ボブ・ディランさんで話題のノーベル文学賞。ノーベル財団が受賞者と連絡が取れないって、ロックでいいですね。権威に媚びないその姿勢、まさにロックです。
文学をこよなく愛するワタクシ、興味を持ってワッチしています。なぜかというと、僕はノーベル文学賞を受賞した作家の作品はすべて読む、というのを目標にしている一人なのです。図書館を中心に本を借りて、読み進んでいるところです。
過去にも、ノーベル文学賞にふさわしくないと言われた作家が数名います。一番最初に言われたのは、あの第二次世界大戦中イギリスの宰相だったウインストン・チャーチルです。僕も政治家が何で!、と思ったのですが、チャーチルは達筆で、しかもチャーチルだけしか書けない、自伝を書いているのです。これは、本当に素晴らしい歴史書であり、作品でした。僕はチャートルの書籍で最もお勧めしたいのは「ボーア戦争従軍記」です。南アフリカの覇権をかけて、イギリスとオランダが戦った戦争、これに若きやんちゃなチャーチル青年が志願して参戦。その顛末はまさに手に汗握る興奮の連続。僕の読んだ「興奮する本」ベスト3に入る1冊です。チャーチル青年、なんと捕虜になってしまうのです。ところがここからが、普通の人とは違う。脱走して、まさに映画「大脱走」ばりの知力を生かした方法で、逃げ帰るのです。そしてそれが成功する。最後のシーンは今でも頭に描ける感動シーンです。残念なのはこの本の翻訳版がない事。原著を読まなければなりませんが、それはまたチャーチルの体温を感じられる文章を読めるのでよいでしょう。
昨年の受賞者、スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチは聞き書き(インタビュー)を得意とするジャーナリストです。彼女の作品「チェルノブイリの祈り」と「戦争は女の顔をしていない」はちょうど先週読み終わったところです。ジャーナリストという事で、何で文学?と思い読み始めましたが、なるほどノーベル文学賞の目指すところ、その重みを強く感じました。彼女は独自の視点で第二次大戦、チェルノブイリ、アフガニスタン戦争、チェチェン紛争に関わった兵隊や市民を取材対象にしています。当然、当局から目をつけられ、発禁処分も当たり前。ですが、微妙に政権批判等はせず、市井の営みや想いにフォーカスして書き進む。そうすると、読み方によっては反体制に見えないのです。そのため生き残った。一歩誤ればすぐ殺されるところ、良くてもフランスかイギリスに政治亡命。ノーベル賞受賞者をそう簡単には暗殺したり、収容所に送る事は出来ないので、そういったセイフティーブロックを送ったのでしょう。それにしても、よくもまあ、これだけのロシアや東側の暗部を書いたジャーナリストが命を取られず生き残ったものです。
ボブ・ディランさんの作品、世代的のほとんど知らないので、一度しっかり曲を聴いてみたいと思ってます。
人
が生きるとは、死ぬとはどういうことなのか、その真実をかかなければならない。 スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチ
スヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチ ボーア戦争従軍記

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