四国・剣山の石ころ(3)
剣山の頂上で拾ったチャートのかけら
吉野川にそって中央構造線が走っています。その南側に位置する地層は三波川帯という結晶片岩類からなる地帯で、剣山の岩石は緑色片岩が多く見られるだろうと予測して登りました。(和歌山では、紀ノ川にそって中央構造線、有田川にそって御荷鉾構造線(有田川構造線,これらの間の地帯が三波川帯)
頂上近くの遊歩道で拾った石灰岩
しかし、驚いたことに頂上の岩をみるとチャートのようであり、石灰岩のようでもあります。頂上から少し下ると白い岩石が目立つようになり,まさしく石灰岩があちこちに顔を出していました。
とするとバスが幾重にも重なる山をぬって、かなり南に入り込んできているから三波川帯を越して秩父帯の地域に来ているのだと考えました。剣山は秩父帯の北縁に位置していたのでした。(和歌山では、有田川構造線から由良あたりまでの間の地帯が秩父帯)
頂上でチャートの石ころ(欠けら)を拾っていますが、秩父帯の石灰岩とチャートといえば、和歌山県の白崎海岸の石灰岩とチャートを連想します。
これらの石灰岩やチャートは,南の海の(おそらく赤道近く)海底火山の周りに出来た珊瑚礁などが海底に沈み、海洋プレートにのってユーラシアプレート(大陸プレート)に付加されて(ジュラ紀の付加体)、地殻変動を受けてここに存在していると考えると石ころにもいとおしさを感じます。
頂上から西の方を見る 高い山の向こうは「かずら橋」の祖谷渓谷
頂上から四国の山々を眺めてみると,東西に連なる峰々に深い谷が刻まれているのが分かります。吉野川に中央構造線、そして剣山のすぐ北の眼下にみえる穴吹川(四国で1番の清流らしい)から祖谷渓谷あたりにかけて御荷鉾構造線、そして剣山の南側に秩父帯と四万十帯を区分する仏像構造線が横たわっているのです。
※ 構造線→境界断層

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