Facebookにこの写真が出ていて、ドキッとしました。何で、ドキッとしたのかすぐには分かりませんでしたが、しばらくして気が付きました、13年前に僕が撮った写真だ、と。
Facebookに写真をアップしたのは左の人物、Jeff Allen。今や世界的な遠征シーカヤッカーです。右はHads Feldman、当時名前の売れていたシーカヤッカーでした。実は、ハダスの方がシーカヤッカーとしての遠征歴、名前の売れ方が高く、ジェフはむしろ無名のシーカヤッカーでした。この10年でこれが完全に逆転しました。
2004年、この二人はシーカヤックで6ヶ月かけ日本一周をしました。僕はその時のサポートメンバーです。当時僕はサーフカヤックしかやっておらず、シーカヤッカーではなかったのですが、Hadasから「私たちの旅に興味があったらサポートしてくれないか」と依頼を受けました。
他人の旅を応援する、助けるという立場は僕にとって新しい視点や、全く知らない世界に触れさせてもらう機会となりました。
時間が経ったから言えることもあります。日本のシーカヤッカーに大きな問題がありました。当初、この遠征のサポートメンバーの中に(日本の)シーカヤッカーも入っていたのですが、問題が起こり、サポーターの中なら離脱してしまいました。そのため急遽、新しいサポーター(コーディネーター)が必要になり、ハダスが僕に声をかけたのです。
シーカヤッカーは組織化した中で力を合わせるとか、自己でなく他者を利他的に応援することになれていませんでした。またそのために力を出すべきところ、逆に自分を引っ込めることを理解できていませんでした。そのため、サポート組織は分裂にいたりました。
言語の問題もあった。ジェフとハダスは英語しか出来ないため、コミニケーションや感情上のやりとり、お互いの理解が深まらないという問題を起こしました。
また、日本のシーカヤック界の中に遠征に対する考え、思想も発達していなかった。そのため、ジェフとハダスの行動や挑戦が理解できなかった点も否めません。
二人の挑戦が与えた好影響は、日本のカヤッカーを刺激したこと。時間はかかったけど、彼らの使っていたイギリス製のシーカヤック、SeakayUKの製品が輸入されるようになったことでしょうか。また、無名のシーカヤッカーだったジェフが、遠征家として育ち、一定のポジションを獲得したところでしょうか。
そして、一番好影響を受けたのは僕でしょうか。なんせ、シーカヤッカーでなかったのにシーカヤッカーになってしまったこと。イギリス発のシーカヤックの文化の洗礼を受けて、今もそれを推進力にして前進しています。
誰
かの弱点は他の者の弱点である場合が多い。 栄和人

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