
遠征チームのメンバーに、富士登山か50km徒歩大会への参加を求めています。なぜか?。一見シーカヤック遠征と山登りや耐久的な徒歩は違う物のように見えるかもしれませんが、そうでもありません。体力的な厳しさ、苦しさの中からしか見えてこないものがあります。それを経験するのが目的です。さらにその中には、本を読んでも、議論をしても得られない学びがあります。富士登山は厳しく苦しいですが、その中から学べるのは、登った人だけ。さらにいうと、この経験は繰り返しの中で強化していくことが出来ます。そう、定期的に登り続けるのです。
人間の能力にはリミッターがかかっていて、全開の能力はなかなか出せないそうです。ですが、ある瞬間、これを外せる時があります。何回かこれを経験すると、意識的にリミッターを外せることができまが、富士登山では比較的これが出来やすいです。
22日(日)の頂上アタックは厳しいものがありました。降り止まない雨で雨具の中はビチョビチョ。気温もどんどん下がります。680hPaを切ってきた気圧。下山者に声を掛けると、多くは途中断念して下ってきてます。身体が冷えてしまった、吐いてしまった、高山病で・・。ですが、僕は登れば登るほど元気になってきます。最後は走って頂上までいけるぞという気持ちでした。ある瞬間にスイッチが入ったようで、食欲は旺盛になるし、こんな状況が楽しくなってきて、今年はあと2回は富士山に登るぞ!という気分になりました。普通、この状況だと、しばらくはやりたくなくなるものなんですが。厳しい状況のなかで、自分を鼓舞し、さらに元気に出来ることは、経験を積めば意識的に出来るようになります。
もう1つは「チーム」です。ただの集まりではなく、目的を持ったチーム。一人では出来ないことが、仲間がいるとできてしまったり、必要な能力を獲得しやすいというところがあると思います。実際、22日に途中下山してる人のほとんどが単独者でした。挑戦するとき、励ましあうこと、刺激を与え合うことがとても重要になります。
逗子カヌークラブの遠征チームは、今でこそ相模湾をスイスイ横断したり、自信のある人は伊豆大島へ渡っています。ですが、クラブに入る前、こんなことが出来るのか?自分がやれるのかさえイメージできなかったと思います。ですが、いろいろ勉強して、トレーニングを積んで、こういうことが出来るようになってます。この辺りがチームの強さです。
シーカヤッカーはチームになるのが、下手で難しい。でも登山は容易です。まず、危険や危機が見えやすく、ストレートです。分かりやすい。だから危機感を持ちやすい。シーカヤックをやっていて、死や危険を意識できる人は少ないでしょう。これは見えづらいだけだから。ですがシーカヤックの方が登山より死に近い遊びですが(と僕は思ってる)、やってる本人達はそう思ってない。「気づき」が、もしかすると他のアクティビティーをすることで起こるかも。そんな期待もあります。
震災以降、マリンレジャーは厳しいと言われています。実際、事実だと思います。逆風です。ですが、この厳しさを「チームの力」で乗り越えられる、これが密かに昨年の3月に僕が出した答えで、ただいまこの仮説がただしいか検証、証明中なのです。シーカヤックは海に出たら一人ひとりが船長といわれ、自立を求められます。一人船長では撃沈されるかもしれませんが、艦隊(フリート)にして機能的に戦えば、勝てる残れる可能性は高い。どうでしょう?
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ーカヤックの世界は、小さなコミニティーだ。 ジャスティン・ケーガン

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