2005/12/20
きょうはちょっとお固く、クラシックの話をつぶやいてみよう。旧ソ連の作曲家、ショスタコーヴィチの第7交響曲《レニングラード》。
この曲の第一楽章の「侵入の主題」を知っている方は多いだろう。何せ10年ぐらい前のアリナミンVドリンクのCMで採りあげられたから。そう「ちーちーんぷいぷい」です。
しかしこの曲はCMでコミカルに採りあげられたようなお気楽な交響曲ではなくて、900日で80万人が死んだと言われる、ドイツ軍によるレニングラード包囲について書かれた、悲劇的でもあり、また旧ソ連軍とソ連国民の士気を高める目的も併せ持ったものっだった。
CMでは「ちちんぷいぷい」なんてちょっと悪ふざけが過ぎた歌が添えられていたが、この部分はレニングラードへ向かって侵入を続けるドイツ軍の行進であり、笑い事では済まされない恐怖の行進だったのです。さらに、第三楽章の冒頭は戦死者へのレクイエムのような悲痛な調べが印象的です。しかしこの第7交響曲は、マーラーの交響曲のような親しみやすさはなく、間違っても万人向けのクラシックとは言えない、少々マニアックな内容だが、交響曲の中では稀有の名作と言えるでしょう。

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