大田 阿斗里(26歳・11年DeNA3位)投手 (帝京出身)
蔵の入団前評価:☆☆☆ (中位指名なら)
高校3年の選抜では、20奪三振を奪い上位候補として注目されました。しかし夏の予選では、前田監督の信頼を失い、1イニング持たずに交代させられるなど散々たる内容で最後の夏を終えます。そういったこともあり、ドラフト3位での指名となりました。
大田は、150キロ級のボールを持っていながら、気持ちの浮き沈みが激しく、アテにしずらいタイプ。前のイニングは完璧に抑えたかと思うと、次のイニングは全然だとか。その日は良くても、次の登板ではからっきしという、出来が激しく首脳陣の信頼を得られ難いタイプでした。一軍での実績といえば、一昨年の
38試合 2勝4敗 防御率 3.72 というぐらい。昨年は、一軍で僅か3試合ながら、オフの年俸交渉で揉めて関係者の心象を悪くした印象があります。
今年は、春先は結構ファームでも調子が良かったものの昇格の機会は無し。その後気持ちが切れたのか?
24試合 2勝1敗1S 防御率 5.96 と低迷。後半戦からは、二軍では殆ど投げず、フューチャーズ中心の活動でした。
夏の四国アイランド選抜戦で見ましたが、150キロ級の速球に、変化球とのコンビネーションも冴えて、まるで別格の投球を披露します。こんな投手を、ファームでくすぶらせておくのかと怒りさえ覚えましたが、翌日の試合では不安定な投球をしてしまいます。この辺が、8年目にして見切りをつけられた理由と言ってしまえばそれまでです。
この選手、とにかく頑強でタフなので、リリーフとしては打ってつけなんですね。ただしその日によって好不調の波が激しく、アテにしずらい。ある意味、大量リードで負けている、勝っている時に起用すると、ボールに力があるので相手のヤル気を削ぐことができる。そういう活かし方をすれば、正直まだまだ使えると思います。
何処か痛めてダメだとか、力が衰えて低迷しているとかそういった選手ではないので、トライアウトとかで上手くアピールできれば、何処かに再雇用しても不思議ではないし、場合によっては冨田のように、アメリカに渡るのも手かなという気がします。正直能力だけ見れば、アマでもこんな球投げる選手いないというぐらいの凄いボールを投げられるわけですから。
まだ26歳ですし、このまま野球を辞めてしまうのは、なんとも惜しい気がします。春先の好調時に、一軍でチャンスを与えていれば、この一年全然違うものになったのではないかとさえ思います。選手のプロ入りのタイミングも「旬」だと私はよく言いますが、二軍の選手を一軍にあげるタイミングも、まさに「旬」なのです。その見極めができない首脳陣・関係者ですから、このチームが低迷する理由も頷けます。

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