2006/1/14
90年代J−POPの申し子と言われる小室哲哉。彼の作るメロディーは、70年代にも80年代にもなかった、独特なメロディーラインで、90年代初頭においては、その珍しさから圧倒的な支持を受けた。
こちらは小室哲哉がプロデュースした、坂口実央の2ndシングル(現在では廃盤)
しかし、彼の音楽、ひいては90年代後半以降のJ−POPにおける落とし穴もここ、すなわち独特なメロディーラインにあった。彼のメロディーは、自然に流れ出す、音楽そのものが持っている、普遍的ともいえるメロディーに逆らうように作られている。それが小室マジックのすべてだ。この坂口実央の「How Many Days」のアカペラバージョンを聴くと、小室の作るメロディーが、自然な流れに逆らっている様がよくわかる。しかしどんなに斬新なメロディーメーカーであっても、自然なメロディーの流れに対峙するものとして、一時的には成功するかもしれないが、音楽の持つ自然な普遍性を凌駕することはできない。
こちらはCDについてきたステッカー。
だから彼の音楽が瓦解するように衰退していったことにもわけがあるのだ。そして小室が残したリズムやメロディーが残念ながらJ−POPを紋切り型にしてしまい、J−POPは急速に色あせ、CDの売り上げが伸びない事態に経ってしまったと考えるのは穿ち過ぎだろうか。

0
1 | 《前のページ | 次のページ》