消費税をめぐる情勢と増税発言
首相、消費税の「封印」解く 社保改革検討本部が発足
2010年10月29日 読 売
菅首相は28日、政府・与党の「社会保障改革検討本部」を発足させ、消費税率引き上げを含む税制抜本改革に着手した。7月の参院選で大敗後、首相は消費税論議を「封印」してきたが、社会保障の財源確保を切り口に議論を再開したい考えだ。
政府は同本部で、社会保障のサービス水準や内容に関する選択肢を示し、そのために必要となる財源確保策を検討する。年内に基本的な方向性について中間報告をまとめ、野党にも呼びかける方針だ。同本部事務局長の峰崎直樹内閣官房参与も同日、記者団に「(消費税率の)数字は当然議論になる」と語り、同本部で具体的な引き上げ幅も提示する意向を示した。
しかし、民主党内では、首相が参院選で唐突に消費税に言及したことへの不満がなお強く、「景気が悪く税収が落ち込んでいる時に大きな税制改革は大変だ」とけん制する声も出ており、政府・与党内の調整は難航が予想される。
読売社説
高齢者医療制度 財源論抜きで改革は進まない
2010年10月28日 読 売
社会保障全体の財源論を欠いたまま、高齢者医療の負担を押しつけ合っても、「新しい高齢者医療制度」は国民に受け入れられないだろう。
厚生労働省が、後期高齢者医療制度に代わる新制度について、高齢者と現役世代が負担する保険料などの見通しを「高齢者医療制度改革会議」に示した。
75歳以上の後期高齢者の保険料負担を抑えるため、大企業の健保組合や公務員の共済組合に負担増を求める。一方で、70〜74歳の医療費の窓口負担を、現行の原則1割から2割へと段階的に引き上げる――といった内容だ。
医療費のかかる後期高齢者は今後、大きく増加する。その負担を後期高齢者だけに求めきれない以上、どこかで肩代わりしなければならない。負担の見直しは、やむを得まい。
だが、負担増を迫られる層の納得は得られるだろうか。
高齢者だけでなく、現役世代も苦しい。大企業の健保組合も保険料の上昇に耐えられず、解散する事例が相次いでいる。世代を問わず、保険料や窓口負担の重さは限界に近い。
そうであれば、公費の投入を増やすしかない。そのためには消費税で社会保障財源を確保し、どこまで公費を拡大できるか、併せて検討することが不可欠だ。
しかし、そうした財源論がないまま、新しい制度の議論が進められている。政府・与党が「後期高齢者医療制度を廃止する」という政権公約(マニフェスト)の実行を急いでいるからだ。
政府が構想する「新制度」では後期高齢者の大半が市町村国保に入り、保険証の上で区別されることはなくなる。だが高齢者医療の収支は現行同様に別勘定とし、財政運営を都道府県単位で行う。
根幹はあまり変わらないものだが、これを「現行制度の廃止」とアピールするために、政府・与党は年明けの国会に法案を出すとしている。間に合わせるには、消費税の議論を織り込む時間はないということだろう。
現実には、ねじれ国会の状況で法案が成立する見通しは暗い。ならば拙速を避けて、議論を再構築すべきではないか。
政府・与党は、税と社会保障の一体改革を検討する会議を設け、消費増税の議論に着手した。その行方によって、新しい高齢者医療の選択肢も変わる。
年金や介護などとともに高齢者施策全体で、抜本改革を進める必要があろう。
法人税減税 財源に苦慮 政府・各省に思惑
結局は消費税増税!?
2010年10月28日 赤 旗
政府税制調査会(会長・野田佳彦財務相)は2011年度税制「改正」要望に関する各省庁からの聞き取りを続けています。28日には経済産業省から聞き取る予定です。法人税率5%引き下げの代替財源をめぐる議論が注目されます。
経済産業省は8月31日に財務省に出した11年度税制「改正」要望で、法人税率(国税)の5%引き下げを求めました。同省が法人税減税の見直しなどによる減収額として見込んだのは約1兆円。これに対して、同省が示した政策減税の見直しなどによる増収見込み額は837億円に過ぎませんでした。
財務省は11年度税制「改正」で、各省庁に対し減税要望に見合う代替財源を示すことを求めています。11年度税制「改正」に向けた本格的議論の皮切りとなった6日の政府税調全体会合では、野田財務相が、各省庁からの要望に対し「残念ながら、多くの府省において減収に見合う財源確保の提案はなされていない」とクギを刺しました。
財務省は21日、経産省が求める法人税率5%引き下げを実施した場合、最大2.1兆円、最小1.4兆円の減収が見込まれるとの試算を示しました。
「これ以上、国の借金を拡大させるわけにはいかない」(26日、五十嵐財務副大臣)立場から、大きな減収要因となる法人税減税を打ち出している経産省をけん制したものとみられます。
10年度税制「改正」に向けた議論でも、「財源確保」策の一つとして、大企業にさまざまな減税を施している租税特別措置の見直しが焦点になりました。
一部大企業を優遇する研究開発減税の上乗せ措置も当初、見直しの対象になりました。ところが、「(導入後)1年しかたっていない」として、政府税調は、あっさり2年間の延長を認めました。
経済産業省がすでに示している代替財源の中には、研究開発減税の見直しなど大企業優遇税制の是正は含まれていません。増税策にはむしろ、中小企業にかかわるものが多く含まれています。
さらに、大畠章宏経産省は15日の記者会見で、法人税率5%引き下げの代替財源について「政府全体で考えるべきものだ」と語っています。消費税を含む「税制全般の抜本改革」での議論を示唆するものです。
法人減税しても国民に還流せず
応分の負担こそ必要 佐々木氏質問
2010年10月27日 赤 旗
日本共産党の佐々木憲昭議員は26日の衆院財務金融委員会で、政府が検討している法人税減税の問題をとりあげて批判し、大企業の内部留保を還流させる方策が必要と強調しました。法人税減税は景気対策に効果がなく、大企業に応分の負担を求め、それを財源に家計を応援することこそ必要だと指摘しました。
佐々木氏が、法人税を減税しても、その恩恵の大部分は黒字の大企業に回るだけで赤字の中小企業には回らないと指摘すると、野田佳彦財務相は「その通りだ」と認めました。
一方、国税庁は、佐々木氏の質問に、2008年までの10年間で、法人税の支払いが年に2・3兆円も減る一方で、株主配当が6・3兆円、社内留保が5・2兆円も増えていることを明らかにしました。
佐々木氏は「法人税の負担が減っても、労働者や下請けには回らず、株主配当と内部留保に回っただけだ」と強調。菅直人首相も、政府の会合で「法人税を下げてもそのお金がため込まれるのでは効果が薄い」と語り、学者からも「法人部門の貯蓄をさらに増やすだけで国内投資を促進しない」との指摘があがっていることを紹介し、法人税減税が需要拡大につながるのかとただしました。
野田氏は、「本当に効果があるのかは、議論の余地が相当ある」と答弁しました。
佐々木氏は、大企業には減税ではなく応分の負担を求め、そこで得た財源を社会保障に回すことや労働者の賃上げと雇用の安定、下請け単価の抜本引き上げなどによって、内部留保を国民に還流させる政策への切り替えが必要だと強調。野田氏も「企業の内部留保をうまく還元できる知恵というものも、ご指摘のように必要だ」と述べました。
特別会計仕分けきょうから
2010年10月27日 赤 旗
政府の行政刷新会議(議長・菅直人首相)は27日から、18ある国の特別会計の「仕分け」をします。
特別会計は、国が特定の事業を行うなどで、一般会計とは区別した方が収支が明確になる場合に限り設けるもの。これまでも新設・統廃合されており、不必要な事業を適切に見直すことは当然です。
とくに▽ダム、スーパー堤防、高速道路、東京外環道など三大都市圏環状道路、「国際競争力強化」のためのスーパー中枢港湾といった無駄な大型公共事業のための社会資本整備事業特別会計▽原発の立地促進などのための立地促進などのためのエネルギー対策特別会計など、見直しが必要です。
日本共産党はスーパー堤防や東京外環道の抜本見直しを国会などでたびたび求めてきました。
社会資本整備特会は歳入の大半が一般会計からの繰り入れです。一般会計から多額の繰り入れをして無駄な大型開発をしてきた政治の姿勢そのものを変える必要があります。
民主党の特別会計仕分けの元々の目的は財源の捻出です。しかし「埋蔵金」といわれる積立金も、国債償還や年金支給にあてる積み立てなどは削減できず、財政投融資特会の積立はなどはすでに一般会計でほぼ活用済み。でてくる財源は「せいぜい数百億円」(財務相幹部)といわれています。
「仕分け」を持ち上げるメディアでも、「首相の本音は・・・増税の必要性を浸透させること」(21日付「朝日」)と書かれています。
無駄な大型公共事業に切り込めるのか、「仕分けしたが財源はない」として「消費税増税やむなし」論を振りまくのかが問われます。
法人税下げ、財務省が財源案
企業税制の中で調整
2010年10月26日 朝 日
財務省は25日に開かれた政府税制調査会の会合で、法人税率を5%引き下げた場合に考えられる財源案の項目を提示した。研究開発減税など、いずれも企業にかかわる税制の中で調整している。成長戦略として菅直人首相が年内のとりまとめを指示したが、産業界は「実質減税にならない」と反発を強めており、調整は難航しそうだ。
財源案には、研究開発減税や石油化学製品の原材料であるナフサの減免措置など、企業向け優遇税制(租税特別措置)の一部縮小のほか、赤字を翌年度以降に繰り越せる繰り越し欠損金や原価償却、企業間配当や引当金の見直しなどが盛り込まれた。減収が見込まれる約2兆円に相当する規模で、研究開発減税では、特定分野に集中する優遇の縮小などを想定。ナフサ免税では、対象区分を見直して「燃料」と位置づけるものに課税する案が浮上している。
だが、法人減税に見合う財源を増税で確保するとの政府の方針について、日本経団連の米倉弘昌会長は25日の記者会見で、「(企業の)投資や雇用を増やすのが断ち切れる」と述べ、実質的な減税になるよう改めて求めた。経済産業省も研究開発減税の拡充などを要望している。
石油化学工業協会によると、ナフサの「燃料」課税が実現すれば4千億円程度の「増税」になるという。高梨圭介専務理事は「負担がかかれば、国内の操業がまず止まる」と話す。民主党内にも「世界標準を考えれば、ナフサ課税はできない」(幹部)との声は多い。
補正前に健全化法を
2010年10月24日 赤 旗
自民党の大島理森副総裁は23日、同党が今国会成立を目指す財政健全化法案に関し「政府・民主党が継続(審議)にするという話しを聞いた。この法案の議論なしでは、今後の(他の)法案審議に影響せざるを得ない」と述べ、政府・民主党をけん制しました。札幌市で記者団の質問に答えました。同法案には「財政健全化」を口実に消費税増税が盛り込まれています。
自民党は2010年度補正予算案に賛成する条件の一つとして、民主党が健全化法案成立に協力することを挙げています。
大島氏は「(補正予算案と健全化法案は)密接不可分だ。(自民党は)補正予算を議論する構えだが、まずはわれわれの法案に政府・民主党がどう対応するか」と述べ、補正予算案審議入り前の健全化法案の成立を求めました。
民主「方向性は共通」
2010年10月24日 赤 旗
民主党の岡田克也幹事長は23日、自民党が今国会での成立を目指す財政健全化責任法案について「これをやらないと2010年度補正予算案を(やらない)、というふうに使われてしまうのは困る。駆け引きではなく、きちんと法案の形で出して議論したいというのであれば、真摯(しんし)に受け止めなければいけい」と述べました。高知市で記者団の質問に答えました。岡田氏は同法案について「中身がすべていいというわけではないが、議論する土台にはなり得る。方向性はかなり共通しており、前向きに考えなければならない」とも語りました。
「税率20%に戻す」で一致
証券優遇で政府税調専門家委
2010年10月22日 赤 旗
政府税制調査会の専門家委員会(委員長・神野直彦東京大学名誉教授)は21日、上場株式などの譲渡益(売却益)と配当にかかる税率を10%に優遇している証券優遇税制について、本則(20%)まで戻す方向で一致しました。会合後の記者会見で神野委員長が明らかにしました。
証券優遇税制は、譲渡益、配当ともに2011年末が期限になっています。
金融庁は11年度税制「改正」要望で、証券優遇税制の延長を要求。日本経団連は「11年度税制『改正』に関する提言」で、11年末に迎える期限について、「今後の経済情勢ならびに証券市場の動向に留意しつつ、慎重に検討すべきである」としています。
今後、閣僚らが参加する政府税制調査会(会長・野田佳彦財務相)で議論されることになります。
財政法案を再提出へ
2010年10月22日 赤 旗
自民党の谷垣禎一総裁は21日の記者会見で、消費税増税を盛り込んだ財政健全化責任法案を来週国会へ再提出する考えを示しました。同法案は先の通常国会で廃案となり、党執行部は民主党が成立の協力することを、2010年度補正予算案に賛成する条件の一つに挙げています。
法人税5%下げ試算 減収最大2.4兆円に
2010年10月22日 朝 日
財務省の五十嵐文彦副大臣は21日の記者会見で、法人税率を経済産業省の要望通りに5%引き下げると、国と地方合わせて1.6兆円〜2.4兆円の減収ぬなるとの見通しを発表した。財務、総務両省が、景気動向で法人税収が大きく変わることを考慮して試算した。
減収額はこれまで、経産省が2009年度の法人税収に基づいて、「1兆円超」と試算していた。菅政権は、減税を実施する場合はそれに見合う財源を確保する方針を決めており、財源探しは厳しさを増すことになる。減収額は国税分が1.4兆〜2.1兆円、地方税分が2400億円〜3600億円という。
設備投資減税を検討 首相表明 研究開発優遇も
2010年10月19日 朝 日
菅直人首相は18日、企業の国際競争力を高めるため、法人税率の引き下げに加え、設備投資や緊急開発の税制優遇策も検討する考えを明らかにした。日本経団連などが参加した会合で「法人税を下げても、その金がため込まれるのでは効果が薄い」と語った。
首相は同日夕、官邸で開かれた「国内投資促進円卓会議」に出席。具体的内容として、国内の雇用増につながる設備投資や人材育成策、研究開発投資を挙げた。政府は設備投資や研究開発を対象にした現行の減税措置を拡充することなどを検討する。
■ 財政健全化法成立を
2010年10月19日 朝 日
自民党の大島理森副総裁は18日の講演で「財政健全化責任法に民主党がどう対応するかは非常に大事」と述べ、自民党が今国会に提出する財政健全化責任法案の成立を民主党が受け入れれば、来年度予算案をめぐる与野党協議に応じる考えを示した。
同法案は、消費増税を含め、財政再建の道筋を法律で義務づけるもの。大島氏は「バラマキがこのまま続くのであれば敢然と戦う」と述べ、民主党が同法成立を拒めば衆院の解散・総選挙を迫る考えを強調した。
■ 各省 減税財源示さず
2010年10月19日 朝 日
財務省の五十嵐文彦副大臣は18日の記者会見で、2011年度税制改正の減税要望について、各省から減税分に見合う財源案が示されなかったことを明らかにした。菅政権は6月の財政運営戦略で「歳入減に伴う新施策を導入する場合は恒久的な財源を確保する」と閣議決定している。各省の減税要望を合計した減税見込み額は約1兆3600億円。
法人税率下げ分の財源案
経産省、回答せず 政府税調に
2010年10月16日 朝 日
経済産業省は、来年度の税制改正で要望している「法人税率の5%引き下げ」について、政府税制調査会に示すよう求められている財源確保策を、期限の15日までに回答しなかったことを明らかにした。「首相が指示した成長戦略の中心施策」との位置づけをよりどころに、「単独では1兆円超の財源を見つけられない」(経産省幹部)としている。
経産省は8月末、企業の国際競争力を高めるためなどとして、5%幅の法人税率引き下げを要望。実現には1兆円を超える財源がいるとした。菅政権は「歳入減を伴う新施策を導入する場合は恒久的な財源を確保する」と閣議決定していることから、政府税調は今月15日までに、減税要望には具体的な財源案をあわせて示すよう要望していた。
法人税率引き下げは「課税ベースの拡大などによる財源確保」を前提に、菅直人首相が年内に結論を得るよう直接指示した成長戦略の一つ。来年度税制改正の焦点となっており、政府税調は財源案の提示を繰り返し要請していた。
政府税調は経産省に対し、10月下旬のヒアリングまでに財源根拠を示すよう、改めて求めていく方針だ。「税率引き下げで、企業の設備投資や雇用はどの程度増えるのか」といった項目についても回答を求めている。
社会保障財源 政権交代前の議論を生かせ(社説)
2010年10月16日 読 売
(前略)民主党は「税と社会保障の抜本改革調査会」を発足させた。政府も月内に、両者の一体改革を議論する会議を新設する方針だ。
新調査会の会長となった藤井裕久元財務相は初会合で、「次年度の税を決める税制調査会に対し、我々の役目は長い視点の財源を検討することだ」と述べ、消費税の議論に入ることを宣言した。
菅首相は今国会の所信表明や予算委員会の答弁で、社会保障改革について与野党を超えて意見交換したい、と強調している。
だが、そのためには政府・与党として、消費税率の引き上げにまで踏み込んだ財源論を展開することが不可欠だろう。
社会の高齢化は加速し、社会保障の水準を現状維持するだけでも毎年1兆円ずつ予算が膨らんでいく。充実させるならば、もっと必要だ。これを手当てできる財源は消費税しかない。(中略)
その際に求めたいのは、政権交代前に有識者が練り上げた提言や試算を無駄にしないことだ。
特に、「社会保障国民会議」と「安心社会実現会議」の報告書は貴重である。(中略)
社会保障国民会議は、年金・医療・介護・少子化対策をトータルで見た将来見通しを検討し、選択肢を示した上で追加負担の必要額を試算した。2015年に消費税率で3〜11%分の財源が必要になる、と結論づけている。
安心社会実現会議は、「安心と活力の両立」という考え方を基本に政策提言を行った。雇用、子育て、教育、医療、老後の5分野で安心を追求し、中心には「雇用の安心」を置くというものだ。
「強い経済、強い社会保障」を唱え、雇用を最重視する菅首相の姿勢とほとんど一致している。
(中略)両会議の報告を生かし、議論の土台とするべきだ。
総選挙後「消費増税を」 藤井・民主調査会長に聞く
社会保障に使う「目的税に」
2010年10月14日 朝 日
民主党が設置した「税と社会保障の抜本改革調査会」の藤井裕久会長(元財務相)は13日、朝日新聞のインタビューに応じ、消費増税について「高齢化にともなって増える医療、介護、福祉はオールジャパンで支える必要がある」として、次の衆院選後に増税できるよう議論を進める考えを示した。増税分は高齢者の社会保障に使う「目的税」とし、子育てや生活保護なども加えることを検討する。
藤井氏は、消費増税議論が参院選大敗で停滞していることについて「野党との話し合いを考えるのではなく、もう一度、原点を再確認して民主党の背骨を示す」と述べた。党側が率先して抜本改革案をまとめ、改革論議に道筋をつけるという。
社会保障の基本方針として、医療や介護などの保険料負担の増加や社会保障サービスを切り下げることはしない。一方、社会保障費は高齢化で毎年1兆円超ずつ自然に増えていくため、消費増税が必要とし、その時期は次の衆院選後が「限度だ」と述べた。税率は「政府が考えること」と明言を避けた。
調査会は13日に初会合を開いた。初会合では、望ましい社会保障の仕組みと、財源となる税制改革の方向性を年内にもまとめ、政府に提出する方針を確認した。
民主が初会合 増税論議 スタート
2010年10月14日 赤 旗
民主党は13日、社会保障の財源として消費税増税を含む税制全体を議論する「税と社会保障の抜本改革調査会」(藤井裕久会長)の初会合を国会内で開きました。消費税増税も検討テーマで党内論議の実質的なスタート。年内をめどに基本的な考えを取りまとめる方針です。
会合で藤井会長は、「一般財源の穴埋めを消費税でやることはできない。完全な目的税ということをわれわれはすでに(民主党税調で)提言している」としました。低所得者ほど負担後重くなる逆進性の対策については「還付」で対応し、所得に関係なく「一律に返す」考えを明らかにしました。
還付制度をめぐっては、参院選で菅直人首相が低所得者対策として200万円から400万円の人を対象にすることに言及。しかし、藤井氏は会合で「200万だ400万だというのはダメなんです」と語りました。
日米財界人会議 法人減税 政府に要求
「日米EPA、5年以内に」
2010年10月9日(土) 赤 旗
東京都内で開かれていた第47回日米財界人会議は8日、アジア太平洋地域での日米の「指導的役割」などを強調した共同声明を採択し、2日間の日程を終え閉幕しました。
声明では、環太平洋経済連携協定(TPP)と日米EPA(経済連携協定)を、「遅くとも2015年までに実現」させるよう求めました。日本の農業に打撃を与える日米EPAについて昨年の声明では、「長期的な目標」として位置づけていました。今年は、経済連携協定に前向きな菅政権の発足を受け、期限を設けたうえで、締結に向け「今から取り組みを開始すべきである」としました。
また、声明は、「日米の企業に対し大きな便益をもたらす」として、経済統合に向けた両国間の「規制と規格」の同一化作業に「直ちに着手」することを求めています。米国発の「規制緩和」を新段階に乗せるものです。
さらに両政府に対して、法人税の引き下げも要求。声明では企業の「競争力向上につながる」としていますが、実際には、“金余り状態”の大企業に税金をばらまく一方、減税財源としての消費税増税に道を開くものです。
労働者派遣法改定や最低賃金の引き上げについては、企業の「意欲を削(そ)ぐ」として反対する意向を示しました。また、海外への武器輸出を禁じた日本政府の武器輸出三原則の見直しを要求。軍需産業の「国際共同研究開発を可能とする」ことを目的に挙げています。
消費増税の“大合唱” 参院民主・自民の代表質問
2010年10月8日 赤 旗
参院本会議で7日、各党の代表質問が行われ、民主党、自民党双方から消費税増税の大合唱となりました。
「菅総理ご自身の言葉は大きくブレてる。総理、消費税はどうされるのか」。自民党の小坂憲次参院幹事長は、参院選で菅首相が消費税増税をめぐり軽減措置(還付制度)の対象範囲を年収200万円から400万円の人などとしたことを挙げながら、増税推進を迫りました。
菅首相は「消費税を含む税制改革について超党派での国民的議論が必要であるという私の考え方は、参院選の選挙の前から今日にいたるまでいっさいブレていない。一貫している」と答弁で語気を強めました。
一方、民主党の郡司彰参議院議員副会長は「消費税にどのような見取り図をお持ちか。2011年税制改正で一定の方向性を打ち出すか。与野党協議をスタートさせるめどはついているか」と菅首相に畳み掛けました。自民党議員から拍手がわき、「いい質問だ」とヤジが飛びました。
菅首相は「見取り図については税制全体の議論を進める中で検討をしていきたい」としました。
消費増税の自民「法案」 首相「しっかり議論」
2010年10月7日 赤 旗
菅直人首相は6日、消費税増税の方針を明記した自民党の「財政健全化責任法案」について、「内容は共通する部分も多く、(法案が)改めて提出されれば、しっかり議論していきたい」と答弁しました。衆院本会議での自民党の谷垣禎一総裁に対する答弁。
菅首相は「基本的な考え方については問題意識を共有し、政府としても類似の内容を財政運営戦略としてすでに閣議決定している」と賛意を示しました。
また、増税スケジュールを示した2009年度税制「改正」法付則104条(自公政権時代の2009年3月に成立)の扱いに関しても、菅首相は「今後の財政運営について真剣に議論するということであれば議論していきたい」と表明。消費税増税の大連立の危険性が改めて浮かび上がりました。
質問で谷垣氏は「補正予算協議の大前提として、まず財政について共通の認識に立つ必要がある」と主張。「改正」法付則104条についても「財政運営を協議していく際の信頼関係の大前提」と政府に増税協議を迫りました。
民主党は「改正」法付則成立当時、同付則に反対していましたが、政権に就いた途端に同付則の廃止を拒否。自公政権時代に策定されたスケジュールに沿って消費税増税を推進する立場に立っています。
税制改正スタート
法人税下げ 調整難航も 消費税論議も課題
1010年10月7日 読 売
政府税制調査会が2011年度税制改正に向け、本格スタートし、今後は、民主党の議論と並行して進むことになる。菅首相が意欲を示している法人税率引き下げや、地球温暖化対策税(環境税)などが当面の焦点だ。さらに、財政悪化や少子高齢化で社会保障制度が維持できなくなるとの国民の不安が高まる中、消費税率引き上げにどこまで道筋をつけられるかが課題となる。(後略)
税制改革 定まらぬ首相
1010年10月7日 朝 日
消費税の増税を含む税制の抜本改革をめぐり、菅直人首相の姿勢が定まらない。6日の衆院本会議では、消費増税の必要性を盛り込んだ自民党による財政健全化責任法案の提出に理解を示したが、その後の政府税制調査会の会合では具体的な指示はなし。景気の後退懸念が強まるなか、環境税の導入や所得税、相続税の増税問題など難題も待ち受ける。
財政難増税論に反撃 消費税各界連が代表者会議
2010年10月5日 赤 旗
消費税廃止各界連絡会は3日、東京都内で全国代表者会議を開き構成団体、都道府県、地域各界連の代表ら85人が参加しました。
中山益則・全国労働組合総連合共闘局長が開会あいさつをした後、木村正則各界連事務局長が代表者会議への報告をしました。
木村氏は、先の参院選で国民は消費税増税ノーの審判を下したとのべ、この結果に各界連の取り組みが大きな力を発揮したと強調。高い失業率など国民の生活苦難がすすむなかで、増税に対する批判は強まっており増税反対を広くよびかけよう、と訴えました。
その上で財界の巻き返しと「財政再建のためには増税もやむを得ないのでは」という疑問があることを念頭に、「消費税そもそも」の学習と宣伝の強化を呼びかけました。当面、草の根からの宣伝強化、1千万人増税反対請願署名の早期達成などの方針をのべました。
討論で埼玉の代表は、対話で活用できる消費税増税反対のジャンボチラシの作製に取り組んでいると報告。「緊迫した情勢の下で宣伝を強めるとともに36の地域各界連の活動を強め、草の根の運動を広げることが重要だ」とのべました。
京都の代表は北部から南部まで増税反対の宣伝をした経験を報告。「国の財政は大丈夫なんやろか」という国民の関心にもこたえ、「財政危機を口実にした消費税増税論をきる」という学習会を計画し、11月25日を中心に府内全域で宣伝行動をする、とのべました。
日本共産党の佐々木憲昭衆院議員が国会情勢の報告を兼ねたあいさつをしました。
「増税反対」で協力 都内で消費税考えるシンポ
2010年10月4日 赤 旗
消費税廃止各界連絡会は3日、東京都内でシンポジウム「消費税大増税を考える」を開き、全国各地からの参加者を含め171人が参加しました。
菅直人首相が1日の所信表明で社会保障改革を口実にした消費税増税を表明。「社会保障充実のために増税はやむを得ないのでは」といった疑問があるもとで、増税しなくても財政再建、財源対策を取れる道を探ろうと開きました。
ジャーナリストで『消費税のカラクリ』の著者、斎藤貴男さんは、経営が厳しくても消費税がかかり、税の取り立てで廃業に追いやられる中小企業の例などを挙げ、「消費税は悪魔の税制だ」と告発。「消費税増税反対」の一致点での団結を訴えました。
主婦連合会の山根香織会長は、今問題なのは「消費税の増税反対」と自由に言えないような空気が強いことだ、と指摘。菅首相の増税発言には失望したとのべ、「疑問があっても答えてくれる情報が少なく、一方的な考えだけが宣伝されている」として、「私たち自身が運動を強めていく必要がある」とのべました。
税経新人会全国協議会の佐伯正隆事務局長は、消費税を1円も負担していない大企業にたいして、中小業者は転嫁できずに苦しんでいる仕組みを告発しました。財源問題にもふれ、不公平税制の是正などで大きな財源はつくれる、とのべました。
消費税廃止京都各界連の坪井修・前事務局長は、京都で商店街の理事長・会長ら多数が立ち上がって増税反対のアピールを出した取り組みについて報告。さらに477の中小業者団体によびかけを送り、賛同を広げた経験を紹介しました。
会場からは、「消費税率の引き上げをやめさせる」の一点で政治的立場をこえて運動をしている「ネットワーク宮城」の代表が活動を報告しました。(後略)
首相、補正で野党に協力要請…所信表明演説
1010年10月2日 読 売
第176臨時国会が1日召集され、菅首相が衆参両院本会議で所信表明演説を行った。
首相は野党に対し、景気対策のための2010年度補正予算案の早期成立や消費税率引き上げを含む税制改革の議論に関する協力を再三呼び掛け、「ねじれ国会」を乗り切る強い意欲を示した。また、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件について、中国に冷静な対応を求めた。
首相は「有言実行内閣」として、成長と雇用に重点を置いた経済対策の実施を課題とする考えを示した。急激な円高・デフレに対しては、政府・日銀の為替介入も含め、「断固たる措置を取る」と強調した。
また、新成長戦略の推進などを柱とする10年度補正予算案を野党の提言を踏まえて編成し、早期に成立させる方針を示した。首相は補正成立を「今国会の最大の課題」と位置付け、「与野党間での建設的な協議に心から期待する」と述べた。(後略)

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