に対する2010年の年次審査で、来年度から消費税率を引き上げるべきだと提言した。ギリシャなど欧州の財政危機問題が、財政状態が飛び抜けて悪い日本へも及ぶ危険があるとみているためだ。ただ、消費増税の必要性を強く打ち出す姿勢は、日本の財務省の主張をなぞっているような側面も目立つ。
10年版の年次審査で、IMFは「最近の欧州の混乱は、政府債務リスクへの日本の脆弱性を高めている」と指摘した。世界の投資家の間で、主要国の財政の持続可能性への関心が高まるなか、債務残高が国内総生産の約2倍に達し、主要国の中でも最悪の日本の財政状態への不信感が高まりかねないという危機感が背景にある。
6月末のカナダでのG20サミットでは、先進国が2013年までに財政赤字を半減することを合意したなかで、日本だけは例外扱いとなった。日本の公的債務の95%が国内で保有されているという特殊性はあるとはいえ、日本の財政の悪さは際だっている。
IMFは、11年度から消費税増税に着手する必要性を強調。現在5%の消費税を、10年程度かけて15%まで引き上げる案を軸に、14%〜22%まで税率を上げる選択肢を示した。
だが、財政再建の手法として、消費増税に偏っている点は否めない。所得税については「控除見直し」に触れている程度だ。日本の財政悪化の原因は、90年代前半には約27兆円あった所得税収が現在半減したという「所得税の空洞化」も大きい。法人税の課税ベースが小さくなっているとの指摘もあるが、IMFは、日本の財務省と同じように、消費税率には引き上げ余地が大きいとの側面に焦点を当てている。
地方消費税で全国知事会 “引き上げに参画”
2010年7月16日 赤 旗
全国知事会は15日、和歌山市で全国知事会議を開き、参院選結果を受けた今後の活動方針を討議するとともに、「地方消費税の引き上げを含む税制抜本改革の提言」を発表しました。
提言は、「国・地方を通じた『強い社会保障』の実現のためには、地方消費税引き上げを通じた安定財源の確保が不可欠」と明記。活動方針も「消費税を含む抜本的な税制改革論議について、さらに具体的に提案を行い、論議に参画していく」とし、地方消費税引き上げに向け、国に積極的に働きかける姿勢を示しました。
あいさつに訪れた原口一博総務相に対し、麻生渡会長(福岡県知事)は「地方消費税拡充を国民にお願いせざるを得ない。消費税を含めた税制の抜本改正問題について知事会としても積極的に参加していく」と表明しました。
地方消費税特別委員会の加戸守行委員長(愛媛県知事)も「参院選で民主党、自民党が消費税を含む税制改革を正面から問題提起したことは大きな意義があった。大変高く評価している。参院選結果を踏まえ消費税論議にふたをするとか、先延ばしすることがあってはならない」と早急な論議を求めました。
原口総務相は「地方消費税についてしっかり銘記して、議論をつめていきたい」と応じました。
消費税の発言 粗っぽかった
知恵袋の教授 首相にチクリ
2010年7月16日 朝 日
菅直人首相の「知恵袋」とされる小野善康大阪大教授は15日、日本記者クラブで講演し、参院選での首相の消費増税をめぐる発言について、「粗っぽかったと思う。増税して、(低所得者対策で)お金をぱっと渡すのは、(経済成長に)一番いけないと説明したのに」と苦言を呈した。
小野氏は、首相が唱える「増税しても経済成長できる」という成長理論の生みの親。小野氏は講演で、「首相には、増税よりも、雇用を生み出すことが最も重要と何度も申し上げた」と説明。首相が応援演説で語ったような使った消費税分を還付するなどの低所得者対策は、雇用を生み出さず、経済成長につながらないと主張した。
さらに、消費税率を2%引き上げて約5兆円の財源を確保すれば、「単純計算で160万人を雇うことができる。完全失業率は2.8%に下がり、国民の不安感はかなり解消する」との持論を展開した。
同友会セミナー 引き上げが大勢
2010年7月16日 読 売
経済同友会の夏季セミナーが15日、長野県・軽井沢で開幕し、消費税を含めた税財政と社会保障制度の改革が議論された。
清田瞭・大和證券グループ本社社長は、「持続可能な社会保障制度にするには、消費税以外に財源はない」と主張した。長島徹・帝人会長(副代表幹事)は「経済成長で税収を増やすだけでは足りない。相当のスピードで消費税を上げるしかない」と述べた。
また、梶明彦・目黒雅叙園社長が「財政赤字を解決することが、後世への責任だ。消費税率引き上げは、こうした議論の前提だ」と述べるなど、消費税増税に向けた議論を進めるべきだとする意見が大勢を占めた。
消費増税「やむなし」
2010年7月15日 朝 日
日本商工会議所の岡村正会頭は14日の会見で、消費税について「国の財政状況を考えると、中長期の歳出見通しが明らかになったうえで必要なら税率引き上げもやむを得ない」と述べた。日商はこれまで消費税増税に慎重な姿勢を示してきたが、一歩踏み込んだ。ただ増税ありきの議論には従来どおり反対する方針だ。
「消費税増税やむなし」との考え方は、日商の正副会頭らが参加して同日開いた夏季政策懇談会でも確認した。
一方で、岡村会頭は「上げ幅、時期、(所得の低い人ほど負担が重くなる)逆進性の問題などに十分配慮して欲しい」と述べ、財政健全化や社会保障改革の総合的な検討とともに議論すべきだとの考えを示した。
“年度内取りまとめ困難”
消費税増税案 玄葉担当相が表明
2010年7月14日 赤 旗
玄葉光一郎公務員制度改革担当相(民主党政調会長)は13日の閣議後の記者会見で、消費税を含む税制抜本改革の具体案取りまとめ時期について「(来年)3月というのはなかなか大変ではないか。これに固執せず進めるべきだ」と述べ、2011年度以降への先送りを示唆しました。
菅直人首相は当初、「10年度内」に具体案を取りまとめる考えを示していましたが、今回の参院選での民主党大敗を受け、そのスケジュールが厳しくなったとの見方です。枝野幸男民主党幹事長も12日の会見で「当初想定していた期限にこだわらない」と言及しています。
玄葉氏は会見で、参院選の結果について「国民から消費税を含む税制抜本改革の議論について、より丁寧に手順を踏んで、時間をかけて進めるようにというメッセージをいただいたものと考えている。これを踏まえた進め方を政府と連携をとってしていかないといけない」と述べました。
野田佳彦財務相も同日の会見で、民主党大敗の要因に菅首相の消費税増税発言が影響を与えたと認めたうえで、今後の議論について「時期も使途も含めて各党との協議で丁寧に進めていきたい」と慎重な対応をとるべきだと強調しました。
消費税増税を迫っている日本経団連は選挙結果を受け、「消費税(問題)は説明不足との印象は免れないが、そのために負けたとは思わない」「(財政・社会保障改革をめぐる論議が)具体的に進められることを期待する」(米倉弘昌会長)としています。
有権者から議論望む声
世論調査 首相・民主の説明が課題
2010年7月14日 朝 日
民主党内で消費税引き上げの議論に引き気味の姿勢が目立つのとは裏腹に、朝日新聞の世論調査では、消費税引き上げの議論を「進めた方がよい」という意見が6割強と多数を占める。
消費税増税には賛成35%にたいし反対が54%と多いものの、反対の人の中でも「議論を進めない方がよい」が44%おり「進めない方がよい」の48%とほぼ並んだ。
もともと消費増税への賛成意見は、菅内閣発足から間もない6月12,13日調査で49%と反対44%を上回っていた。
ところが、菅直人首相の「税率10%」への言及を境に雲行きが変わった。発言の直後だけでなく、その後も反対意見が増え続け、選挙中盤には賛否がはっきりと逆転した。
時間がたつにつれ反対派が膨らみ、内閣支持が下がり続けている原因は「10%」言及後の菅首相の発言のぶれや説明不足にあるとみられる。消費増税をめぐる菅首相の一連の対応への評価を尋ねると、「評価する」は参院選公示後の調査(6月26,27日)で30%とすでに少ないが、翌日21%へとさらに下落した。
選挙戦という、政策を主張するかっこうの舞台にありながら、有権者をどんどん反対意見に追いやったことになる。増税志向で一致する自民党が「ばらまきの尻ぬぐい」と攻撃するなど、野党の政権批判が功を奏したとも映る。
調査結果からは、「議論の必要性は認めるが、いまの菅首相や民主党のやり方をみる限りごめんだ」という民意もうかがえる。税金の使途を含めた議論の進め方によっては、消費増税への賛同が復活する可能性が残されているといえそうだ。
本社世論調査(7月12,13日実施) 消費税関連のみ 質問と回答(数字は%、丸カッコ内の数字は3、4日の前回調査。
◆ 消費税の引き上げに賛成ですか、反対ですか。賛成 35(39)反対 54 (48)
◆ 今回の選挙で投票先を決めるとき、菅首相の消費税をめぐる発言や対応を重視しましたか、重視しませんでしたか。 重視した 32 重視しない 57
◆消費税引き上げの議論は進めた方がよいと思いますか。進めない方がよいと思いますか。 進めた方がよい 63 進めない方がよい 29
増税して景気がよくなるなんてありえない 原口総務相
2010年7月14日 赤 旗
原口一博総務相は13日、テレビ朝日番組で「増税して景気がよくなるなんてありえない」と発言しました。原口氏は政府税制調査会(会長・野田佳彦財務相)の会長代行です。
菅直人首相は、消費税を念頭に、「増税をして、その税収の使い道を間違えなければ、景気はよくなる」(4月12日、日本外国特派員協会での講演)と述べており、原口氏の発言は、菅氏の見解に反論した形です。

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